第2話 幼馴染
なずな、洸太郎、そしてその姉の凛はいわゆる幼馴染というやつで、小さいころからずっと一緒に居る。
家が近所というのもあるが、どうやら親同士も幼馴染のようで、古くから親交があるのだ。
そんなわけでなずなはもちろん、洸太郎や凛さんとは年は違えど、友達だった。
特になずなや洸太郎とは親友と言っても過言ではない間柄。
凜さんとは友達だとは思ってるけど、あの人自身は大学生でモデルなんかもやってる、少し遠い人だ。だから二人とは違って少し距離がある。
二人とはどんな時も一緒に居た。
小学校では班を作る時もなずなと一緒。
悪だくみは真面目な洸太郎を誘って二人でやった。
遊ぶときは学校の友達よりも幼馴染のみんなで遊ぶ方が楽しかった。
それは珍しいことに、高校生になった今でも変わらない。
こんな関係を築けている僕らは地球上でとても珍しく、恵まれた存在だろう。
僕は、この四人の関係がすごく好きだった。
つかず、決して離れない、この安心できる関係が。
……そしてそれと同じくらい、なずなのことが好きだった。
なずなは、昔からずっと陽気で、皆の中心にいるような女の子だった。
頭を動かす事より体を動かすことが好きで、仲良くなる前は男の子だけじゃなく女の子も巻き込んで遊んでいるのをよく見かけた。
何も考えていないようで周りのことをよく見て、持ち前の元気で明るく皆を照らし、引っ張ってくれる。
なずなはそんな強い女の子だった。
だからこそ、あの日、僕を引っ張って、皆の輪に入れてくれた時からなずなが好きだった。
なずながいなければ、この四人の仲を作ることも、守ることもできなかった。
感謝もしている。なずなにはたくさんのお礼を返したい。何でもしてあげたい。
……それくらい、なずなのことが、好きだった。
だけど僕は、四人の関係が崩れていくことが怖かったんだ。
だから、僕はなずなよりも四人でいるを選んだ。
告白なんてせず、ずっとみんなと一緒に居られたら、それで満足だったから。
でもきっと、それは本心だけど逃げていただけだったんだろうね。
僕は彼女のことが誰よりも好きだったから、すぐにわかった。
——いつだってみんなの中心、弱気な姿は似合わない僕の大好きな女の子は僕の親友のことが好きだったから。
彼女は、僕の『逃げ』を嘲笑うように、いつものように自分の思いに正直に進んだのだ。
これで僕らはきっともう一緒にはいられない。
彼女は洸太郎と自分の仲だけを壊したと思ってるだろうけど、違う。
徹底的に、蓋をし続け、触らないようにしてきた砂の城を大きく抉ったのだ。
でも、恨めない。
告白をしない選択をしてまで守ろうとした関係を壊した彼女を恨めない。
——ああ、そうだ。そんな君が、僕は好きなんだ。
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