エピソード17 二人の絆
「同じベッドで寝てる…?そろそろ限界が来たナックルサック持ってくる。」
「だーかーらー!私の監視役ってことでずっと一緒にいないと消されるわけ!わかる!?」
「ていうかなんで監視役なんてついてんだ?なんかあったのか、兄ちゃんに言ってみろ…?」
優しく問いかける兄に、サヤは事件のことを言いかけるが…
「すまんが、それはできない。機密情報なんでな。これは命令されている。」
レドがそれを止めた。ミヒャエルは渋い顔をしてそれを了承する。
「こっちも同じような立場の仕事だ。要求を飲もう。嫌々だがな。」
その後、ミヒャエルがサヤと寝ると言って聞かないのでサヤがキレて、レドとミヒャエルはソファーで寝ることになった。
「うぅ…兄ちゃん寂しくて寝れないよ…サヤ入れて…」
「知らん!おやすみ!」
ピシャリとドアを閉められ、落ち込むミヒャエル。
「まぁそう気を落とすなって…それより、ミヒャエル…でいいか?」
「……不愉快だが、許そう。」
「ミヒャエルとサヤが仲が良いのはわかったんだが、なぜそこまで彼女を溺愛…というか過保護というか…そういう感じなんだ?」
レドがそう尋ねると…
「お前、サヤの過去を知らないのか…少しなら話してやってもいい…サヤは親にひどく虐待されて、保護施設に来たんだ。そこで俺と出会った。サヤはひどく怯えていて、人間そのものに恐怖を抱いているようだった。でも、俺が話しかけると…サヤは私と一緒にいると親に殺されると言ったんだ…」
「虐待されていたことは知っていたがそこまでとは……」
「本当に、異常な程親を恐れていたんだ。でも、諦めずに話しかけ続けたら少しだけ、心を開いてくれた。それが嬉しくて…俺はずっとサヤと居るようになった。いつ親が来ても、守れるように…そうしていたら、俺のことを本当の兄のように慕ってくれて…兄さんと呼ばれるようになった。」
少し誇らしげにミヒャエルは言った。続けて…
「だから、まだ出会ったばかりのお前に心を開いているのが悔しいよ。」
そういい、レドの方を見る。
「二人は家族より深い絆で結ばれているんだな…初めて知ったよ。ありがとなミヒャエル…」
その会話を最後に、二人は眠りについた…
翌朝、レドが起きるとミヒャエルはソファーにいなかった。どこにいったと思っていると、寝室からかすかに話し声が聞こえてきた。
「お兄ちゃん、私ね、レドのことが好きなの…愛しているの…それでも…いい…?」
「……兄ちゃんとしては悔しいけど、あいつはいいやつだ。いいぞ、頑張れ。」
レドはその会話を聞いて、頭が爆発した。
(は?は?サヤが俺を好きって…?そんなわけないよな…聞き間違いだろ?)
そう思いながら会話に耳をたてる。
「もしお兄ちゃんの義弟になったらどうする?」
そういい、クスリと笑う。
「悪いが、抑えられんな。一発ぐらい殴らせてくれ。」
二人は笑っていた。それをよそに、レドはへにゃりと座り込んだ。まさか、自分の想い人が自分のことを好きでいてくれるなんて考えもしなかったから。
本当の想いに気づいたレドは決意する。
「絶対、サヤに告白する。なにがあろうと…」
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