第11話

風邪を引いてその翌日、私と美月は荷物をまとめて、我が家に足を運んだ。私たちがこのように荷物をまとめて運ぶ理由は、彼女があの時、私の家で一緒に暮らしたいと言ったからだった。


両親は、荷物を持って一緒に暮らしに家を訪ねてきた彼女を見て、一瞬、慌てた様子を見せたが、しばらくすると、二人とも美月に対して、明るい笑みを浮かべながら、嬉しく彼女を歓迎してくれた。


そして、家に帰ってきた私は長く悩んだ末、両親を部屋の中に呼んでは、両親にミヅキの妊娠と結婚に関する話を伝えた。


「お母さん、お父さん、私が美月を妊娠させたみたい。このことは何とか私が責任を取るから、彼女との結婚を許して欲しい。」


私は、両親の目の前で土下座をしながら頼むように言った。 私のそばで、ひざまずいて座っていた美月は、そんな私を見て少し微笑んだ。


両親は私の話を聞いて、驚いたらしく、母と父の表情はますます暗くなり、深刻な表情に変わっていった。両親はあごに手を当てて、「ウム」という音とともに、しばらくの間、悩んだ。


しかし、両親もこのようなことはある程度予想していたのか、それが私の選択なら両親は私を応援するという言葉を残して、彼女との結婚を許してくれた。私はそんな暖かい両親の反応に、目から涙が少し出て目元を濡らした。


その日以来、美月は私の家族と一緒に暮らすことになった。


しかし、それ以来、ミヅキと一緒に暮らすようになった私には一つの悩みが生じた。実は、これを悩みと言ってもいいのかはよく分からない。


その悩みとは、美月が私と同居するようになり、最近、彼女が私の体を頻繁に要求し始めたことだった。


もちろん、こんなにきれいで、美しい女性が私のことをこんなに好きなのに、これを悩みだと言えるのかと反論してくる人がいるかもしれない。確かに、美月は美女で、とても魅力的な女性だ。


しかし、彼女はまるで発情でもしたのか、私に休む暇を与えず、時間があるたびに、私の体を要求してきた。まるでメスが自分の中にオスの情報を刻むように。


私が少しでも拒否するようなジェスチャーをすると、彼女はすぐにでも泣きそうな顔をして、私の同情心を誘発したり、私が彼女を襲うように誘惑した。


彼女が私にそうする度に、私の頭の中には、美月の妊娠のことが過り、哀願するような表情をする彼女を見て、私は仕方なく私の体を許した。


しかし、これは間違いだったのかもしれない。


日がたつにつれて、美月の私の体を求める回数はどんどん増えていった。


その理由は簡単だった。


ただ、より多くの私の愛が必要だという理由だった。


私の愛を求めてきたときの彼女の表情は、まるで今まで温かい愛に飢えてきたかのような表情をしていた。


私は、なんとかそんな彼女の関心をそらすために、美月に外へデートしに行こうと言ってみたり、一緒に趣味活動をしようと、提案したりもした。 特に、彼女が好きな小説を読むことで、彼女の興味を引いたりもした。今まで私たちは、ずっとお互いが面白く読んだ小説を交わしながら、感想を話したりした。


しかし、それも一時的なもので、すぐに彼女は私の体を要求してきた。美月は朝、昼、晩の場所と時を問わず、機会があれば私を襲った。


特に、家では喘ぎ声が絶えなかった。部屋には後片付けをするためのティッシュがゴミ箱や机、床の上に、どんどん積まれていった。


私の体は日々が経つにつれて、そんな彼女によって疲弊していった。


少しづつ危機感を感じ始めた私は、ある日から美月と少し距離を置き始めた。 彼女が私に近づくと、私はよくお腹が痛いという言い訳をして、できるだけお腹の痛い演技をしながら、トイレに向かった。 幸いなことに、彼女はトイレに行く私についてこなかった。しかし、この方法には明確な限界があった。


私はその他にも、外に運動をしに出かけるとか。 勉強をしなければならないなど、いろいろな方法を使ってみた。


しかし、美月はすぐそんな私の態度に気づいたらしく、彼女はもっと私にくっついて離れようとしなかった。彼女は私の腕を両腕でしっかりと抱きしめた。


私はそんな彼女に怒ることも、両親にこれらの彼女との問題について、相談することもできなかった。そんなことをするのは彼女を裏切るような気がし、彼女に申し訳ない気持ちになったからだ。


このように、私に対する彼女の執着は良くなる気配がなかった。



***



ある静かな夜。


私は自分の部屋の中で、寝る準備をしていた。しばらくして、寝る準備を終えた私は、布団に身を任せながら床に横になった。床に横になると、今まで溜まっていた疲れで、瞼がだんだん重くなり、目が閉じて眠りについた。


私が寝てから、間もなく。ドアノブが回る音と共に、部屋のドアが静かに開き、誰かが私の部屋にこっそりと入ってきた。 部屋に入ってきた誰かは、再びそっとドアを閉めたのか、ガチャガチャという音が聞こえた。


足音が聞こえ、しばらくして私の部屋に入ってきた誰かは、私の体の上に上がったのか、体の上で重い感じがした。


重い感じで目をゆっくり開けてみると、目の前には、案の定、紫色を放つ両目と、青色が宿った黒いロングヘア。 窓から差し込む月明かりに照らされる美月の姿が見えた。彼女はパジャマ姿で馬に乗る姿勢で、私の体の上に座っていた。


しかし、私は、そんな彼女を無視するように、横に振り向いて彼女を落とした。


そんな私の行動にも関わらず、美月はあきらめずに、私を誘惑しようと、再び私の体に乗り込み、彼女の柔らかくてしっとりとした舌で私の首を舐め始めた。


ぺろ。ぺろ。


だが、私の体はすでに疲れていたし、私の体は何の反応も見せなかった。私は今、彼女とするつもりは全くなかった。それに、最近は美月のそのような誘惑方法には、ある程度、耐性ができている状態でもあった。


布団の中で横になっていた私は、何も言わずに、私の体に乗っている美月の肩をつかみ、彼女をそばに敷いてある布団の上に寝かせた。


そして、私はまた布団の中に入って、眠りにつこうとした。しばらくすると、眠気が襲ってきては、思わず眠りに落ちた。 疲れている体のために、いびきをかきながら寝ている私。


彼女は、そんな私の態度にすねたのか、真っ白な頬を膨らませながら、静かに布団に入った。 彼女は布団の中に入りながら、小さな声で何かをつぶやいた。絶対に、私を惚れさせると、自分だけを見るようにして見せると。



***



その夜以降、美月は少し違う方法で私に近づいてきた。


私は、気分転換も兼ねて、部屋の中で一人で、机の椅子に座って、小説を読んでいた。 久しぶりに落ち着いて小説を読んでいると、集中がよくできるような感じがした。


そのように、静かな雰囲気とともに、1ページ1ページの本をめくりながら、小説にはまっていた時。


しばらくすると、トントンという音とともに、部屋のドアが開き、腕を後ろにして、後ろに何かを隠した美月が部屋の中にゆっくり入ってきた。部屋に入ってきた彼女の表情は、どんな意図で入ってきたのか全く分からない意味深長な表情だった。


美月は部屋のドアをまたそっと閉めた後、椅子に座って小説を読んでいる私に近づき、ビール2缶を背中から取り出して、そっと私の顔に当てた。


頬から感じられる、冷たい感覚に、首を回して後ろを見てみると、手にビールを持っている彼女の姿が見えた。そんな彼女の顔には、何か幸せそうな表情が含まれていた。そして、彼女から滲み出る何かいい香りと共に、彼女の手に視線を移して、彼女が手に持っているビールを見ると、ビールの表面には、凝結によってできた水滴がぶつぶつとついていた。 どうやら冷蔵庫に保管されていたものを持ってきたようだった。


私は彼女の手に握られている、かなり涼しそうなビール2本を見て驚き、この歳でなんでお酒と彼女に聞いた。


「うん?なんでお酒?」


「良太、私と一緒にお酒飲まない? 少しなら大丈夫だから…うん?」


彼女はそう言って、私と一緒に飲もうというように、片手に握られていたビール缶を開け、机の上に置いて私に渡した。


缶のふたが開いたビール缶から、気泡が上がる音とともに、ビールの芳しい香りが上がってきた。しかし、私は彼女の提案に断り、ビール缶を横に押した。そして、また、自分の手に握られている、小説に目を移し、読み始めた。美月は、そんな私の姿を見て、少し怒ったかのように、表情を少しゆがめた。


そして、彼女は私が横に押したその缶ビールを手でつかむと,一口くちに飲んでから,手で私のあごをつかんだ後、そのまま私に顔を近づけて、キスするようにごくごくとビールを流した。彼女の口の中のビールがゆっくりと、私の喉に流れ込んできた。それとともに、ビール特有の苦味が全身に広がるような感じがした。


ビールが私の喉を伝って進むと、頭がぼーっとする感じがして、少し視界がぼやけてきた。


「急に何してるんだ…」


私はいきなり、ビールを流し込ませた美月に少し怒った声で言った。それから、しばらくすると、頭が急に左右に揺れ始めた。確かに目の前でじっと立っているはずの美月の姿が、少しずつ揺れて見えた。


そして、鼻から感じられる香ばしい香り。美月はフェロモン香水でもつけたのか、頭がぼうっとするほどのいい香りが、彼女の体から吹き出した。

あまりにもいい香りだったので、とてもきれいなミヅキの姿が何倍も美しく見えた。朦朧として、まるで、夢でも見ているような気がした。


そして、私の前にいる彼女は、私に気を引き締める暇を与えず、またビールを一口飲んでは、私にキスしてビールを流れ込ませた。 再び、私の首を伝って進む苦いビール。彼女はその行動をそれから、何度も繰り返した。


時間が経てば経つほど、彼女から出るフェロモンの香りと酒気が、私の理性をだんだん失わせた。 彼女の誘惑に振り切って、立ち上がらなければならないのにと思いながらも、私の体は私の言うことを聞いてくれなかった。


そのようにして、私が、完全に理性を失う直前、私の頭の中には一つの考えが素早く過ぎた。


私がまた、彼女の誘惑に落ちたんだと。


しかし、そう考えた時はもう手遅れだった。目の前を見ると、彼女は愛らしい目で私をじっと見つめていた。


しばらくすると、私は、結局、彼女の誘惑に勝てず、前にいる彼女を襲い、ベッドに寝かせた。 そして、いかれた動物のように彼女の体に頭を突っ込んで、激しく彼女の体を愛撫した。彼女の体からは本当にいい香りがした。すると、体をびくびくさせながら喘ぎ声を上げる美月。


「みづき、みづき、みづき。みづき…」


私は何度も彼女の名前を呼びながら、彼女の体を味わっていた。美月はそんな私を見て世の中を全部得た表情で私を両腕で抱きしめた。すると、私の顔に触れた柔らかい感触の彼女の胸。それと共に私の心の中で強く広がるある欲望。


今日、彼女を絶対に寝かせないと。


私はその夜、性欲に溺れた野獣のように、彼女を犯し続けた。

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