第一部完結
エピソード13 初めての夜
引っ越しのためサヤの荷物整理中…
「お前本部に住んでたのか!?」
「うん。家無いし兄さんのとこにずっといるのもアレかな~って思ってオルガナ代表に許可とったんだ。」
「社畜の鑑だな…」
そういいながら作業を進めて行く。
「捨てるもんはこっちで入るもんはむこう…ってこの写真なんだ?」
レドは一枚の写真を見つけた。そこには幼い頃のサヤと金髪碧眼の美しい子供が写っていた。
「サヤ、この金髪の子供…だれだ?」
「んー?あぁ、兄さんだよ。」
レドは少し自信を失くした。こんなに綺麗なやつが兄貴だったら恋人のハードル高そうだな。とかそんなことを考えている自分が恥ずかしくて、自分の頬をつねった。
荷物の整理が終わり、いよいよレドの家へ向かうことになった。
(レドの家どんな感じかな。おしゃれかな。それとも汚かったり?そしたら掃除してあげよう…)
なんてことを考えていると…
「よし、着いたぞ。改めてこれからよろしくな。サヤ。」
サヤは嬉しそうに頷く。笑顔の彼女を見たレドは思わず見とれてしまった。
「おまえって…かわいいよな。」
「ヴェッ!?なななにいきなり…」
顔が真っ赤になる二人。お互い思わず顔をそらす。
「そ、それじゃ荷物運ぼうか。」
少し気まずい中作業を進めて行く…
サヤはレドの家に入った。
「わぁ…綺麗…なんかレドっぽい家だね。」
「俺っぽいもなにも俺の家だからな?ほら、荷物運べ。」
一通り全て家の中に入れると、あることに気づいた…致命的なあることに…
「シ、シングル…ベッド…寝る場所どうする…?」
「え?あ…新しいベッド買うまで俺がソファーで寝るよ。」
「えーそんなのダメだよぅ。体痛くなっちゃうよ?」
「じゃあ一緒にくっついて寝るのか!?」
あ…と口を開けてサヤは顔が真っ赤になる。
「そ、そういうことじゃなくて…えと…その…今すぐベッド見に行こ!!!」
サヤは車に全速力で向かう。
「あいつといると心臓が持たない…でも…嫌いじゃないな…この感覚…」
不思議な気持ちで満たされたレドは車に向かった。
ベッドを買って帰った帰り道。シングルベッドはとりあえずで売ってきた。
サヤは思っていることを口に出した。
「え…と、ダブルベッド買ったってことは一緒に寝るってことだよ…ね?」
「あ…そうだな…監視役も務めてるしそれが妥当かもな。あと…風呂…先入れよ。」
「う…うん。わかった。」
そう言い、サヤは先にお風呂へ入った。
しばらくして、レドは先に歯磨きしようと思い洗面所に入った。
そのときちょうどサヤが出てきてしまった。サヤもびっくりしてバスタオルを落とした。レドは不意だったため直視してしまった。すぐに顔を逸らして…
「見てない!なにも!すまん…でてく…」
サヤはへにゃりと座り込み頭が爆発するほど恥ずかしかった。なにせ裸を見られてしまったから。始まったばかりの同棲生活は既にハプニングだらけだった。
とりあえず洗面所から出てレドに…
「ぜ、全然気にしてないから!レドもわざとじゃなかったし!はい!この話おしまい!」
そういってすぐさまベッドへと向かった。
しばらくすると、レドも来た。すると…
「あの、レド…怖くて眠れないの…近くに…来て…」
ウイルスのことがあってから始めての夜だったためサヤは眠れなかった。恐ろしかったのだ。自分自身が。
そんなサヤを安心させようと…
「んーわかった!ほら、こっち来い。」
そういって自分の近くに手を置く。二人とも恥ずかしかったが、嬉しいの方が勝っていることには気がつかない。
「ありがとう…そっち行く…」
すると安心したのかサヤはすぐに寝てしまった。
一方レドは…
(こんなんで寝れると思ってんのか!あー恥ずかし!無理無理無理!)
と悶々とし、一睡もできなかった。
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