第三部完結

エピソード42 子供

「私ね…子供が欲しいの!」


突然の告白にレドは困惑する。

現在、付き合い始めて一ヶ月半。結婚して十日ほど。


「どうした?酒飲まされたのか?」


「違う違う!本当に、子供欲しいなって思ってるの。」


うーん…とレドは考える。

子供とは、かなり難しいことを言うものだ。


「そりゃあ俺も欲しいけど…仕事はどうするんだ?」


「会社に連れてって、皆で面倒見ればいいかなって…」


「赤ん坊を?」


「あ、ごめん言ってなかったね。孤児を…養子にしたいなって思ったの。私は施設で育ったけど、それだけじゃ愛の全ては知れない。だから…」


レドは納得した。

サヤは、自分と同じような境遇の子供を救いたいのだと。


「終わったらゆっくり話そう。まず、この場を楽しまないとな…」


満面の笑みで…


「うん!ありがとう…」


二人は来てくれた人たちに今一度感謝をのべ、結婚式を終了した…


「ネイトさん本当にありがとうございました!おかげで望んだ結婚式をあげることができて…」


「いえいえ!それが私の仕事ですから。それでは…ご利用いただきありがとうございました。よい新婚生活を!」


「ありがとう。」


二人はお礼をし、無事結婚式は大成功ということになった。


家に帰ろうとしたとき…


「サヤ、ちょっと待って。」


ミヒャエルが話しかけてきた。サヤを抱きしめる。


「わ、お兄ちゃん突然どうしたの?」


「いや…兄ちゃんな、嬉しいけど寂しいんだよ…サヤが立派になったと思うと嬉しいし、サヤと会える機会が減るのは寂しいんだ…」


「私たち会いに行くよ?」


ミヒャエルは泣きながら頷く。今日は涙腺が崩壊しているらしい…


「それで…この前ある事件があってな?子供の虐待の通報とかで、警察も介入したんだ。そのとき虐待されていた子供を、一時的に預かってほしいんだが…」


「俺たちでいいのか?」


「もし引き受けてくれるなら俺から言っておくから。すぐに決めなくていい。もしかしたら、子供になるかもしれないし…じゃあ、またな。」


そういってミヒャエルは家に帰った。


二人は帰り道、そのことについて話していた。


「私と同じような境遇の子供か…助けたい。でも…簡単に決められることじゃない…」


「そうだな…でも、預かるだけって考えたら無理じゃない。預かってみて、最終的に一緒に住むか決めてもいいんじゃないか?」


「じゃあ…預かってみる?」


「俺は賛成だよ。サヤが決めていい。」


二人はその子供を預かってみることした。

会社に連れていき世話をするなら無理じゃないだろうと。


「でも…きっと人が怖いはず…心を開いてくれるといいんだけど…」


「慎重に接しないとだな…」


翌日、サヤからミヒャエルにそのことを伝え、正式に預かるということになった…


「寝る部屋同じって大丈夫かなぁ…怖いよね…」


「そのときはソファーで寝ればいいと思うが…慣れるまでは仕方ないしな…」


いよいよその子供が連れてこられる日になった…


「あー緊張する!うまくやれると信じよう。」

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