第2話 最初の決意 1


 さて、これからどうしよう。スタンダードなストーリーだと義姉とは結局折り合いがつかず私達母子の印象は悪いままのはず。


実は、後から判るんだけどあの義姉は、自分の同級生達に私の有る事無い事を告げ口する。この同級生が、悪役令嬢になる王太子の婚約者様だ。


それもあって王太子の婚約者はヒロインをいじめることになる。だから、ヒロインが真っ当に振る舞っても、王太子に近づく限りはいじめられることになる。


2周目からプレイできるのは、この公爵令嬢。まあ、他の攻略対象者の婚約者に色々と吹き込むのも、義姉だったりするのだ。


できれば、公爵令嬢の方が良かったかな。いやまて、王妃教育とか受けて大変だったよな。公爵令嬢じゃ無くて、良かったかもしれない。


それからソフィリアの能力って実はなんパターンかあった。

私は1周目は聖女パターンしかプレイしてないけど、あとは賢者と魔導師だったような気がする。

このゲーム、リセットすれば、1周目をパターンを変えて攻略できる。リセットをしないでEDを迎えて、再びゲームを始めると2周目からになる。2周目しか悪役令嬢パターンはなかったので、それしかやってないんだよなあ。だから、あんまりヒロインの話は詳しくない。


最初にヒロインの特性選択ができて、聖女だと王太子、賢者だと将来の宰相、魔導師だと将来の魔法騎士団団長がお相手に用意されるという初期設定だった。特性選択を任せると聖女になるのよね。

そういえば。隠れキャラもいるという噂を聞いた。見たこと無いけど。何だったっけ。


ゲームなら能力の選択ができたけど、今の私はどうなのだろう。魔王が出現するとかは無かったけど、世界樹が瘴気によって弱まってしまうのをなんとかするとかいうのがあった。

聖女のパターンの時だけかもしれないけど。


悪役令嬢の時に、世界樹が出てこない話もあった気がする。気がするばっかりだな。そんなに明瞭にゲーム内容なんて覚えてないよなあ。


なんで、転生物はあんなによく覚えているんだろう。それだけメッチャプレイしてたのかな。もう少し、真面目にゲームしとけば良かった。


ヒロインの全種類のエンディングについては、そこまでプレイしてないからあまり知らない。


私がプレイしてたのって、悪役令嬢中心だったから。だって悪役令嬢のほうが好きだもの。でも悪役令嬢の方のストーリーをプレイしていたからこそ、義姉がソフィリアを嵌めようと暗躍していたっていう部分も知っている。

そっか、隠れキャラを見たことないのは、悪役令嬢だとないからかもしれない。でも、悪役令嬢側もそんな全部知っている訳でもないからな。


ソフィリア側の話だけだと、義姉はあまり登場してこない。殆ど顔を合わすことがないようになっていた。

ヒロインの方は、避けられていたんだろうな。自分の悪い噂も知らなかったし。だから、悪役令嬢側から見たときに、なるほどね〜って思った。


だって1周目の時に思ったんだけど、悪役令嬢のソフィリアに対する偏見て、ちょっと変だった。婚約者を取られそうというだけではない、ソフィリアへの決めつけというか偏見が凄かったから。ソフィリア自身はそんなに変な行動はとっていない場合でもそうだった。


まあ、自分は義母に虐げられただの、義妹に母の形見を取られただの、色々と吹き込んでたからなあ。それが本当かどうかなんて聖女ストーリーの時には描かれていないのでわからなかったけど。


だって全寮制なのよ、ゲームは学園に入ってからの話でそれ以前にどんな生活していたかなんてわからないじゃない。


休みのときもヒロインは家に帰らなかったし。義姉の言うことが本当かどうかはゲームの中では判断がつかなかった。


やった方はそうとは思ってなくても、やられた側がそう感じたらそれがやられた側の真実になっちゃうでしょう。


ソフィリアの行動って時々天然のところもあったし、平民と貴族の感覚の違いもあったかもしれないって考えられるじゃん。


悪役令嬢側で何パターンかプレイしたけど、ソフィリアが転生者パターンとか、性格が悪いパターンとかもあったのを考えると、場合によっては義姉の話は本当の話だったのかもしれない。


嘘だったとしても、まあこんな関係性だからなあ、嘘つきたいというのがわからなくもない。プレイヤーでいるときは、楽しかったけど。自分がその立場になると、面倒くさい。


ああ、自分がヒロインだから、ヒロイン贔屓に考えている気がする。気をつけよう。


 さて、この先を考えるに当たり王太子に見初められ王太子妃、ゆくゆくは王妃になりたいかと問われれば、答えは否だ。


まずは、そんな面倒くさいものになりたいと思わない。悪役令嬢、エリカセア公爵令嬢カロネイス様は、もの凄く努力していらっしゃった。男に生まれてたら、カロネイス様一択だったのに!


私、彼女のすっごいファンなのよ。ああ、でも義姉と友人だから、ソフィリアになっちゃった私が近づくのは無理かな。他の悪役令嬢候補もカロネイス様と中が良かったし、当然義姉とも仲が良かった。だから義姉の話は鵜呑みにしちゃうだろうな、残念。


それに攻略対象は全員、婚約者が居ながらソフィリアに懸想するんだから、✕。✕✕✕!浮気男なんていらない。


たとえ婚約者が性悪だったとしても、きちんと婚約を解消してから次にいくべきだ。それにどんなに性悪な婚約者だったとしたって、自分が浮気しておいて婚約破棄って自分勝手も甚だしい。


自分のやっていることは棚に上げて、相手側の小さなミスまでえぐり出して責任を押し付けて婚約破棄とか、どんなに格好良くたってそんな奴は願い下げ! 相手が悪事を働いたなら、然るべきところに届け出て対処すべき。


婚約破棄で勝手に宣言するなんて、法治国家ではないとしたってそんな国も嫌だ。まて、この国は立憲君主制だったはず。やっぱりこんな王の国は余計に嫌だ。


 なんでこんなにムカつくのか。ああ、そう言えば、このゲームやってたとき、彼氏に浮気されて別れてたわ。あの野郎、取引先の受付の娘と二股掛けてやがった。


浮気するような男は、また次々に浮気していくものなのよ。そんな奴、こっちから願い下げだ、馬鹿野郎!


嫌なこと思い出したな。

もっと建設的な役立つことを思い出したい。よし、攻略対象は総て無視しよう。方針一、決まり!

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