第20話 戻
‘’あのコ‘’の怒りは前よりも力を増し、ビルの中にいるのにまるで嵐の中にいるかの空間を作っていて私は体を必死で支え立っていた。
「俺様に命令するなんてとんでもないヤツだ!
許さないぞ!
絶対に許さないぞ!」
ピカッと眩しい光が放たれ私は顔を伏せた。
強風が止み不気味なカラカラと鳴る音が響きわたり始めた。
「やっと元に戻れたぞ。
これで誰も俺様に敵わないぞ!!」
声の方を見ると闇に包まれた‘’あのコ‘’が姿を現していた。
「元に戻れたって何!?
そんなの知らないけど、早く彼女を返しなさいよ!」
私が言うと‘’あのコ‘’はニヤリと不敵な顔をした。
「彼女?あ〜〜彼女ね。
俺様の一部に取り入れたから、もう返せないな。
おまえが悪いんだよ。
俺様を本気で怒らせるから彼女は居なくなった…
まあ、怒らせなくても彼女はこうなる運命だったけどね。」
「運命って…
始めから、そのつもりだったんでしょ!」
彼女を利用して、結局自分のモノにした‘’あのコ‘’のズルさが許せなかった。
「そもそも、おまえがあの時に俺様に願っていればこんな事にはなってなかったんじゃないか?
彼女もまた願う事も無かったな。
ほらやっぱり、おまえが悪いんだよ。」
取って付けた言い訳をしながら満足気にはしゃぎ出していた。
「で、おまえの願いは何だ?
裏切った彼女を返せって言うか?
彼女は大切な友達だもんな。
今おまえの願いはそれしか無いだろ?
でもな、彼女を俺様から出した所で彼女が彼女のまま戻れるかも保証は出来ないし、代わりに俺様はおまえを貰ってもっと強くなるけどな。」
笑いながら言い寄る‘’あのコ‘’の気迫に私は言葉が出なかった。
〜コイツに絶対に願うなよ。コイツの口車に乗るんじゃねえよ〜
微かに聞こえたその声は彼の声だった。
でも彼の姿は見当たらず私は周りをキョロキョロ探してた。
「おまえ何探してるんだ??」
‘’あのコ‘’は不思議そうに私を見て首を傾げていた。
〜コイツは俺を自分に取り込んだと勘違いしているから、俺が取り込まれていない事にまだ気づいてない。
いいか、何を言われてもコイツに願うと絶対に言うなよ!〜
私は彼が此処に居る事が嬉しくて気持ちが安堵に満ちていた。
「何か、おまえ変な顔してるぞ。
……
まあいいや。
さあ、早く俺様に願ってくれ!」
私はポケットの御守を握りしめ気持ちを切り替えた。
「私はあなたに願わない!!」
気丈に向かって言い放つと地鳴りがし‘あのコ‘’’が震え出した。
「彼女返して欲しいんだろう?
何故、まだ願わない!
俺様にしか願いは叶えられないんだぞ!!」
次第に床が大きく揺れだし私はその場に倒れ込んでしまった。
「意地を張らないで俺様に願え!!」
その怒鳴り声に耳を塞ぎながら心の中で
…助けて、私一人じゃダメだよ…
彼を求めていた。
〜やっと助けを求めてくれたな。
俺がコイツからおまえを守ってやる〜
その時‘’あのコ‘’の背中から青く光る球体が飛び出した。
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