第2話

「異世界がピンチって…


あの~、すみませんがお名前は?」


「カナタよ。」


「カナタ様、何故なにゆえ異世界がピンチなのでしょうか?」


「様はいらないし、敬語もいいわ。

あなたの世界には不必要な魔力を他所の世界に供給しているの。

その中に劣化した魔力があって、そのせいで他の世界がピンチなんです。」


「異世界に魔力の供給ってラノベでよくあるやつ?」


「そうそう、亜晶斗君の言う通り。

ってか、亜晶斗君、あなたの生活でよく知ってるわね?」


「最近というか少し前から私生活に余裕が出来まして…ってカナタさん、僕の私生活を知ってるの!?」


「そうよ。

そして劣化した魔力に耐性のあるあなたを異世界に送るの。」


「耐性があるからって…

というか劣化した魔力ってなんなんです?」


「異世界に供給する魔力は生まれ変わる時の記憶よ。

前世の記憶と言ってもいい。

それを抽出して魔力にするの。」


「ということは、劣化した魔力は恨みつらみ、怒りの記憶?」


「違うわ、劣化した魔力というのは劣化した記憶、つまり認知症の記憶よ。

怒りとかの記憶は、そうね例えるなら石炭と石油みたいな関係よ。

エネルギーを取り出す方法や工程はそれぞれ違いはあるけど、どちらが上、下とかはないわ。

でも劣化した魔力は水が多分に混じったガソリンって考えればいいわ。

燃焼不全を起こしてエンジンが壊れるって考えればいいわ。」


「こっわ!

ってか、そんな物他所のに供給しちゃ駄目じゃないですか。

僕に耐性があるって事は認知症にならないって事ですか?」


今までは生徒の質問に真摯に答える教師の様な表情だったが、


「それは亜晶斗君、あなたの人生と死因が原因よ。」


とても真面目な顔で言い放った。

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