エピソード7 ヴァルカン復活

「すまんがここで分かれよう。サヤはラグナのところへ行け。俺には用事がある。」


「う…うん。わかった。」


少し残念そうにサヤは行った。レドはサヤのほほに触れ…


「必ずまた会おう。」


そういい、小走りでレドは去っていった。サヤは再び顔を赤らめる。


「人間不信の私でもなにか…信用できるなにかが…彼にはある。彼なら…私の友達に…」


悶々としながらサヤはラグナのもとへと向かった。


「ラ、ラグナ。待って。」


「ん?おお、サヤか。どうだ?あいつのハート盗めたか?」


「ふざけないで。彼の仲間を探そう。カジノの鍵を持ってるって。」


「そういうことならしょうがないな。探すとするか。レドのパートナーを。」


'パートナー'という言葉に少し胸のモヤモヤを覚えたサヤだったが、本人は気づいていないようだった。



一方、サヤとラグナが所属する組織の本部では…


「クライア!?本当にクライアなのか?」


「あぁ、雪山の調査に向かっていた。なにかあったのか?」


「そうよ。私達が任務に行ったの忘れちゃったの?」


クライアとナタリア…行方不明だったはずの二人が帰ってきのだ。


「なにがあったもなにも…お前たちの反応が海上で途絶えたと連絡があり、サヤとラグナをむかわせたんだ。まさか…それがトラップだったとはな。これは緊急事態だ。悪いがすぐに二人の救助に向かってくれ。私達は本部でなにか裏で糸を引いている人物を探す。」


「了解、ボス。」


二人はラ・タリータへとヘリコプターで向かった。


本部では大忙し。例の対バイオテロ組織について、復活したテロ組織について調べているとそこに一件の映像が送りつけられてきた。


「やぁ、オルガナ。それと部下のものたちよ。私達はヴァルカン。これをみたまえ。」


そういうとガスマスクの人物は水槽に緑色の液体を入れた。すると、水槽の魚達が暴れ狂いまさに人食いザメのように変貌した。


「これを我々は海に放つ。そうすれば、世界の八割の海がこの魚たちで溢れかえるだろうな。」


そういい、ヴァルカンのリーダーはガスマスクを外した。


「私は…ガルタナ。この世界を支配するもの。ヴァルカンの掲げる世界は強者の世界なり。弱き物は捨て、強きものだけを生かのだ。さぁ神よ…この世界に祝福を。」


そしてビデオは終わった。予想を上回る世界の危機に陥ってなおオルガナは冷静だった。


「おそらくウイルスが保管されているのはラ・タリータだろう。サヤとラグナが誘導されたことを考えると裏で誰かが手助けをしてくれているともとれる。応援を要請する。ただちにラ・タリータへと向かえ!」


オルガナは頭を抱えた。テロ組織復活が本当であり、しかも'あの'対バイオテロ組織と手を組んでいるという証拠が掴めないことに焦っているのだ。


「モーリスめ…こうなることがわかっていたとでもいうのか!?くそっガルタナとモーリスが繋がっていることさえわかれば……!!」


そんなオルガナに一つの電話がかかってきた。


「ヴァルカン復活は嘘だ。詳しい話はこの内容が聞かれない場所で話そう。」


そしてオルガナはその電話の可能性に賭け、自身の部屋へとむかうのであった…

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