本当の姿

4月。


「やったあっ!りっちゃんと同じクラス!」


「やっとだよ、やっと!」。楓が柄にもなく、人目も気にせずはしゃぐのは無理もない。同じ中学校に通うのに、なのに私と楓はこれまでずっと別のクラスだった。だからこれは私も、すごく嬉しい。


「ほんと、やっとだね」


だから笑いながら言えば、楓もはしゃぐままに「ねっ!」と言う。他に誰か、知っている人はいないかと、クラスの割振り表を私は改めて見た。女子の方は…。


「お、楓とりっちゃんと一緒!やったわ!」


上から順に眺めようとした時に、私のすぐ後ろから、もうすっかり聞き慣れた声がしてくる。振り返ればやっぱりそこには、これぞギャル。叶恵の姿。


「叶恵。叶恵も5組?」


念の為に聞いてみれば、叶恵は彼女らしい気の強い笑顔で、腕を組んで頷いた。


「そ!これは有終の美だね!」


ああ。そっか、私達もう3年だもんね。有終の美。確かに楓と同じクラスなら、それを飾れそうだ。他に知り合いはいないかな。まあ、名前や顔を知ってるというだけなら、それは私にだって多いんだけど。だからつまりそれ以上の、友達がいたり。そんな時また近くから大きな声が上がる。


「やったっ!」


今度は男子の声。思わず私も楓も叶恵も、周りの人のほとんどがそちらへと目をやる。そこには…知らないやつだな。そいつは私達に気がつくと、はっとした顔をして、恥ずかしげに顔を逸らしてしまった。…あー、もしかして、楓と同じクラスだから「やった」ってこと?年頃ねー。思ったのは私だけじゃないみたいで、叶恵が私の側でにやにやしながら声を潜めて言う。


「あいつ、楓狙いじゃね?」


「ちょ、ちょっと、やめてよ~…!」


それに楓も声を潜めて、恥ずかしがった。


みんなで教室に行き、楓の元に集まる。席は最初は出席番号順、という名の苗字によるあいうえお順。私は作間だから、3人の中では最も前の方で。楓は宮寺だから後ろの方。で、叶恵は和木だから、もういっちばん後ろだった。「いっつも1番後ろの角っ子席だから、迷わず済むわ~」と零す叶恵は、確かに気楽そう。いいな、私や楓は、いっつもどの辺か、間違えないよう数えたりしないといけないし。


「青木さん、とかも便利だよね、席覚えるのに」


「1番前の角だしね」


どんな苗字が、学年が上がった際のクラス替えで、席を覚えるのに楽か。そんな話題で軽く盛り上がっていると、そいつはやっぱり楓のところに来る。


「あのっ!」


気合い入れた一言目は「あの」か。他になかったの、もっと好印象の言葉。見守る私はそう思う。話し込む私達3人のところに来たのは、さっき5組のクラスの割振り表の近くで、楓と同じクラスだということに喜び、大きな声を出してはしゃいでいた男子だ、わっかりやす。思いながら、私も叶恵も適当に2人の様子を見守る。


「うん?」


聞き返す楓の声はさすが、優しい。表情も柔らかく、楓らしい。そんな楓を見て、それからそいつは何故か私のことも1度見て、また楓へと目を向けて続けた。


「よ、よよかったら、お友達にー…」


最初の勢いは良かったのに、何その、しりすぼみになっていく感じ。しかもこいつはせこくて、ちゃんと全部を自分で言い切っていない。うわ…。ちょっとこんなやつ私は嫌だ。苦手だと思うけれど、でも楓はそんなことは気にしない。


「うんっ、いいよ!」


優しい笑顔でそう言ってしまう。それを目にした叶恵が「まじ?」と、本当に小さく零したのが、隣にいた私には聞こえた。そいつは楓と友達になれたことが嬉しいんだろう。はしゃいで明るい笑顔を見せる。


「わー、ほんとですか?やった、嬉しいなあ!」


あ、でも。自分の感情を変に誤魔化さないその言葉に、嬉しそうな様子に、こいつは悪いやつじゃないのかなって。私はちょっとだけ、先程こいつへと抱いた印象を、手早く訂正した。



「で?名前何て言うの?」


叶恵がそいつに、至って普通にそう聞けば、そいつは何か、多分ギャルとか苦手なんだろうな。ちょっとびびった感じに、たどたどしく応える。


「え、ええと…尾野小夜太です」


「こやたくん?可愛い名前」


そいつが…尾野が応えた名前は確かにちょっと変わった、不思議で可愛い名前で、私もへぇと思った。褒められたと思ったのか、尾野は楓へと笑顔で小さく礼を言う。


「あ、ありがとうございます」


「こやたくんって、どんな字を書くの?」


単純に楓は気になったんだろう。この子、知識には貪欲なところがあるから。聞かれた尾野はやっぱ、叶恵に対してよりもずっと自然体に、楓へと言葉を返していて。


「小さいに、夜に太郎の太です。」


ふ、ほんとギャル苦手なんだな。チキン。ちょっとひ弱そうな見た目通り、違いない。イメージ通りの人間って、いそうなのに中々いなくて、面白いわよね。2人のやりとりを見ながら、私は何か、1人で乾いた笑みさえ浮かんできそうだ。そんな尾野に、叶恵が追い打ちをかける。


「ふーん、何かよわそーな名前」


「ひっ…」


はは、こいつ見てると、出会ったばかりの頃の文太思い出すな。でも当時の文太の方が、まだましか。昔の文太は気弱なくせにプライドがちゃんとあって、私がストレートにものを言えば、強がって無理にでも反論してきた上、結果を出そうとしたんだから。懐かしくて、笑みが零れる。そんな私にみんなが気がついて、何か、可笑しくてみんなも笑った。それから仕切り直すように、楓が口を開く。


「…あ、私、宮寺楓です。よろしくね?」


「あ、はいっ」


優しい楓は、やっぱり大丈夫そうだ。尾野は普通にしている。けれど続く叶恵。


「和木叶恵。よろしく」


「…よ、よろしくお願いします」


ふふ、やっぱこっちはちょっと緊張気味。ビビってて駄目そう。最後に私が尾野へと声をかける。


「作間律子。適当に」


名乗って、なのに。


「…作間さん。よろしくお願いしますっ」


何かこいつは私の時だけ、どこか嬉しそうに笑って、わざわざ私の苗字さえ呼んだ。考えすぎ?でも。


「ていうか、敬語やめない?私ら同級生でしょ?」


「そ、そうで…だね!うん、頑張る…!」


すぐに尾野は叶恵に脅されるように、敬語を捨てることを迫られて。私が引っ掛かりを覚えた尾野の笑顔は、消えてなくなってしまった。



「へぇ、楓と同じクラスになったの?よかったね」


「そ!最高!」


今夜も俺は律と長電話をする。数ヶ月前、最早去年となったクリスマス、25日のその日。約2振りに律子と顔を合わせて以来、俺は彼女とする電話の頻度を、上げていた。それまでだって、まめに通話していたけれど、でも以降はそれよりも少しだけ頻繁になったと思う。それはいつも律からかかってくるわけじゃあない。確実な俺の我儘。…俺からの、発信。学年が上がって、お互いどんなクラスになったか、そんな話をする中で、俺は思う。俺も律と同じ学校だったらな。思ったって、だけど小学校を出るのと同時に、大して距離はないけれど違う学区へと引っ越した俺では、律と同じ中学に通うなんて不可能だった。いや、そもそも当時はそこまで律にこだわりがなかったか。こだわったのはこないだのクリスマスからだ。久しぶりに会った律が、俺が予想していたよりも可愛くなっていて、なのに中身は昔のまま。悪いところは少し角がとれて丸くなったのに、良いところはそのままどころか、磨きがかかって、人としても、ものすごく魅力があると思った。


「でさー、何か楓狙いの男?とも知り合いになったんだけど」


だから、他の男の話、その単語。楓狙いとついていても、実はその男は律狙いなのではと、変に穿って心が一気に冷える。しかも、知り合いになったって。律の中で友達の基準は厳しい。本当に仲の良い人しか、律は友達とは言わない。そして、同じくらい知り合いの基準も厳しい。クラス替えがあったのは今日なのに、なのにもうその男は律の中で、知り合いに値するほど仲を深めたのか。何か、気が合ったのか。不安で、嫉妬してしまいそうで、俺は「うん」と相槌を打ちながら、自分の荒れてきた心を静かに、落ち着かせていく。


「すっごい気が弱くて、ちょっと昔の文太みたいなんだよね。面白くない?」


何だ、文太。文太みたいだから、異例の早さで律の中で、その男が知り合いに昇格したのか。…よかった…。律は何かそいつに、少し気があるのかと。だからたった1日で、律の厳しい知り合い基準を突破したのかと。それが、俺の勘違いでよかった。


「そうだね」


安堵した気持ちで穏やかに、俺は律へとそう告げる。文太は今は宇宙と交信でもしてるのかと思うほど、掴みどころのない変わった自由人にして、あちこち顔の広い人物だが、昔はそうじゃなかった。ちょっとのプライドはあっても、人付き合いが下手で世渡り下手。気が弱く、繊細。勉強がおかしなくらいに得意なところは変わらないけれど、他はいつからあんなに変人になったんだろう。気の置けない友人のうちの1人を思えば、この口元には新たに笑みさえ、浮かんだ。


最近の宙は暇なのかな。私によく電話をかけてきてくれる。連絡だって、前よりもまめに。今年は受験もあんのに、大丈夫なのかな。宙と適当な雑談をしながら、私は思う。あ、進路、そもそもまだ決まってないとか?それでもおかしくはないよね。年間スケジュールを見れば確か、それに関する三者面談は7月と11月だったはずだ。宙のところも、うちと大して変わらないはずだろう。みんな大変そうだなー。とっくに進路なんて決めている私は、何かちょっと、気分は高みの見物だった。


だけどそれは些細なことで一変する。


「楓が第一志望に受かるといいな~」


翌日の帰り道。相変わらず下校時は、基本は楓と2人。楓は中2の夏なんて、頭がおかしいくらい早い時期から勉強させられてるんだから、受かるよね。自慢の友達の未来に、ちょっとわくわくしながら私はなんとはなしに、そう呟く。それに対する楓の返しが、驚きのものだった。


「あのね、りっちゃん。私、夢ができたの」


「お?」


えー夢?いいじゃん。一体楓は将来何に…。興味深くて、聞き返そうとした時、そんなことしなくたって楓は教えてくれた。真剣な顔で。


「りっちゃんと同じ高校に行きたいの」


不穏な夢を。


「…は?」


呆気に取られて、私が返せたのはそんな、声だけ。最早音と言ってもいいくらいの、それだけ。私と、同じ高校?待って。つまりこの子は、これまでの努力を全部投げ打って、これから得られるであろう学歴も、可能性も全部捨てて、”りっちゃんと一緒”をとるっていうの?そんなの駄目だ。楓は絶対後悔する。理解すれば、強い気持ちが何か、私の心臓に動悸のようなものさえ起こしていく。駄目、止めないと。


「あのね楓」


「りっちゃん私」


そうして口を開いた時、楓とお互いの言葉がぶつかった。何か、先を続けられなかったのは私の方。言葉を止めてしまった私を置いて、一方の楓は進んでいく。


「やっとできた夢なの。些細で子供じみてることはわかってる。でも、やっと自分で”こうしたい”って、心から思えたことなの。りっちゃん、一緒に私の夢を叶えてくれないかな」


…そうまで言われたら、頭ごなしに駄目なんて言えなくて。きっと後悔するなんて言えなくて。でも、そもそもだ。楓の未来は、楓が自分で決めて、手にして、進むべきもの。駄目って、それはやめろって言うのはおかしいってわかってる。だけど。


「…ちょっと、考えさせて」


心配になってしまうんだ。楓にその、覚悟があるのかと。


頑張って打ち明けて、でもりっちゃんには、あまりいい顔をしてもらえなかった。…返事を、貰えなかった。今夜も、勉強のために1人、自分の部屋で机に向かいながら、頭の中は違うことが回ってる。思い出すのは昼間、りっちゃんが零すように言った「考えさせて」。それは当たり前だと思う。りっちゃんはずっと、それこそ小学生の頃から、目指す道がはっきりしていた。「私、馬鹿だから頑張って高校目指すよりも、通信に通って、仕事メインで生きるわ」。夢の高校生活、どうしたい?問えばりっちゃんの答えは昔からいつもそれ。複雑な家庭環境に育ち、今でもそこに身を置くりっちゃんからすれば、それは夢ではない、現実だ。…だから。りっちゃんは私のことでさえ、現実を見ている。夢なんてそんなもの、夢だってきっと知っている。でも、それでも。りっちゃんと、一緒の高校生活を送りたい。同じクラスにはなれなくても、同じ学校に通って、少しでも”同じ”を共有したい。それは私の夢。りっちゃんという協力が必要不可欠な、大きくて我儘が過ぎる、夢。これから手にしようとしていた学歴も、その先に待つ未来も、お母さんからの信頼も褒め言葉も何もいらない。考えた時に思ったんだ。りっちゃんがよく、するように。第一志望、そこに受かった自分。お母さんは「よくやったわね!」と褒めてくれて、お父さんだって「楓はすごいなあ」と笑ってくれるだろう。りっちゃんだって「さすが!」と喜んでくれる。梨々花ちゃんも、愛ちゃんも叶恵もるーちゃんも。謙くん達だって知ればきっと。だけど、その先に待つのはまたトロフィーの私だ。お母さんは絶対に周りに言いふらすだろう。「うちの娘が第一志望の創峰大高校に」と。それを見れば、私はきっと。…りっちゃんから貰ったいつかのチョコチップマフィンを、手にしていられる自信がない。情けないけど、私を支えているのはいつだって、お母さんじゃない。物理的にはお母さんでも、精神的にはもうずっと、りっちゃんだ。またはりぼてに戻ってしまうのなら、そんな私の未来、いらない。どんなに周りから見て素晴らしくても、軌道に乗った人生のようでも、そこには私がやっと見つけた、幸せの形はないんだ。自由になるための覚悟ならできている。できることならお母さんと分かり合いたい。それはさすがに、綺麗事かな。…理想が過ぎるかな。でも、憧れなければ何も始まらないから。少なくとも私は。



「はぁ~…」


「どうしたのよう、律~」


今日は出勤の日じゃないから、お休み。夜だけど私はここに、娘の側にいられる。なのに肝心の娘、律はなーんかずっと、帰宅から落ち込み気味。落ち込みっていうか、悩み?何だろう。猪突猛進すぎて、目の前の崖が、崖だってわかってても落ちるタイプのこの子が悩むなんて、快晴と予報の明日は、ほんとは雪でも降る?ふざけたこと考えて、でも律が真剣に悩んでいることは、私にはよくわかる。私はこの子の母親だから、感覚でね。でも暗く、真っ暗~に振舞ったって仕方がないわ。


「べっつに~」


「お母さんに教えてくれたら、苺のクッション買ってあげるわ!」


「ほんとに?!」


だから私達の間で、何か大事な話や相談がある時っていうのは、こんな風に明るい。変に暗くなったり、真面目になったりなんてしない。


「ほんとに!だから教えて、ほらっ」


いつも通り。私のその姿勢が娘を救うと、私は信じているから。


そうして聞けば律は、幼なじみにして仲良しのお友達、楓ちゃんに、同じ高校に行って欲しいと頼まれたんだとか。でも待って、それって。思う私に律は続ける。


「行くのはいいのよ。でも、私って馬鹿だから、どんなに頑張ったって今からじゃ、偏差値70超えの創峰大高校になんて受かるはずがない。だから楓の言う一緒にはさ、本当だったら楓が手にできたはずの、自分の未来を手放してって意味でしょ?だから」


その顔は自分のことじゃあない。他でもなく楓ちゃんへの心配に、満ちている。ああ、不安、なんだ。律は。


「ほんとにそれでいいのかなって…。私とはほら、正直同じ高校通わなくても、いつだって会えるし?でも高校っていう進学先は、1度しか決められないし…って」


「母さんほんと、涙脆いよね」。ふと呆れ笑いで言われるのは、仕方がない。私は律子の母親だから、律を思えばもうそれはこうやって、滝のような涙。


「しょうがないじゃない~…!」


ぼろぼろに泣きながら言えば、律は仕方がなさそうにやっぱり笑って言う。


「母さん本当に、よくそれでスナックになんか勤めてるよね」


「そういう時は心を鬼よ!鬼っ!」


意気込めば、「はいはい」と軽く笑って流される。可愛いわ。美久も美久で可愛いけれど、律は特に可愛い。贔屓とかじゃなくて、何て言ったらいいのかしらね、これ。だから親として、私ができるアドバイスはひとつ。


「…さて。それで律、ここはあなたの変身時よっ!」


ダイニングテーブルに手を付き、思わず身を乗り出して言えば、反対側の椅子に腰かける律は反して、その身を引いた。あらごめんなさい。思いつつも私は止まらない。人間には変身の瞬間がいっぱいある。律は今までずっと、優しい楓ちゃんのことを心配してきた。それなら今度は。


「楓ちゃんを信じる方に舵を取るのはどうかしら!」


言えば律は、それでも不安そうに視線を下へと落とす。


「でも…」


そうして迷ったように言葉を濁すんだから、私はその背を逆に迷わず、押した。


「友達でしょ!信じてみてもいいんじゃないかしら!」


強く、前へ。不安なんだ、律は。楓ちゃんが心配なのはもちろん、選んだ未来の先。楓ちゃんが後悔してしまうんじゃないかって、自分のせいでそうなるんじゃないかって、不安なんだ。最早、怖いんだ。ねぇでも律子、あなた後悔したことないでしょ。後悔するなんておかしいって思ってきたでしょ。僅か7歳で、自ら両親どちらかの手を離し、どちらかの手を掴むその選択さえ。「自分で選んだ道だから、後悔なんてしてないし、しちゃいけない。した瞬間私の道は間違ってるって、自分で否定したことになる」。いつか私がスナック帰り、もちろん仕事終わり。酔って泣きながら「こんなお母さんでごめんね」と律に繰り返し謝れば、律は「もー」と困った果てに、そう言ってくれたんだ。その時律はたった11歳、小学校6年生の時だったっけ。私は大人なのに、母親なのに、子供の律子が言うそれに妙に納得したの。「こんなお母さんで」って言ったら、私は律子の母親を「駄目な母親」だと、厳しく決めつけることになる。そんなことはしたくない。


「楓ちゃんにだって、覚悟はあるんじゃないかな」


律子がお母さんを信じてくれたように、楓ちゃんも律子を信じているはず。とても強く。でなければあの楓ちゃんが、まさかあの…なんて言ったら失礼か。その…他に言葉が浮かばないわ。その、親御さんに逆らうような真似は、できないと思う。楓ちゃん自身、お母さんのお人形さんなところがあるから、尚更。だけどその楓ちゃんが踏み出したのなら、律子にだってわかるはず。


「んー…」


まだ迷う律子に、私はこれ以上上手い言葉が浮かばなくて、ただ追撃した。


「ほら、あんた楓ちゃんの友達でしょ!」


「いったあっ?!」


文字通り隣に行き、その背中を思い切り叩きながら。それにお母さんね、律にいい加減、普通の子供に戻って欲しいと思ってるの。高校の3年間くらい…。そのための準備をずっとしてきた。ねぇ律、お母さん、頑張るから。


部屋に戻り、ぬいぐるみまみれの布団に雑に寝転ぶ。考えるのは、やっぱ楓とのこと。信じろか。まあ、そうよね…。そんなの、わかってる。やっぱ、この問題の答えは周りにはなくて、私の中にある。自分の、精神との対話の中に。ねぇ、私はどうしたい?楓が心配、楓のその先が不安。楓には覚悟があるの?そもそも私は、家にお金入れるために働かなくちゃ。贅沢に全日制に通うなんて、そんなことしてられない。色んな私の声が一斉に上がる。勢いの良い花火のように。そうよね。自分の不安が、自分のことながらわかる。でもそのうちひとつは簡単に解決する。全日に通ったって、出来うる限り働けば、それだけでも母さんは助かるはずなんだから。少なくとも今より、ほんの少し余裕のある暮らしはできるはず。だからこれはいいとして。楓への心配、不安。これは母さんが言った通り、私が楓を信じればいいだけの話。これも、時間はかかるだろうけれど、解決しないものじゃない。残るひとつは、楓に、その覚悟があるのかどうか。こればかりは…。でも、でも正直、私はもうその片鱗を見てる気がするのよね。去年の11月。楓がぼろっぼろに泣いたあの日以降から。楓がずっとその顔につけていた、彼女の優しい仮面はどこか、いつの間にかどこかへと、置き去られていた。少しずつゆっくり、今では完全にどこかへと。綺麗な蔵にでもしまったのか。でもその蔵は今見ている限り、簡単には開きそうにもない。楓は本当に、変わったな。僅か半年近くで、すっかり。正真正銘の、美人になった。元々嘘をつく子じゃなかったけど、周りに頼ったり、素直に何かをお願いしたり、そんなことを覚えて。「やっと自分で”こうしたい”って、心から思えたことなの」。やっと、自分で。私には夢なんてない。生きるのに必死すぎて、そんなもの持ったことがない。今までは大人からそれを聞かれたって、子供が答えそうなものを連想して、口にしていた。パティシエ、看護師、保育士、調理師、その他諸々…。私の夢は、これまでの発言だけ見れば虹色だ。でも実際は。その時、自分のすぐ横に置いたスマホの画面が、光ったのが僅かに見えて、私はそれを手に取る。それは着信画面。謙の文字。…こいつ空気読めねぇな。思いながらでもまあ、出てやるか。受話ボタンをタップして、面倒なのでスピーカー。別に姉やばあちゃん、母さんに聞かれたって、謙との会話なら気にしない。で第一声は。


「よおちびロリ。暇だろ?」


「なわけあるか馬鹿」


お互い気なんてどこに捨て去ったのかってくらい、気の置けない言葉のぶつけ合い。「ぬいぐるみとごっこ遊び中でちたか~」とからかってくる謙に、そういえば謙は進路をもう決めたのかなと、ふと思い立った私は聞いてみる。


「うるせー。んなことより、謙は進路決まってんの?」


「ん?あーまあ。ほら、バドミントンで」


「さすがお友達がラケットのみですこと」


軽く聞けば、軽く「バドミントン」と答えられて、天才的な特技がある人って羨ましいなって思う。そもそも謙は中学だって、「バドミントン」だ。推薦?ってやつ。私にはよくわからないけれど、それでバドミントンの強豪校に入った。そっから更に高校も「バドミントン」で強豪校行きだなんて。台風並みに進む先が安定しているやつは、苦悩が少なくていいわ~。ま、他で苦労してるんだろうけれど。嫌味と同情半々の私に、謙は怒りつつも真面目な声音で、聞き返してきた。


「るせーな!ていうか、お前こそ大丈夫なのかよ、進路!」


聞かれて惑う。


「私は…」


楓と。いや、やっぱり予定通り1人で。歯切れ悪く、そこから言葉が続かない私に、謙は少し待った後、ついに我慢ならないように声を荒らげた。悪い方にではなく、明るい方へと。


「なんかわかんねぇけど、後悔すんなよ!」


「後悔するな」。私が、楓に伝えたいこと。後悔しないで欲しい。それをまさか、自分が今謙から言われて、私は目を見開く。そうだよ、後悔なんてして欲しくない。私は、私が選んだ道に、後悔なんてしない自信がある。でも楓はそうじゃないかもしれない。だから、こんなに不安で。だけど、「りっちゃんと一緒に」と言った楓の眼差しはいつになく、しっかりとしていて強かった。野暮だ、そう野暮。謙も私もこんな思いは野暮なんだ。相手からすれば大きなお世話。


「余計ってもん」


気がついて、すっきりした。1人だったら出なかったかもしれないその答えを、私へとくれた謙に、でも礼なんて言ってやらない。いつも通りの軽口。憎まれ口。


「何だよ、優しくして損した!」


「あははっ!」


私達にはそれだけで、十分だ。


翌日。教室ではいつも、最低でも叶恵を含めて3人でいて、私は楓と2人になる時間がないから、出た答えを伝えるのはやっぱりまた、いつも通りに下校のその途中となる。


「ねぇ楓」


「うん?」


呼べば楓は隣を歩く私を、見下ろした。いつの間に、こんなに身長の差が出たかな。…私だって伸びたはずなのに。楓の方が、きっと伸び代が大きかったのね。いつか2人並んでいたその背は、いつからか。ああ、これが大器晩成ってやつ?1人、内心で納得しながら、私は何か口元に浮かぶ笑みを、隠せずに伝える。


「一緒に行こ、全日制の高校」


そうすれば、楓は一瞬固まって。それから段々と元から大きくて丸いその瞳を、更に大きくさせて、満面の笑みを見せる。


「…うんっ!」


返事と同時に始まるのは、「どこに行こう?制服が可愛いとこがいいなあ、りっちゃんに似合いそうなやつ!」とか、矢継ぎ早な進学先探し。何それ、基準緩くない?


「偏差値から決めよ、偏差値から。つーか私勉強しなきゃ」


そこは楓がサポートしてくれるだろうから、何も心配してないけど。


「一緒に、いっぱい勉強しようね!」


楓と2人で、私はどこまでの高校に行けるかな。偏差値70は絶対無理だから、せめて40を目標に頑張ろ…。よし。楓と、ちょっとでもいい高校に行くため。私は気合いを入れ直していた。


りっちゃんが私と一緒にと言ってくれたから、私も固めたこの覚悟を、ぶつける時が来た。りっちゃんが私へと、「一緒に」という答えを出してくれたこの日は、丁度私のお父さんが家に帰ってくる日で。夜、私は2人を前に、和やかなこの食卓を、壊す。この一言で。


「私、創峰大高校は受けない」


その言葉に、お母さんが目を見開いたまま固まって、私を見る。お父さんも驚いていたけれど、すぐに心配そうに、私へと優しく聞いてくれた。


「…どうしてだい?」


言わなきゃ。この質問は必ずされるのだから、それこそ面接みたいに答えを用意しておくことも、私にはできた。でもそうしなかった。私はその時の私に、自分の言葉で自分に答えを言って欲しかったから。私は。


「私は、ずっと、お母さんの望むままに生きてきたと思う。中学受験も、失敗しちゃったけどほんとはすることさえ、嫌だった。」


「こんなのも受からないなんて」。泣きながら怒鳴り散らされて、私の方が、泣けなかった。「ごめんなさい」。謝ったって許されない、成功が全ての世界。


「周りはみんな、小さな頃から可愛いぬいぐるみや甘いチョコレートを手にしているのに、私だけ駄目なのはどうして?それに対して、誰もが納得できる理由を、お母さんは今ここで言える?」


りっちゃんとお揃いで買った白兎のマスコット。あれも本当は怒られた。「こんなもの!」。狂ったように怒られて、取り上げられそうになって、私はそれを必死に守る。何とか、今も守り続けている。ねぇ、どうして?


「お父さんがいつもお家にいなくて、とても大変で、寂しくて。それはわかる。でもだからって、そのストレスを全部私にぶつけていい、誰もが納得する正当な理由って、何?」


私を、納得させてよ。言い切ればお父さんは気まずそうな顔をしていて、お母さんは。少し俯いて、何か、ショックを受けたような顔をしていた。お父さんは海上自衛隊の人だし、それはとても、誇らしい仕事だと思う。お母さんは実家が資産家で、自分だって厳しく育てられたんだと思う。それなのにお母さんは、繊細なところがあるから。本当に小さい頃、お母さんが泣いているから「どうしたの」と聞けば、「何でもないのよ」と、お母さんは私へと無理に笑って答えた。手にはお父さんと私との、家族写真。お母さんは寂しいんだ。なら、私が、頑張らなくちゃ。だけど私が頑張るほどに、お母さんの私に対する要求は、無理なものが増えていって。教えて。誰が悪い訳でもないこの世界は、どうしたらみんながより安らいで、穏やかな気持ちで生きていくことができるの。でもその鍵さえ私はわかってる。私はお父さんを見た。お父さんだってきっとわかってる。だからこその気まずそうな顔で、だけどお父さんはさすが。逃げなかった。


「…すまない。お父さんのせいだね。お父さんがずっと、お母さんの言う”大丈夫”に甘えてきてしまったから」


そうだよ。お母さんに安らげる時間なんてなかった。少なくとも私が生まれて14年間、ずっとなかった。1人きりでお母さんは全てをこなしてきたんだ。お父さんだって、それを何も気にしなかったわけじゃないと思う。そんなことはわかってる。お父さんは優しいし、お母さんのことが大好きだから。子供の私から見ても、それは明らかだから。でも、そうだよ。「大丈夫?」と聞けば、いつだって「大丈夫」と、どこか陰のある笑顔をするお母さんに、お父さんは気づいてたんじゃないの…?私にさえお母さんはいつも、「大丈夫」と壊れかけの笑顔を、向けてくれるんだから。私にさえわかるんだから、夫婦の2人ならそれはもっと、明確にわかったはず…!誰も悪くない。ただお父さんとお母さんの世界がずっと繋がらず、すれ違い続けた結果、生まれたボロボロの家庭。お母さんの反応をそっと窺えば、お母さんは泣いていた。いつも、お父さんが家にいる間はずっと笑顔のお母さんが。誰もお父さんの言葉には応えない。ただ私はこの夕飯の途中、席から立ち上がると、2人に告げた。


「…とりあえず、私部屋にいるね。少し、2人で話したらどうかな」


14年分のすれ違いを、少しずつ。



「尾野ー?何か用ー?」


今日連絡先を交換したばかりの尾野から、電話が来たので部屋で1人、出てみる。そうすれば尾野は、照れくさそうな声音で素直に応えた。


「あ、えへへ。せっかく作間さんと、ID交換したので」


なんじゃそりゃ。お前は乙女かよ。もしくは犬…子犬か?こいつって何か子犬っぽい。ふと自分で思いついたことに、自分で深く納得しながら、「あっそ」と私は雑に言葉を返す。尾野とはあれから、日に1回は言葉を交わす仲。まあ、やつの狙いは楓だから、今はその外堀を埋めてるってとこかな?確かに私と仲良くなれば、楓の心も尾野へとなびくだろう。多少は。にしたって何話そうかな。謙達とは全く毛色の違う、その上まだ知り合いレベルのこいつに、私は話題でちょっと悩んでいた。


でも意外と、盛り上がればそれは不便なく。


「えー、あんたケーキも作れんの?意外」


「うん!まあ、あんまりだけど…」


尾野は料理やお菓子作りが好きらしく、様々話は転々としたが、最終的には特にその話題が中心となった。デコレーションケーキも作ったことがあるという尾野に、私はそういうのは苦手だから、素直な感想を零す。


「いいな。私まず生クリーム作れない。機械ないし」


ホイッパーでの手作りなんて、私には無理だし?思いながら私が零した言葉に、尾野は大真面目に返す。


「あ、じゃあ今度一緒に作ろうよ!道具は俺が持って行くか…嫌じゃなければ、作間さんがうちに来てくれれば!」


は?何こいつ。まじでそう言ってんの?驚いて、いや、でも…。何か、悪い気はしなくて。デコレーションケーキというものを、私も人生で1度は作ってみたくて、私は尾野からのその誘いを受けることにした。


お母さん、大丈夫かな…。お父さん、ちゃんと話できてるかな。あれからもう、1時間半くらいが経つ。こもった部屋の中で私は、何か不安で、落ち着かなくて、お友達数人とメッセージのやり取りをしていた。電話は何かする気になれず、あくまでメッセージで。そうこうしていると、部屋の扉が小さくノックされる。お話、終わったのかな?慌ててスマホを机に置き、扉を開ければ、そこにはお母さんがいた。


「楓」


いつぶりだろう、優しい声で呼ばれる。何だかすごく小さい頃に戻ったようで、何か一瞬不思議な気分になった。私はそれを慌てて振り払い、でも少しの動揺を残したまま、応える。


「お、お母さん、大丈夫?」


だけど残った動揺はけっこう大きかったみたい。口をついて出てきたのは在り来りなそれ。気遣いの言葉。を、少しどもりながら。でも、これは私が1番に思ってる気持ちでもあって。今も、もう何年も、ずっと本当のことを教えて欲しいと、思っていた質問でもあって。お母さんはそれに、柔らかく微笑んで言った。


「ごめんね」


「大丈夫?」と聞けば「大丈夫」と応えるお母さんが、初めて「大丈夫」以外を口にした瞬間だった。その「ごめんね」に、たった一言に私の目には涙が浮かび、遠く床へと落ちていく。それにお母さんはそっと口を開く。優しく、お母さんらしく。


「ずっと、傷つけてごめんね」


どこまでも柔らかく。その先はわかる。この感覚、りっちゃんといつも共有しているそれに近い。言わせてはいけない。私はさっさと口を開いた。お母さんよりずっと早く、お母さんが先に続けようとした言葉を、切り捨てるように強く。


「そんなことない」


言えばお母さんは少し、驚いたような顔をした。だけど、きっとお母さんも私と同じ感覚を今、その胸に抱いているんだと思う。言わなくてもわかる瞬間が、とっても身近な人となら、起こることがある。私の場合、それはいつもりっちゃんだった。でもきっと今からは。


「…ありがとう」


お母さんだって、その内の1人だ。


「途中で行ってしまったからお腹空いたでしょう?」。そう言われてリビングに戻る。そこにはお父さんの姿はなかった。あれ…。不思議に周りを見る私に、お母さんがキッチンに立ちながら言う。


「お父さんね、楓に合わせる顔がないって、ちょっと部屋で反省タイム中よ」


「は、反省?」


合わせる顔って。親子にそんなもの、あるんだろうか。戸惑う私に、お母さんは笑って教えてくれる。


「きっと気恥しいのよ、お父さんだって男の人だから」


そう、なの?わからないけど、私より人生経験が豊富なお母さんが言うんだから、そうなんだろう。男の人って、難しい。いつか私にも、男の人の気持ちをわかる時がくるだろうか。「ほら座ってー」。お母さんがふと口にした、その言葉に驚く。でもその言葉が、何より今お父さんと、上手く話せた証拠だってわかって。嬉しくなって私は、ちょっとはしゃいだ笑顔で頷いた。



「え~いいな。2人、進路同じにすんの?」


私と同じ学校に行くと、楓が叶恵へと話すと、叶恵はそう呟く。それに私はちょっと自虐的に応えた。


「そ。楓が私レベルにまで、志望校を落としてくれてね」


「ははっ、やっばそれ」


言えば叶恵は素直に笑う。可笑しそうに、楽しそうに。それからやっぱり「でもいいなー」なんて零すんだから。


「叶恵も、私とりっちゃんと同じとこ行く?」


当然こうなる。楓が叶恵を優しい笑顔で誘う。だけど叶恵ってのは私レベルで馬鹿だった。しかも、勉強のやる気無し、根気も無しの、ちょっと手の打ちようのないタイプ。いつも「見てこれ!」と明るい笑顔で見せられるそのテストは、私以下の0点で。だから叶恵は気の強さがよく滲む、相変わらずの笑顔で応える。


「パス!私には無理だわ。受験勉強とか」


「はは、だよねー」


それに今度は、私が乾いた笑みを浮かべた。


楓は上手いこと、両親から私と同じ高校に行く許可と、それからついでに、ずっと燻っていた家族問題を解決したようで、その家に行くと変化がよくわかる。


「わーりっちゃん、ここ間違えてるよっ」


「え?あれ?」


おかしいな、ここさっきも間違えたとこ…。全く前進してないじゃない、私。自分で自分に呆れつつ、私はその練習問題をもっかい、楓から教わる。そうしていると、楓の部屋の扉がノックされ、楓のお母さんが部屋に入ってきた。


「ごめんなさい、お邪魔するわね」


て、ここ自分の家だし、何なら自分の娘の部屋では?礼儀正しすぎて、つっこみどころの多い楓のお母さんのその手には、トレー。そしてその上にはこれまでとは違う。


「あ、チョコチップマフィンだ~!」


「お、ココアだ~!」


チョコチップマフィン2つと、アイスココア2つの甘ったるい組み合わせ。でもどっちも楓と私の好物だから、そのせいだろう。


「初めて買った市販のだから、美味しいかしら…」


楓のお母さんは、私達が勉強をしているその机に、広げていた参考書とかなんて勝手に片しながら、さっさとそう言いつつ、自分が持ってきたお菓子と飲み物を置いていく。あ、はは。もう勉強なんてすんなって?そりゃあんたの娘は優秀だけど、私はやばいって。でも好きよ、楓のお母さんのそういうとこ。


「りっちゃんの手作りには誰も勝てないもんね!」


「やだ、今度おばさんにも教えて欲しいくらいだわ…」


困り顔で嘆く楓のお母さんは、美人だ。雰囲気も何もかも、今私の目の前にいる楓によく似ていて、本当はこんな人だったんだ、この人と、偉そうに私は感心する。


「お母さんでもできるよ」


セロハンテープも仮面も何もしていない楓のお母さんはもう、おばさんなんかじゃなかった。

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