第2話
「4番隊ただいま戻りました」
「はーい!4番隊の皆さん巡回お疲れ様です。おかえりなさい!」
南門から入ってすぐに噴水公園がある。そこを中心に周りに出店や屋台が占める。このすぐ近くに詰所はあった。
「パルフィ、とうとうカマロとアジアナが3回指導入ったから懲罰房の手続きよろしく」
「思ったより早かったですね。シンディ先輩とマリック先輩が次にしょっ引かれるのがいつになるかで賭け事してましたよ」
「隊長にちくっとけ」
「隊長は三日に賭けて早々に負けてます!」
「おいおい大丈夫かよあのオッサン」
パルフィは主に事務を担当している。受付、取次、書類仕事はなんでもござれ。若葉色の髪をきっちりとツインテールでまとめ、今日もにこやかに対応していた。
詰所といっても兵士たちがむさ苦しく待機しているだけではない。市民からの苦情の対応や問い合わせ、果てにはアッシュレイクにくる観光客や出稼ぎへの案内も業務の一環である。
「この人はミリーさん。ダンタンから人に会いに来たらしい。対応任せていいか?」
「いいですよ〜。ミリーさんこちらへどうぞ!」
パルフィは奥のカウンターへミリーを案内した。
「阿保共のせいでまだ食事もできてないらしい。この前貰った焼き菓子がまだあるはずだから用意してあげて」
「ありがとうございますぅ。ご馳走になりますぅ」
どうやら自分もちゃっかりつまむようだ。
「あまりつまむとまた太るぞ」と言えば「うるさいですよ!」と小言が返ってきた。
「これで俺の業務は終わりだからミリーさん案内して帰宅するよ。
ミリーさん、パルフィに任せればすぐにわかりますから詳しく相談してみてください。自分が戻ったらそのまま案内しますから」
「何から何までありがとうございます」
「これも仕事ですので気にしないでください」
ミリーはやっとゆっくりできたからか、イスに座るとへたりと脱力した。
予想外の出来事があったものの、こうして腰を下ろして相談できることに安心した。またその相手は年も近く感じのいい女性なのだ。はじめに助けてくれたナサニエルも、親切にしてくれてよく話も聞いてくれる。
パルフィが運んできた温かいお茶と焼き菓子を口にすれば胸の中がなんだかほかほか温かくなった。
「そういえば。ナサニエル先輩はホーク君の訓練見てあげる約束してませんでした?」
「あれはまだしばらくは基礎訓練。体力に筋力に足りないだらけだからな。もう半月は現状維持」
「きっびしー!」
「と、隊長からの指示」
「隊長きっびしー!」
「ああもう、サボらず仕事しなさい!ミリーさん困ってるだろ」
「きゃー!ナサニエル先輩きっびしー!」
ナサニエルの拳がパルフィの頭に落ちた。
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