エピソード14 レドの想い

「一睡もできなかった…」


「ご、ごめん…引っ付いちゃったら邪魔で眠れないよね…」


そういう問題ではないとサヤは気づかない。


「あ、朝ごはん作るよ。」


「すまん…俺は少し寝るよ。飯できたら起こしてくれ。」


そういい、レドはベッドで横になった。


「えーっとベーコンエッグの素材は…あるか。よし、それにしよう。」


サヤは本部に住んでいたとき自炊していたため、料理にはそこそこ自信がある。

テキパキと調理を済ませ、なんとも美味しそうなベーコンエッグが出来上がった。


「レドを起こさないと…」


寝室に向かうとレドはぐっすり眠っていた。


(なんか起こすのが忍びないなあ…でもご飯冷めちゃうし…)


「レード!起ーきーて!ご飯できたよ。」


「…あ…ああ…起きるよ…ありがとう…」


二人は寝室から出てソファーに座り、朝ごはんを食べる。


「誰かに作ってもらうのは子供の時以来だ…うん、すごい美味いな!どうやって作ったんだ?」


「えー?なにもしてないよ~。愛を込めて作っただけ!」


そういって、サヤはニコリと笑う。


そこでレドは初めて自分の気持ちに気づいた。自分が、サヤを愛しているということを。レドは赤面する。


(くそっ!こんな奴に…俺が…俺が落ちたってのか!?こんな…こんな…可愛くて、俺の前で天使のように笑って…優しいやつに…)


そう思ってしまい、レドは自分の頬を叩く。


「!? なにしてんのレド!やっぱ美味しくなかった…?」


心配そうにレドを見つめる。


「い、いや…めっちゃ美味いよ!ただ…その…なんでもない…」


レドは必死に自分の気持ちを押し殺そうとする。そんなことは不可能なのに…



朝ごはんを食べ終わり、二人は本部へと向かう準備をする。


「ちょっと着替えるから。覗いちゃダメだぞ~!ニヤリ。」


「覗くかアホ。俺はそんなことしない。」


といいながらも、やはり意識してしまう。昨日、浴室にいたサヤを思い出してしまい、また顔が赤くなる…


なんやかんやありながらも仕度を終えた二人は本部へと向かった…



本部へと向かう車の中、少し気まずい空気になる。昨日のこともあり、二人で一緒にというのは…と二人は思っている。


なんとか本部へとたどり着くと、突然誰かがサヤに抱きつく。


「サヤ!退院おめでとう!本当よかった!それとレド、あたしのサヤに手出したら殺すかんね!」


「ちょっ…ギャリー!やめ…苦しいよ~!」


「!?」


抱きついてきたのはサヤの唯一の友達、ギャリーであった。


人間不信でひとりぼっちだったサヤに一目惚れし、出会った瞬間から親友になった二人。その絆は固く結ばれている。


「本当はあ・た・しが監視役になるつもりだったのにレド!あんたのせいで台無しよ!二人でシェアハウスしようとか、イチャイチャしようとか考えてたのに、おーまーえーがー!」


「ギャリーストップストップ!新しく信頼できる人が増えただけ!」


「サヤが心を許す…だと?まぁいいだろう。今はな!」


「合格いただけたようで感謝するよ!それより早くしてくれ、遅刻する!」


三人は皮肉をいいあいながら本部の中へと入った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る