第17話 企
女性は2,3日考えて連絡して欲しいと電話番号を書き残し帰って行ったけど、私はどうしたら良いか迷っていた。
‘’あのコ‘’に会いたくないけど、彼女がまた巻き込まれてしまっているのは事実らしいし出来れば助けてあげたい気持ちもあった。
でも私に何ができるんだろうか?
あの時は彼が居て守ってくれていた。
けど今は……
私はどうしても彼女の口から真実が聞きたくたて連絡をとった。
彼女は会う事を渋っていたけど、女性と会って話をしたと言うと諦めたように会う約束をしてくれた。
公園で彼女を待ちながら色々考えていた。
そもそも願いは一度叶えた人には叶えないって言っていたはず、それに願いを叶えた人には会わないって言っていたのに、何故?彼女の前に現れ願いを叶えたのか?
あの時‘’あのコ‘’のルーティンが変わってしまったのか?
それに彼女はあんな思いをしてまで苦しんだのに、どうしてまた願ってしまったのか?
一体何が起きているのか分からなかった。
彼女が苦笑いをしながらやって来た。
「お待たせ…」
「忙しいのにゴメンね。」
「あの女の人から全部聞いたのよね?」
私は頷いた。
「そっか…
私の事、嫌いになった?」
涙を拭う彼女を見て私は驚いた。
あの時失った彼女の左眼が何も無かった様にあった。
あの時あげたと言って眼帯で覆っていたのに、普通にある眼を見て言葉を失った。
「驚いたよね?…
この前会った時は眼帯で見せなかったけど、もう左眼はあるんだ。」
「どういう事!?」
「返して貰ったの…
返してあげるって言われて…
それが出来るのは僕だけだからって…
だから、私は‘’あのコ‘’の言う事は聞かなきゃいけないの…
だからって人を‘あのコ‘’’に紹介して…
私…酷いヤツだよね…」
泣き笑いしながら言う彼女は痛々しく見えた。
「‘’あのコ‘’…
あなたが欲しいものを見抜いてわざと言ってきたのよ。
あなたが自分の口車に乗って来るのが分かってたんだわ!
本当に酷いのは、‘’あのコ‘’だよ…
あなたは悪くないよ…」
‘’あのコ‘’のやり方が酷くて私は許せなかった。
もともと何かを餌に仕掛けて来るのは知っていたから、彼女の話を聞いて納得がいった。
彼女の願望を餌に利用して自分の言いなりにさせている。
「‘’あのコ‘’は今度は代わりに
〜願いがある人を連れて来い〜
って言って来たのね?
他にはあるの?」
彼女は言いにくそうに
「私にはそれだけだけど…
力が戻ったらやる事があるって言ってた…」
「力が戻る!? やる事って??」
「私は怖くて何も聞けなかった…」
‘’あのコ‘’は何かをしようとしているのか?
自分の力を増す為に人を喰い続けていたんだと思うと恐ろしくてたまらなかった。
一体どれだけの人が犠牲になったかと考えると、‘’あのコ‘’を野放しにしてはいけないと思った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます