エピソード37 義兄さん

しばらく話し込んだ後、ミヒャエルに会いに行くと伝えレドの実家を去った。


「すごくいい家族だったなぁ…これから私も一員になるんだから頑張らなきゃ…!」


「あんまり頑張りすぎるなよ…無理に合わせる必要は無いさ。」


「ううん!私がそうしたいの!たくさんお話聞かせてもらったし…楽しかったから…」


「…そうか。よかったよ…」



しばらくして、二人はミヒャエルの家にたどり着いた。


「お兄ちゃんまだ帰ってないかも…鍵持ってるから開けて入っちゃう?」


「外で待ってるのもあれだし入るか。」


「いないけど…おじゃましまーす。」


ミヒャエルの家で待つことにした二人。


しばらくすると…


「車?サヤが来てるのか…」


玄関から声が聞こえてきた。サヤはドアを開けてミヒャエルを迎える。


「お兄ちゃんお帰り!今日…話があって…」


「かわいい妹の頼みならなんでも聞くさ!ちょっと待てよ…」


家に帰るとミヒャエルはゲッとした顔で、


「お前も一緒だったのか、レド。サヤと付き合い始めたのは知ってるからな。大事にしろよ?」


レドにめちゃくちゃ圧をかける兄をサヤが必死になだめる。


「お兄ちゃんストップ!話があるって言ったでしょ?そのこと話そ!」


「サヤが言うならいいよ…」


三人はソファーに座り、ミヒャエルが先に口を開く。


「結婚なら許さんぞ。俺の妹は譲らん。」


「……………」


的中されて、二人は黙り込む。


「え?本当に結婚の話なのか…?」


「う…うん。しようかって話してて…」


次の瞬間にはミヒャエルは倒れていた。


「そんなぁ…サヤがどんどん巣立ってく…兄ちゃん、認めないからな…」


もはや泣いてるのではないかというぐらい悶えていたため…サヤが必殺技を放つ。


ミヒャエルにくっつき猫なで声で…


「私はずっとお兄ちゃんの妹だよ?」


「ぶふっ!!」


見事、クリーンヒットしたようである。


「ミヒャエル…ちょろすぎないか…?」


「お前だってサヤに言われたいくせに!この泥棒!」


声をあらげるミヒャエルをサヤがなだめる。


「まあまあ落ち着いて。結婚の話だけど…許してくれないの?」


「だって早すぎないか…?まだ付き合って一ヶ月たったぐらいだろ。もう少し考えてもいいんじゃないか…?」


「で、でも…一緒にいて思ったんだもん…レドとならずっと一緒に暮らしていたいって…私を大切にしてくれるって…」


ミヒャエルは数十秒悩んだ末、決断を下した。


「……わかった…俺もレドのことを認めてはいる。結婚は許すよ…でも浮気とかしたら殺す。いいな!」


「はいはい…しないっての。サヤを一生大事にする。誓って言うよ。破ったら殺せ。」


不倫=死 という重い誓約がかされた。


「お兄ちゃん、ありがとう…正直認めてくれないと思ってた。」


「俺だって、正直許す気はなかったさ。でも二人を見てたら…なんかわかるんだ。本当にお互いを思いあっているんだろうなって…」


「じゃあよろしくな義兄さん。」


「黙れ!それは認めんぞ!」


「ふふ…二人とも面白い…あはは…」


笑っているサヤを見て思わず二人も笑う。


「まぁ…ありがとうミヒャエル。それで…婚姻届にサインしてほしいんだが…」


「わかった。するから貸せ。」


すべての空欄が埋まり、後は市役所に届けにいくだけ…でも今夜は遅いので、明日行くことにした。


「お兄ちゃんありがとう。またね。」


「ああ、また来いよ!サヤ、次は一人でもいいんだからな!」


「無理だよ、諦めな。」


なんだかんだサインをしてもらい、二人は家に帰った。


「今日はいいことがいっぱいあったね!」


「俺も正直びっくりしてるよ。ミヒャエルが義兄になることもだが…」


「ふふ…お風呂入ってくるね~!」


「わかった。俺は夕飯の準備でもしてるよ…」


夕食の準備を始めるレド。しばらくしてサヤが出てくる。


「お待たせ~!夕飯の準備変わるから入ってきて。」


「悪いな。ありがとう。」


交代でレドがお風呂に入る。


しかし…一人悶々とする者がいた…


(夫婦になるってことは毎日するってことなのかな…?そんなの恥ずかしくて耐えられない!)


すごく余計なことを心配している。そんな心配をよそにレドがお風呂から出てきた。


「ちょっと待って!レド、なんで…!?」


一体レドになにがあったのか…?

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