第21話  力

‘’あのコ‘’から出てきた青い球体は彼に変化した。

「まったくコイツの中は息苦しくて居心地悪かったぜ。」

頭を掻きながら無愛想にしていた。

「何で??オマエは俺様に取り込んで消えたハズだ!」

‘’あのコ‘’は彼の姿を見て驚きながら彼を掴み取ろうと必死になっていた。

「おまえがアイツに近寄らない様に見張ってたが、回りくどく力を蓄えやがって、本当やることがゲスだな。」

「何だと!!

今度こそ俺様がオマエを消し去ってやる!!」

‘’あのコ‘’は彼に襲いかかりそうだった。

「俺様??

分かってると思うが、おまえは俺から生まれた闇なんだぞ!

おまえが俺を消せる訳ないだろ!」

‘’あのコ‘’が彼から生まれた闇なんて思いもしなくて私は戸惑っていた。

「オマエ、人の願いを聞いてきて人がいかに強欲で愚かな生き物だと知り、俺様を自分で生んだんじゃないか!

幼かったコイツに出会って願わない人間がいる事を知り、俺様をオマエの中から勝手に分裂させたんじゃないか!

俺様が何をしようとオマエには関係ないだろ!」

その話を聞いて私は思い出した。

幼い頃、私はいつも一人で淋しくて泣いていた時に彼が現れたんだ。

…泣かないで、君の願いを叶えてあげるよ。…

って言われて私はその時に何て彼に答えたのか考えていた。

「勝手何かさせるかよ!

‘’願い神‘’なのに自分の心の弱さでオマエを作ってしまったんだから、俺が責任を持ってオマエを始末する!」

彼は青い光を纏い‘’あのコ‘’を睨みつけた。

「笑わせるな!

今は俺様の方がオマエより力があるんだぞ!

俺様がオマエに負ける訳はないな!

オマエもこの娘も俺様のモノにしてやる!」

‘’あのコ‘’は口を大きく開いて私達を吸い込もうとしていた。

彼は私の前に立ち呪文の様な言葉を唱えた。

‘’あのコ‘’も彼もお互いの力をぶつけ合いすざまじい勢いで、私はただ彼を見守るしか出来ないでいた。

「おまえの力も俺に貸してくれ!」

「わ、私どうしたら良いの?」

「俺の背中に手を当てているだけで大丈夫!」

私は彼の言う通り背中に手を当てるとスッと彼の中に手が入っていった。

「えっ!?

ねえ、大丈夫なの??」

「大丈夫!これで俺の中におまえの力が伝わって強くなれる!

怖がらないで俺に任せて!」

私は驚いてはいたけど全然怖くはなかった。

むしろ彼の温かさが心地良く、私も強くなれた気がした。

「オマエ、ソイツを取り込むのか!?」

‘’あのコ‘’はそう言うと震えながら私達を恐れだした。

「さあ、消えるんだ!!

闇のオマエは光に溶かされ消えゆくがいい!!」

「ヤメロー!俺様は、俺様は……」

彼から放たれた七色の光に‘’あのコ‘’は溶かされカラカラと音をたて消えていった。

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