エピソード24 適合者
レドは死を覚悟した…が、一向に攻撃が来ない。
恐る恐る目を開けると…
「私の大切な人に触るな…!」
そこには…彼女がいた。右腕だけが歪に肥大化した彼女が…
「ウイルスを操るだなんて…そんなことありえな…」
そう奴が嘆いていると今度は刃物状に右腕を変異させ、コウヘイに振り下ろす。あっけなくコウヘイは血を流し倒れた。
「サヤ……?本当にお前か…?」
そう問いかけるとサヤは泣きながらレドの胸に飛び込んだ。
「ごめんね…私のせいで…あいつに…ウイルスを入れられたの…それで、何故かウイルスの力を制御できるようになったの…もう私人間じゃない…もう一緒にいられない…」
泣きじゃくるサヤを抱きしめながら、レドはサヤにいい聞かせるように言う。
「俺はお前がなんだろうと…ずっと愛してる。それは何も変わらない。…でも、俺はお前を治してやることはできない…ごめんな…」
「ごめんなんか言わないでいい!これからも一緒にいられるならなんだってする!」
「まずはウイルスを全て本部に持ち帰らなきゃならない。ウイルスを探すぞ。」
サヤは鼻水をすすりながらうんと頷いた。
その後、二人はウイルスのサンプル等を回収して車で本部へと向かった。
道中、二人は話し合う。
サヤのウイルスの件について。ウイルスの力を制御し、使えるようになったとなれば組織は黙っていないだろう…世界の危機になりうることだからだ。
そして二人は…サヤのウイルスの件だけは誰にも話さないことにした。
いつかはバレる嘘でも…今二人だけの時間が過ごせるならなんでもよかった。この生活をあともう少しだけ続けたかったのだ。
ずっとずっと幸せな時間を。
その後本部では二人がいた倉庫に工作員を派遣し、ウイルスに感染させられた人たちやウイルスそのもの…すべての証拠物を回収し、その全てを人々の生活に繋げられるように使うことにした。ワクチンや、抗生物質の研究などにね。
「二人とも、よくやってくれた。それと…二人で行かせて本当に申し訳なかった…心細かっただろうに。」
「レドがいたから…大丈夫でしたよ!」
「右に同じく…」
ここでオルガナはあることに気づいた。
「はは…私は君らの恋の手伝いをしていたんだねぇ。二人が幸せで良かったよ。」
二人は顔が赤くなる。付き合っていることを知られたのは初めてだったからだ。
「黙っててくださいね?じゃないと蹴りますから。」
「そりゃあ黙ってないといけないな!」
こうして、また事件は幕を閉じた。二人は家に帰る…
「すまん、先に風呂入らせてくれ。」
「え?ああ、うん。いいよ。」
サヤは少しなにかを考えたあとに頷いた。
レドがお風呂に入っているとき、サヤが話しかける。
「レ、レド…お風呂一緒に入ってもいい…?」
「は…?ちょっと待ってタオル巻くから…よし、いいぞ…」
サヤはバスタオルを巻いた姿で浴室に入る。レドはそれに見惚れ、口が開いたままである。サヤがシャワーを浴びた後、二人は一緒にバスタブに入る。
「あ…あのね、私日本人とのハーフなんだけど日本だと一緒にお風呂入るっていうのは家族の象徴っていうかね…愛し合ってる人たちがすることなんだって…」
「ハッ…まさに俺たちだな。」
二人は笑いあい、その後サヤがあることを提案する。
「背中流すよ。」
(え、急に距離縮めすぎじゃ…?まぁご褒美だと思えば…)
レドはお願いすることにした。が、それはレドにとってあまりにも刺激が強く…
急に心拍数が高まり…
(背中触られるってこんな感じなのか…なんかあったかくていいな)
(あぁあぁ!レドの背中触ってる!男の人の背中…大きいな…)
つんっ…サヤはふざけてレドの首をつっついた
「ひゃあっ!!」
レドが女性のような悲鳴をあげる。サヤは大爆笑した。
「アハハハハ…なにその…声…お腹痛い…アハっ…」
レドは不満げだったがサヤは満足だったようだ。
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