第55話 ゲームの結末


 原始の森の出来事から暫く経ってから、隣国で改にソフィアという名前で冒険者登録をし直しました。



んで、師匠からの手紙で聞いた話。


 卒業式の日。婚約破棄もなく滞りなく終わったみたい。ヨカッタ、ヨカッタ。


いや、大丈夫かとも思ったけど、聖女様絡みでなんかあったらって、思わなくもなかったから。


 あれから、元義姉である聖女様は聖魔法の修行や原始の森へ旅が影響したのか、残念ながら首席での卒業は出来なかったんだそうだ。残念。

首席だったら、文官にすすんだのだろうか。


 男爵家は弟が継ぐことを主張し、彼女自身は卒業後は神殿へ入るんだって。聖女としてというよりは、神官として従事し、神殿のトップである神殿長とかを目指しているんじゃないかと思う。あの人、聖女ですぅとか言って収まりそうに無いもの。


ああ、ユリウス元気かな。ねえねは元気だよ。行方不明扱いだけどね。



 脳筋様は、原始の森への旅以降は物静かになったみたいで。思慮深くなり、あの旅程は彼にとって良い事であったと、両親から卒業式の後の謝恩パーティでは感謝されたって。


「俺は何もしてないのに」

って師匠は書き添えてあった。


 魔法ヲタク様は、冒険者ギルドを通じてルーベラさんを探しているんだって。転移の魔法について知りたいらしい。まあ、今はアイザックさんだし見つからないと思うけど。


もう一度、世界樹の元へ行きたいと言ってたみたいだけど、それは無理だと断っていると師匠は書いていた。


 王太子殿下は、聖剣の件でずっと落ち込んだままだそうで。弟に王太子を譲り、自分は臣下に下ると言っているらしい。聖剣を消失させたから、王位を継げないという主張らしい。


そんなん気にしなくても良いと思うんだけどな。思い込みが激しい人なのかな。そんな印象はあったけど。

で、なんか領地を貰って公爵になるらしい。


 それから、ちょっと気になっていたエリカセア侯爵令嬢。


巫女として託宣の能力を持っていたっていう話だったけど、今思えばゲームウィンドウのお陰だったのかなっと。


ただ、原始の森で何かが割れたとか騒いでたって聞いたから、もしかしたら、聖剣と同じで無くなっちゃったかなあ。

そうだと良いなと思うのは、私の希望的観測だけど。


元王太子殿下の婚約者でもあるしねえ。元義姉との間はなんかギクシャクしているという話も聞いたけど。


師匠も彼女を気にしていたみたいだった。託宣の能力があるならば、アイザックさんの事や私の事とか判っちゃうんじゃないのかと。


でも、そんな話は聞こえてこない。

まあ、ゲームウィンドウがあってもゲームやクエストに関係ない事は判らないんじゃないかなと思う。それに、卒業式でゲームは終了する。


あの時鑑定しちゃったけど、彼女には他にたちの悪そうなスキルなんかは持っていなかったと思う。


で、エリカセア侯爵令嬢は王太子殿下が臣籍降下しても一緒になるのだと言っているそうだ。誰からも横やりが入らないだろうから、それで収まってくれるといいな。



 師匠は、学園で何も問題なく過ごしているという。報奨金は無事にもらえたらしい。まあ、ちゃんと ? 仕事はしたしね。今度王都に戻ったときに受け取る事になっている。



 アイザックさんは、普段は転移を使わない。

師匠が片足を無くした件の時に、パーティリーダーが時間を作ったのを利用して、パーティの他のメンバーを転移させた事でルーベラさんになっていたようだ。


「俺は転移は使いたくない。それに今回の件があるからアイザックで安定していたい」


どうもルーベラさんでいる間は、別人格が少し入るのか、女性としての意識が強くなっていると言っていた。


アイザックさんに戻った時は、ルーベラさんとして振る舞っていた記憶が少々嫌らしい。だから、必要以上に転移を使いたいとは思えないのだとか。


ルーベラさんとアイザックさんは別々に冒険者登録しているそうで、ルーベラさんからアイザックさんは辿れないだろうと言っていた。


アイザックさんが転移で性転換する事を知っているのは、元パーティメンバーだけだから。


時偶現れると言っても、あちらこちら移動している冒険者も多いそうなので、不審に思われることはなかったそうだ。



現在、ピスタチア領に戻って来ている。


知ってる人にも会ったけど、瞳の色も髪の色も違っただけだけなのに、ソフィリアと気が付かれた事はないです。


アイザックと話をして、薬草に関しての仕事をしている。薬草採取だけでなく、薬の調合なども学んでいる。


アイザックさんは、ピスタチア領を拠点として仕事をしている。


まだしばらくは、ここで学んでいたいと言ったら、

「急がなくても良いだろう。キリが良いところで、マリウスに会いに行こうぜ」

と返してくれた。



もう少し、ここに居よう。

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