第2話  眼 

あれから1週間、私は厄介事だと思っていても彼女に会いに行った。

公園に着くと既に彼女は待っていて、笑顔で手を振っていた。彼女はまだ傷跡が残っていたけど元気そうだったのでホッとしていた。しかし左の眼帯に気づいて足を止めた。確かあの時には無かった事を彼女に聞いてみた。

「ねえ、左眼何とも無かったよね?

もしかして…あれからまた酷いめにあったの?」

「違う違う〜

これは私があげたの」

彼女はサラッと答えた。

「あげたって?」

「私の左眼が欲しいって言うから、あげたのよ」

私は話が全然見えなかった。不思議そうな私をみて、頭を優しく撫でながら笑顔でいる彼女が謎すぎて、どう接したら良いのか困っていた。

「大丈夫だよ。私は守られたから、もう酷いめには遭わないからね。心配ないよ。」

「それはどういう意味?」

「うふふ、私は守られて怖いものは消えたの。だからもう嫌な思いはしないから。」

聞けば聞く程、彼女の話が分からなかった。

ただ彼女の眼帯姿を見てだんだん悔しくなってきた。

「本当に代わりにあげたのなら、何か嫌だな…」

私の一言に彼女から笑顔が消えて淋しげな顔をして俯いてしまった。

気まずい空気が暫く流れ、彼女は話し始めた。

「私ね、親が再婚してからずっと義理姉に意地悪されてたの。でもね、親はその事を知らないの。怪我しても私がドジだから、どうせまた転んだんだろう位で笑われておしまい…

私も心配させなくて我慢していたんだよね…」

深刻な話しは苦手な私は黙ったまま携帯を握り締めていた。

「でもね、日に日に悪どいイジメに変わってきて…私これ以上は許せなくなちゃったんだ。」

「で…どうしたの?」

私が聞くと彼女は少し戸惑いながら

「頼んだの…扉のクレに…もう嫌な事されないようにして欲しいって…」

「扉、開けたの?」

私は驚いていた。あんなに怖がっていた彼女が扉を開けるなんて思わなかった。それに何かが居るなんて想定外だった。本やドラマのようで現実にそんな奇妙なモノが居るなんて信じられなかった。

「信じられないよね?

私も扉の向こうは何にも無いと思ったけど、イチかバチか開けてみたの。

あのコは私の希望を叶えてくれた。だから、あのコの欲しい物をあげたの。」

私は聞かなきゃ良かったと少し後悔していた。

確かにつまらない毎日の中刺激は欲しかったけど、彼女と会ってあの家の扉を知り、たった数日でこんなにも濃くて異様な出来事に出会せ刺激に満ちていたが動揺を隠せないでいた。

‘’願いの代償が体の一部なんて有り得ない。

あの扉のあのコって何者なんだろう?

悪魔?ナイナイ〜

魔物?ナイナイ〜

そもそもそんな物が存在するの?

それとも彼女の幻想?

じゃ、彼女の左眼は自分でしたの?

怖すぎる…‘’

グルグルと頭を駆け巡る妄想に冷や汗をかいていた。

「でも、あなたは扉を開けないでね…」

真剣な顔をして彼女は私を見つめていた。

「きっと、色んな意味で後悔すると思う…」

小さな声で言った彼女は流れる雲を見つめていた。

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