第2話 加護と状態異常
ロサリア・フォン・アスファルト
Lv8 魔力量9837
【スキル】
料理:Lv10
剣術:Lv10
体術:Lv10
風魔法:Lv10
岩魔法:Lv10
雷魔法:Lv10
草魔法:Lv10
水魔法:Lv10
炎魔法:Lv10
氷魔法:Lv10
【E×スキル】
・七神の使徒
【状態異常】
・古代龍の呪い 《エラー》
目の前に表示された理解を拒んでくるステータス。何これ、強すぎない主人公のステータスを優に超えているんだけど。七神の使徒ってなんだよ響きよすぎるだろ。後ちゃっかり状態異常もあるし。っつーかスキルレベルの上限って9じゃねぇの?
「ご主人様いかがされましたか」
俺が唸りながら神の窓を見ていると、怪訝そうな顔をしたラミィがこちらを見てきた。
「スキルレベルの上限っていくつだっけ?」
「9です。ただ、9になれるのは勇者様や賢者様など、神々の使いとされる人々のみですね」
「10って存在しないよね?」
「2桁は聞いたことがありません…………いえ、かつて、大魔王を討伐された伝説の勇者様は、スキルレベルが10だったと言い伝えられてますが…………本当かどうかは分かりません」
そう言うラミィを見て、俺はもう一度神の窓に目を落とす。
取り敢えずスキルレベルについては一旦置いておくか。
続いて、ロサリアの年齢には低すぎる基礎レベル、そしてレベルにしては多すぎる魔力量。
今のロサリアおよそ15歳くらいの人間の平均レベルは分からないが、流石に低すぎるのは分かる。主人公は3歳くらいでレベル2桁行ったぞ。
そして魔力量だが、これは特に問題がない。このゲームにおいて、魔力量は魔法の修練度合いで決まっている。魔法のスキルレベルが上がれば、魔力量も比例して上昇するのだ。
全属性をカンスト或いは上限突破をしている以上、魔力量はこれくらいになってもおかしくないんじゃないか、というのが俺の考え。
よし、それでは次はお待ちかねの特殊スキルに状態異常だ。
見てても分からんな。
「七神の使徒」をポン、 と押してみると、その下にババっと効果が表示された。
・七神の使徒
天空の島に住まう神々が地上の平和のために派遣した者に授けられる称号。【神の遣い】効果を常時獲得。
【神の遣い】 全スキルレベル+1,獲得経験值量10倍,魔力自動回復,HP自動回復
「はえ〜」
思わず感嘆の息が漏れる。これは強いわ。ぶっちゃけ主人公にこれあったらサクッと魔王倒してたぞ。全部ありがたい効果なんだが、全スキルレペル+1ってのがブッ壊れ性能。
料理スキルを例にスキルレベルについて説明するか。
レベル1 ピーラーで皮剥きレベル
レベル2 インスタントラーメンレベル
レベル3 カレーレベル
レベル4 夕食一通り作れるレベル
レベル5 お弁当自分で作るレベル
レベル6 毎日自炊レベル
レベル7 料理人レベル
レベル8 一流の料理人レベル
レベル9 三ッ星レストランのオーナーシェフレベル
だいたいこんな感じ。
だから、本来ならカレーしか作れないはずの人間が、夕食を一通り作れるようになるのだ。
破格の性能だな。
レベル10の力がどんだけ凄いのかは分からないが、おそらく、世界で一番料理が上手いのはロサリアなのだろう。
そして獲得経験値量10倍の効果。
正直、このせいで感は深まった。単純計算で他人よりレベルの成長速度は10倍速いはずなのにも関わらず、基礎レベルは8。気になるが、急いで調べる必要もないだろう。この矛盾については今後生きていく上で考えればいいか。
HPと魔力の自動回復効果についてはおそらく名前の通り。性能は今後検証する必要があるな。
最後は、1番気になっていた状態異常だ。
俺は軽く唖を飲み込んで、 【古代龍の呪い】をタップする。
タップと同時にズラッと出てきた説明文。
【古代龍の呪い】
最古の魔王、ドヴォルザークに仕えた12の魔龍による呪い。被呪者は【四風亡者】効果を常時獲得。
【四風亡者】 全ステータス-30%,獲得経験值-100%,思考略奪,精神腐敗
【警告:ロサリア・フォン・アスファルトの存在を未確認。該当効果、発動不可】
あ、ヤバいわ。これはヤバいわ。バフ以上にデバフがかかりまくってるもん。
何故神によるバフよりトカゲによるデバフの方が多いのかは分からないが、これが基礎レべルが異様に低い理由か。経験値が-になるんだったら、そりゃ8とかいう訳分からん数値になるわな。獲得経験値がそのまま引かれるんだもん。
ついでに主人公がスキルレベル7でこいつに勝てたのも、ステータス-30%があったからだな。
思考略奪と精神腐敗については考えるのも恐ろしい。
というかこれが原因なんじゃないか?
ロサリアは主人公たちの邪魔だったり、ルートによっては人を殺したりとかもしていた。
その原因は、この呪いによるものなのではなかろうか。
トカゲたちの呪いのせいで、ロサリアはまともな判断をいや、そもそも思考を乗っ取られていたのかもしれない。だとしたら、いろんな人からヘイトを集めていたコイツへの見方も変わるな。
ロサリアとトカゲの間に何があったのかは分からないが、ロサリアもロサリアで大変な人生を歩んできたんだろう。
だが、そんな呪いが今は発動していない。これはおそらく、俺が転生したせいか。
ロサリアの器に転生したせいで、スキルはそのままロサリアのものが扱え、中身が変わったせいで呪いが発動しなくなった。こんなところか?
今後確かめなきゃいけないことは沢山あるが、この身に起こっていることについては一応理解したぞ。
「ご主人様」
俺が集中力をフッと切らしたのを見計らってか、ラミィが話しかけてくる。
「何?」
「もうすぐ夕食のお時間です。ご主人様が出席されないとなると、当主様が大変悲しまれるかと」
「あ、もうそんな時間か。分かった、すぐ行くよ」
俺の返事でラミィが頭を下げるのを見てから、俺はステータスウィンドウを消そうと指を振った。
…………。
…………あれ、どう消すんだこれ。
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