エピソード46 おんぶ
「へぇー警察で保護ねぇ…二人の元に来れて幸せね、あの娘。」
「これ、あんまり本人に追及しないでね。多分傷付いてるから…」
小声で話す二人にミファーが近づく。
「お母さんなに話してるのー?」
「レドと出会ったときの話だよ。この人キューピッドキューピッドうるさいから。」
「そんな言い方せんでもよくない?」
「お母さんとレドさん会わせてくれたなら好きー!」
ミファーはすっかり人に心を開くようになった。
いや、これが本来のミファーなのだろう。
「じゃ、お母さんレドと話してくるからキューピッドおじさんと待っててね。」
「言い方ウケるんだけど。おじさんは合ってるけどね。」
「おじさん、お母さんとレドさんの話知ってる?」
もう少し二人を知りたいのか、そう尋ねた。
「いっぱい知ってるよ。じゃあ…プレゼントの話をしてあげようか。」
「うん!」
「おじさんはねぇ、二人がまだ結婚する前にお母さんと出掛けたの。」
「お母さんうわき?」
変な言葉を知っているミファーに少し驚く女たらしさん。
「違う違う!レドさんのプレゼントを見に行ったの。あげたのはネクタイだったよ。二人とも初々しくてねぇ…あれはかわいかったな~。」
「おじさんもお母さんのこと好きなの?」
「結婚したいとかじゃないけどここにいるみんなお母さんのこと大好きなんだよ。」
「お母さん人気者…お母さんのとこ行く…」
レドとサヤは、ミファーのことを話していた。
「どうやったら俺に懐いてくれると思う…?」
「やっぱ遊んであげたらいいんじゃない?それか普通に話してみたらいいんじゃ?」
そこへ…
「お母さん…眠い…」
「お、そうかそうか…レドがおんぶしてくれるって。嫌?」
「レドさんおんぶ…」
「わかった。ほら、乗っかれ…」
ミファーはレドの背中に乗っかると、すぐに眠ってしまった。
「あら…意外と懐いてるんじゃないの?こんなに安心して…」
「そうかな…よし、俺は寝かしとくから仕事頼んだぞ。」
「おっけー。ミファーのことよろしくね。」
二人の勤務時間が終わり、帰りの車内にて…
「………ん…どこ…?」
「起きたか?帰りの車だぞ。ぐっすり眠れたみたいでよかった。」
「ご、ごめんなさい…背中で寝ちゃった…重いのに。」
「母さんたちの仕事忘れたか?エージェントだぞ。これくらいどうってことない。」
助手席から、サヤがひょいっと顔を出す。
「そうだよ~お母さんたち力持ちだから!それに…お父さん嬉しいってさ。」
「なんでぇ?私なにもしてない…」
「お父さんってのは、そういうことが嬉しいのよ。娘が懐いてくれるって。」
「娘…!」
娘という言葉に少し照れたようで、ミファーはもじもじしている。
「ほら、家着いたぞ。おつかれさん。」
車から降りたミファーの頭を優しく撫でる。
「…………」
「あ、嫌だったか?」
「…ううん。嫌じゃない!」
元気いっぱいにミファーは家へと走った。
「のびのびとしてくれてよかった…」
「そういえば…ミファーって何歳なんだ?小さいようで、大人びているとこもある…」
「多分素が出せてる時と、そうじゃない時ってことだと思うけど…お兄ちゃんに聞いてみるね。」
三人は話しながら、家へと入った…
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