エピソード44 お母さん

お風呂から出た二人…


「おい、俺のこと暴露しすぎだぞ!」


「だって…女子トーク弾んじゃって!ね?ミファーちゃん!」


「うん。レドさんの話面白かった!」


ミファーは、少し笑顔になっていた。


「ならいいけど…夕飯できたから、食うぞ。」


「レドのご飯すっごい美味しいんだよ。食べて見ればわかる!」


サヤとレドは三人で夕飯を囲むことに成功した。


(レドナイス!うまくいきそう!)


(ああ…慎重にいこう…)


ミファーは、震える手でご飯を口に運ぶ。


「美味しい…こんな…ご飯…食べたことなかったなぁ…」


すると…ミファーはポロポロと泣き出してしまった。

二人はミファーに寄り添い、泣き止むまで背中をさすり続けた。


「大丈夫大丈夫…これが当たり前になるように頑張るからね…」


「そうだぞ。辛いことあったら言え…なんでも聞いてやる…」


「ありがとう…ございま…」


「私たちは、絶対にあなたを傷つけたりしないよ…そうやって喋らなくても誰も怒らない…大丈夫…」


ミファーを安心させたい一心で、声をかけ続けると…


「…っ……ありがとう…私なんかを…受け入れてくれて…」


「なんかじゃない。ミファーは一人の人間なんだ。自分を認めていいんだぞ…」


「うん。ありがとう…」


「そういってくれて嬉しい。ちょっと早いかもしれないけどさ…私たちのことお父さん、お母さんって呼んでみない?」


優しい笑みを浮かべ、ミファーに問いかける。


「……早いね…」


笑いながらミファーは呟いた。


「おいサヤ、まだ早すぎだろ…」


「だって私ミファーちゃんのこと大好きだし?呼んでもらいたいなーって…」


「…私もお母さんのこと大好き…!」


「!!」


「本当にいいの?私がお母さんで…?やだ…私まで泣けてきちゃう…」


とっさに、レドも問いかける。


「お父さん…は…?」


「レドさんはレドさん!」


レドは天を仰ぎ…


「そうか…まぁ…話きいただけだしな…」


と言うので、サヤとミファーは大笑いした。


「レドさんも、いつかお父さんって呼ぶよ!」


「まぁゆっくりやってこう。今日はもう寝るか?」


「やっ!ミファーちゃんって呼ばないで。ミファーって呼んで…?」


二人は大きく頷き…


「わかった!じゃあ寝る?ミファー…」


「うんっ!」


その日、三人は同じベッドで眠った…


女子トークが弾んで少しだけ夜更かししたサヤとミファーだったが、レドは爆睡した。



翌朝…


「レド…仕事行かなきゃ…起きるよ。」


「もうそんな時間か?あぁ…起きた起きた…ミファーは?」


「しー…まだ寝てる…」


ぐっすりと眠るミファーを見て、二人は笑った。


「警戒といてくれたようでよかった…」


「うん。レド…今ならイチャつけるよ?」



「は!?なに言ってんだ……わかった…キスだけな…」


二人は顔を近づけ…キスを…


「あれぇ…?もう朝かな…」


急いで距離をとり何ごともなかったように振る舞う二人。


「ミ…ミファーおはよう…!私たちの仕事場に連れていこうと思ってるんだけど…大丈夫かな?」


「お母さんの仕事…見たい!」


「難しいと思うがな…反バイオテロの組織だから…」


「はんばいおてろ…?よくわかんないけど凄そう…!」


目を輝かせて言うミファーに二人は安心した。

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