エピソード36 レドの家族

翌朝…


「レド…おはよ…」


「おはよう…後で婚姻届取りに行くか。」


「うふふ…ふふ…婚姻届…嬉しい…」


二人はまだ夢心地で、どこかふわふわしている。


「その…俺たち婚約するんだよな…?俺だけが思ってるわけじゃない…よな…?」


「同じこと聞こうと思ってた!本当だよ!」


二人は朝ごはんを食べて、早速婚姻届を取りに市役所へとむかった。


「んー結婚するんだ…!あ…レドの家族に会ってないけど…いいの?」


「うちの家族に言ったらサヤがとんでもないことになるぞ。」


少し神妙な面持ちでレドが言うので、サヤは尋ねる。


「…何かあったの…?」


「いや、俺の家族すごいウェルカムって感じなんだよ…だから妻ができたって言ったらサヤが囲まれるぞ。」


「楽しそうな家族だね!早く会ってみたいな…」


二人は市役所へ着く。中に入り、受付に行く。


「あー…婚姻届ってどこにあるんだ?それと…ここで書くことはできるか?」


「親族の方がサインすればすぐに届けられますよ!本人様たちだけだと…」


「わかりました。ありがとうございます!」


職員から婚姻届を受け取り、埋められる箇所を埋めていく。


「この…親族ってとこはお兄ちゃんに話さないとか…お兄ちゃん大丈夫かな…」


「あいつなら気絶しかねんな…そのあと、俺がボコられそう。」


二人は話しながら空欄を埋めていき、残りは親族がサインしないといけないため持ち帰った。


「本当に婚約…て感じだね…まだ夢心地だよ…レドと結婚できるなんて!」


「何回も言うな…恥ずかしいだろ…」


その後、先にレドの家族に会いに行きサインしてもらうことにした。


「私大丈夫かな…反対されたりしないかな…?」


「そのときは俺がサインさせるから緊張するな。まぁ俺の家族ならないと思うが…」


レドの実家に着く。サヤは緊張していて、どこか固い空気を纏っている。


「ここがレドの実家…大きくない?」


「兄弟が多いんだ。一番小さい奴はまだ中学生でな。全員男なんだ。」


そういい、家の鍵をあける。



「急で悪い!入るからな!ほら、サヤ入れ。」


「う、うん…」


サヤは恐る恐る中へ入る…すると…


「お帰りなさい!レド。あら、横にいる方は?もしかして…」


「え…!?親父!兄ちゃんが彼女連れてきたぞ!」


「なんだって!?歓迎しなきゃだな!」


バタバタと集まって、家族総出でサヤを出迎えてくれた。


「その…急で悪いんだが…」


「あらいいのよ!彼女さん、お名前は?」


「サ、サヤです…お願いします…!」


少しぎこちない感じで、名前を伝える。


「サヤさん!うちの息子と仲良くやってくれてありがとうねぇ。」


「サヤさんかわいいっすね!兄ちゃんにはもったいないぐらい!」


「一言余計だよ…とりあえず家に入るから…な?」


レドが言うと、家族はリビングに案内してくれた。


「急だったのにこんなに歓迎してくれてありがとうございます。実は…」


「俺たち結婚することにしたんだが…」


いきなりのことに、家族はびっくりしていたが…


「まあ嬉しいわ!サヤさんが家族になってくれるだなんて!」


すぐに受け入れてくれた。


「いえいえこちらこそ嬉しいです…!でもこんな早く結婚を許してもらえるなんて思ってなくて…びっくりしてます…」


「レドが選んだんだから大丈夫だと信じている…さぁ、我が家へようこそ!」


レドの家族はあたたかくサヤを迎えいれてくれた。

そのことが嬉しくて、サヤは思わず泣いてしまった。


「すみません…嫌な訳じゃないんです!でもなぜか…」


すると母親がサヤの背中をさすって、


「いいのよ、ゆっくりでも…私たちは変わらず接しますけど!」


家族で笑う。それにつられてサヤも笑顔になった。こんなに楽しい家庭に自分が入れることが、サヤは本当に嬉しかった。


「それで…婚姻届のここを埋めてほしくて…」


レドの両親は快くサインをしてくれた。あとはミヒャエルだが…大丈夫だろうか…?

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