第11話 学園に出発
学園の試験は、無事突破した。
学園の入試試験は思っていたよりも簡単だった。ステイタスも無事にごまかせて、当初の予定通りだ。
フッフッフ。私の魔法は風と水。ついでに清掃も加えといた。清浄は高位と聞いたのでその下位だと言われていた生活魔法の清掃にした。
やっぱり、ヒロイン補正で選択できるようになっているに違いない。
私のレベルでも隠蔽さんが効いたのは、そういう事の気がする。実力だと自惚れてはいけない。レベルの高い鑑定持ちの先生とかがいるかも知れないから、隠蔽さんのレベルアップを頑張ろう。
入試は眼鏡を掛けて銀眼で受けたので、学園ではそれで通す。何も指摘されなかったし。男爵様らには、銀眼に見せる魔導具の眼鏡だと説明をしておいた。アンが古道具屋で偶然、見つけて買ってきてくれたことにした。
これについては、男爵様もオッドアイで目立つのではないか、変にいじめられないか心配してくださっていたようで、賛成してくれた。
試験を突破し、無事に学園に通えることになった知らせを受け、
「自慢の娘だ」
と男爵様は喜んでくれた。
その日の晩餐は、男爵様、母と囲み豪勢なものとなった。カルロスの料理、美味しかったけどさあ。
因みに私は首席なんかではない。
もしかして、母が男爵様に何かやっているのだろうか。
それとも単なるゲーム補正か。気になるところではある。
「旦那様には、いい家庭教師をつけていただきましたもの。そのお陰ですわ。
ところで旦那様、学園ではダンスの授業用にドレスが必要になるのですが。
先日、話題になった隣国との絹の取引ですが……」
話題は隣国との絹取引関係の話と、最新の流行のドレスの話に変わった。
食事に専念できるから、助かったと思っていたら。
「では、その絹で作った最新型のドレスをダンスの授業用ドレスとして、ソフィリアに贈ろう」
とか言い出す始末で。嬉しいけど、義姉のも一緒にお願いします、と言っておいた。
「そうですね、商会で扱うわけですから、よい宣伝になるかもしれません。トップクラスには、上位貴族のお嬢様がいらっしゃいますから。
旦那様、序でと申してはなんですが、私も仕立ててもかまいませんでしょうか。夜会やお茶会で着て、皆様に宣伝したいと思いますわ」
母よ、自分が欲しいのでその話をしたな。
この頃は、母は商会の手伝いもしているらしい。多少は贅沢になった気がするが、金遣いが荒くて家を傾かせることはないからいいか。男爵様の商会も順調のようだ。
どうやらお茶会も、仕事関係で人脈作りに寄与しているようだ。母が、こんなに色々と仕事ができるとは思っていなかった。
ゲームの中で、家が問題を抱えたっていうのはなかった気がするから、気にするのは止めようと思ったが、何か不穏な気配を感じる。
厄介事はやだなあ。
さあ、いよいよ本番の舞台に向かう。ゲーム開始は4年生になってからだから、まだ時間はあるけど気を引き締めていこう。
学園には寮から通うことになる。王都から少し離れた場所にあるからだ。家から通学する生徒はいない。
初めて馬車から学園を見た時の感想は、
「おお、ホグ○ーツみたい! 」
一緒に馬車に乗っていたアンには、ナニソレ的な表情をされたけど構うものか。周辺は森に囲まれて、いい雰囲気。
汽車で辿り着くわけでもないし、箒で空は飛ばないけどね。
寄宿舎に荷物を搬入した。着替えとか日用品で、後は学院の講義で使う物かな。女子寮は男子禁制なので、荷物を運ぶのはアンにも手伝ってもらった。寄宿舎は男子用と女子用に分かれている。
「お嬢様」
ここまで付いてきてくれたアンともお別れだ。寮では、一人で生活することになるからね。乗ってきた馬車で、アンは帰る。
「元気でね。色々とありがとう」
ちょっとしんみりした気分になったが、
「お嬢様がいなくなって、お嬢様手作りのお菓子が食べられなくなるのが、寂しいです」
アン、私が作ったお菓子が好きだよね。折角の別れの挨拶が、それかい。
やっぱり、大きいお饅頭は正義なのだろうか。
「アン、貴方この頃少しふくよかになった気がするわ。
しばらくは、おやつがないぐらいが、丁度いいんじゃないかしら」
アンは、ガ~ン! とショックを受けたような顔をした。
知っているよ、制服がワンサイズ上になったのを。
私が冒険者で仕事してる時にお世話になったので、山程お菓子をプレゼントした。あれが、原因かな。それとも私のおやつを食べて貰ったのもあるか。カルロスに
「ちょっと多めにしておいてね」
ってお願いしておいたのが、敗因だったかも。御礼のつもりだったんだけど。
ごめんね。
部屋は1年から3年迄が二人部屋になる。4年から一人部屋になるという。
相方はどんな子だろう。仲良く慣れると良いな。と、思ったら
「ああ、君は一人部屋になった。人数の関係だ」
普通は高位貴族のお嬢様が一人部屋じゃないの? と思ったのだが…。
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