エピソード8 キャロルの死
「移動したぞ。ヴァルカン復活が嘘とはどういうことだ?」
電話の人物は語り始める…
「ヴァルカン復活は、私がうたった嘘だ。モーリスはガルタナと繋がっていて…ウイルスを散布し、世界を変えようとしている。奴の部屋にカメラを仕掛けておいた。私はモーリスの部下。確実に、ガルタナとの交渉の場面が映っているはずだろう。」
しかし、オルガナは警戒した。
取引だとしたら、あまりにも自分に有利すぎる…そう思ったのだ。
「何故お前は協力する?これは取引だろう。だとしたら見返りはなんだ。」
「私はただモーガンが許せぬだけだ。強いて言うなら正義のため…だ。そして先程、映像が送られてきただろう。ガルタナは既に、モーリスによって殺されている。協力するフリをして撮らせたテープだ。」
オルガナは深呼吸して、頭を整理する。
そして、一時的に声の主を信じることにした。
「…わかった。今はお前を信じよう。例のカメラはどこにある?」
「私の部屋にむかえ。私の名は……レド。そして、貴殿の部下に裏切り者がいる。気をつけたまえ。」
「!? わかった、レド。お前の部屋に取りに行く。信じているぞ。」
そして、電話でのやり取りは終わった。オルガナは決意に満ちた表情で、
「モーリス…貴様を必ず地獄へと叩き落としてやる…!」
そう呟いて、すぐさまモーガンの組織の本部へと向かった…
一方、サヤとラグナはレドの仲間を探していた。
「客室にはいなさそうね。どこにいるのかしら?」
「食堂近くって調べたのか?怪我をして戻ってきた感じ?」
「あ、そうだ。探索できていない…食堂方面へ向かおう。」
二人は食堂へ向かった。近づくごとになにかが聞こえてくる。
「痛い…痛いよぅ…誰か助けて…レド…」
「!! レドと呼んでいる…きっと声の主はキャロルだ!」
「ああ、急いで向かうとしよう!」
二人は走りながら声の方向へと進んでいく。そこにいたのは無惨に変わり果てた茶髪の女性だった。
「キャロ…ル…?返事をして!」
「うふふふふふふ。お腹空いた空いた空いた。あなた美味しそう美味しそうぅうぅう!」
そういい、二人の方へと向かってきた。壁を這い、裂けた腕を突きだして…
しかし、サヤは冷静であった。
キャロルを壁から剥がし地面に叩きつけてから心臓をナイフでひと刺しし、安らかに眠れるよう近くにあった服をかけ祈った。
「どうか、彼女が天国へ行けますように。人のまま人生を終わらせることを…大丈夫よキャロル…私がレドに伝えておくわ…あなたがレドを探してたこと…苦しみから解放されたことを…」
サヤは涙ぐみながらそういった。鼻水をすすり、彼女のポケットから鍵を出す。
「彼女は幸いだっただろう。一瞬で、それもお前に祈ってもらいながら逝けたんだからな。お前は優しい…」
そういい、サヤの背中をさする。
「ありがとうラグナ。少し落ち着いたよ。私、急いでレドに伝えてくる…」
そういい、サヤはエントランスへと走った
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