エピソード16 来たる義兄上

二人で初めての仕事を終え、家に帰った時に…


「ちょっと待って、メールきた。え?兄さんから…休みをとったから明日会いに行く。住所は知ってるから大丈夫…だって…てかなんで知ってるの…?」


「はぁ!?明日サヤの兄がここに来る!?」


「うん……なんかもうむかってる最中らしい…ごめん兄さんこういう人だから…」


妙な気まずさを抱える二人…お互い、自分の本当の気持ちに気づいたということもあり、あれからちょっとどぎまぎしている。


「……その…サヤの兄さんってどんなかんじ…?」


「一言で言えばドシスコンって感じ……多分レドと同棲してるってこと知ったらレドになんかすると思う…しかも泊まらせてくれって…」


「「どうする…?」」


サヤの兄は特殊警察官で、テロ事件などの解決などもしているエキスパートだ。それと、ドがつくほどのシスコン。


(将来的に義兄になるかもしれな…てなに考えてんだ俺は!落ち着け落ち着け…)


「うーん…レドと兄さんって絶対合わなそうなんだよね。性格が…兄さん凄いネチネチしつこくなんか言ってるから。私以外に。」


「サヤにはどんな感じなんだ?」


「出かけるなら手繋ぐし、会うたびにおでこにキスされる。アンドずっとそば離れないって感じ…」


それを聞き、レドは心配になる。


「いわゆるドシスコンってやつだな…俺なんか目の敵にされそうだ。殺しはやってない…よな?」


「わかんない…結構裏社会のことも詳しいからワンチャンあるかも…」


否定してくれよとレドは思った。

とはいえ相手は警察官。さすがに殺されたりはしないだろうと思っていた…



翌日……


朝イチで兄が家にきた。パジャマ姿でサヤが扉を開ける…


「おはよ、兄…さ…!?」


次の瞬間、サヤの体は宙に浮いていた。兄に抱えあげられ、思いっきり抱きしめられていたからだった。


「んーっっ…サヤァ!何ヵ月ぶりか!いや何年?待ってろ数えるからな。いちにーさんしー…」


「お兄ちゃん苦しい!おろしてよ!あと私パジャマだから!」


レドは急いで玄関へと向かう。そこに立っていたのは身長は二メートルぐらいあるだろうめっちゃイケメン。写真通り金髪碧眼であった。


「おい…お前がサヤと同居してるレドかぁ?あぁん?俺の妹に手だしたら殺…」


「はいはいお兄ちゃん黙って黙って!さ、中はいるよ!」


強引に兄を家の中に入れて玄関のドアを閉める。

異常なまでの威圧感と殺気がレドを襲う中、サヤは…


「はい!こちらがレドだよ。今一緒に住んでる人!だから意地悪しちゃ、ダメ!」


「だって俺のサヤに手だそうと…」


「してないから!まだわかんないけど……ボソッ」


「はじめまして、サヤのお兄さん…同居しているレドです。」


そういい、手を差し出す。


「……よろしくな。レド。」


その手を骨が折れるくらい強く握る。


「あいっっっっっっった!!」


「ちょっとお兄ちゃん!初対面の人に毎回するのやめてよ!嫌いになるよ!」


「申し訳ございませんでした。」


サヤの言うことには絶対に従う。逆にレドには明らかな敵意を向けているミヒャエル。

こんななか、一晩泊まるなんてことできるのか?


そう思う、レドとサヤなのであった。

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