第4話 「一歩一歩の積み重ねを思い出す」ということ

思うに、人というのは結果を第一に考えて、

ここまでの過程の積み重ねをないがしろにしてしまう。


「結果出さなきゃ」

「認められたい」

「受講料高いから一発で受かりたい」


承認欲求というやつが強すぎて

性急に結果を求めていたのも事実だった。


結果が欲しいからカンニングとか

あるいは試験の予想問題を解くだとか

結果を出すのにもっとも楽な手法を取ろうとする。


資格をたくさん取りまくってる先輩には

「細かいことは後で勉強すればいいから、まずは黙って資格を取ればいい」

なんて教わったことがある。


たしかにそういう手法は結果を出すのには便利だが

なんでその問題が解けたのか?


というところが全く腑に落ちないで終わる。


いざ試験に落ちたとわかって思ったのが

「一歩一歩積み重ねることをおろそかにしていた結果が今なんだ」


ということ。


予想問題集の答えを丸暗記して臨んで

肝心の解ける過程がわからない。


試験1日目の休み時間で

もうすでに諦めモードに入っていて

これまでの積み重ねをないがしろにしたことを後悔していた。


今まで早く結果を出すことばかりで

それまでの過程が雑だった。


どうすれば一歩一歩噛み締めていくことの大切さを思い出せるのか?


そういえば、山登りって頂上に行くにしても楽に行く方法はないよな。

どんな山でも一歩一歩積み重ねて歩っていって

ようやく頂上にたどりつくってわけだ。


山登りのように一歩一歩の積み重ねが大事になることをやって

今一度足を一歩一歩噛み締めていくことの大事さを思い出せないか?


山登りをやることを通して、

もう一度真っ当に生きるチャンスを取り戻さないか?


試験が終わったら、どっかの山に登りに行こう、そう思った。


山登りは小学生時代に父親に連れられて以来

低山にすら行ったこともなければ

運動部に入ったこともないので、体力に自信もない。


しかしそれは所詮昔の話、今からでも遅くはないだろう。


僕は試験が終わったその日に、

もう次の資格を受けにいくのをやめて


「どうやったら山に登れるだろう?」


ということを考えて行動に移すことにしたー。

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