第3話 哀愁の暗中模索

僕が資格を取ろうとするのを辞めたのは

人生最後に挑戦した資格試験があまりにも高額すぎて


そしてあまりにも難しすぎて落第したからだ。


100万円近く出して受けた試験を「リベンジだ」なんて言って

再挑戦する勇気は僕にはなかった。


年収500万にも満たぬサラリーマンにしてみれば高額すぎるから

やる気をくじく、やりたくない理由にしてみれば上等でしかない。


試験を受けたのは2日間だったが、

1日目にして試験を受けたことを後悔したくらいだった。


もうこの資格は取れないと思って

1日目にして諦めて、次どうするべきか

ずーっと考えていたのだ。


2日目の資格試験の帰りの電車の中で

両足でまともに立てないくらいの放心状態。


なにせ、100万円が飛んでしまったのだ。

およそ5ヶ月分の給料が消え去ってしまったわけだからな。


失った100万は、安月給の中でどうやりくりすれば?

これを取り返すにはどうすれば良い?


これからどうして行こうか?


「考える」というアクションがあまりにも辛すぎたのだ。


ただ、心のどこかで

「今の仕事は一生やりたいことじゃない」


ということは引っかかっていた。


いつになるかわからないが「会社を辞める」

というアクションを取るんだろうな、


という思いもあった。


当時は「コーチング」と呼ばれる

「自分のやりたいこと」を引き出す技能を学んでいたので


会社でやっている仕事が「本当にやりたいこと」でないと気づいていた。


どこかで「会社を辞める」という選択をしない限り、

自分の心を満足させることはできない


それは会社で働いている日々の中で、常に考えていた。


会社を1日でも早く辞めるにはどうすればいいか??


どうすれば「やりたいこと」だけして生きていける?


やり方を模索してはいたが

手探りで行き当たりばったりもいいところ。


旅の行く先は一体どこになるのやら??

暗中模索でしかなかった。


「はぁ。人生つまらないことだらけだなぁ。」


この日も安月給のサラリーマンの哀愁が漂うー。

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