エピソード6 お姫様抱っこ

「ちょっ…レド、待って。」


「どうした?まだ傷が痛むか?我慢してくれ。」


「ちがっそうじゃなくて…抱えてくれるのはありがたいんだけどお姫様抱っこはやめ…恥ずかし…」


サヤは初めてのことに動揺して顔が真っ赤である。


「これが一番運びやすいんだ。仕方ないだろ。」


レドがなんとも思ってないことにサヤは余計に恥ずかしくなる。

そして、二人はエントランスにたどり着いた。


「サヤ!?どうしたんだそんなお姫様抱っこされてww」


「ちがう!これは仕方なくなの!怪我したからかかえてもらって…」


「顔が真っ赤なのはおいといて怪我したのか?傷はどのぐらいだ、レド。」


「幸い臓器とかには届いてない。だが出血がひどくてな、しばらくは休んだほうがいいだろう。」


サヤを壁の方へと連れていきゆっくりと下ろす。

その隣にレドも座り、話しかける。


「俺の仲間も行方不明だって話をしただろ?キャロルってやつだ。茶髪で、目が隠れるぐらい前髪が長い。もし見かけたら鍵を持ってるだろう。カジノに入る鍵だ。なにかあるかもしれない。」


「情報提供ありがとう。そして、運んでくれたことにもね。本当にありがとう。」


「礼には及ばん。」


少しだけレドの顔が赤くなっているのをみてサヤはクスリと笑う。


「んんっ!イチャイチャしてるとこ悪いが俺は探索に行くぜ。レド、サヤを頼む。」


「「イチャイチャはしてない!」」


そういってラグナは探索に戻った。しかし、ずっと待っているのも悪いと思い…


「あの、よければなんだけど…私達も少しだけ探索しない?ラグナに悪いから。」


「だけど傷が…」


「大丈夫、今度は体術じゃなくてちゃんと銃を使うから。」


「今まで使ってなかったのかよ…」


そういいながら、レドはしぶしぶ探索に賛成した。

一方、サヤは内心とても戸惑っていた。


(確かに私の左腕は失くなったはず…まさかウイルスに感染した?いや、だとしたら拒否反応などで、きっとあの怪物達のようになっているはず…いや、ウイルスに適合したとしたら?いや、考えるのはやめておこう)


不安を抱えながら二人は探索に向かった。


道中怪物と戦う間にサヤはあることを思った。


「ねぇレド。あなたマグナムの使い方がすごく上手…私ってマグナム苦手で…」


「ん?ああ、それなら簡単な話だ。ここをこう持って、そのあと…」


レドがレクチャーしてくれたがサヤは全く内容が頭に入らなかった。なぜなら


(近い近い近いなにこの距離!教えてくれるのはありがたいけど…手握られてる!嘘!こんなこと誰にも思ったことないのに…まぁ私人見知りだし…)


めっちゃイチャイチャしてる二人をよそに、怪物が現れる。


「ちょうどいい、こいつで試してみろ。」


「う、うん。ここに手をかけて重心は前に…!」


サヤが放った銃弾は怪物の脳天をぶち抜いた。それはそれは見事に。


「よくできてる。やったな。」


「あ、うん…」


まだ顔が赤いサヤを見て、レドは少しドキッとした。


(改めて見るとサヤってめっちゃかわいいな…ま、恋愛とは無縁の俺には関係ないが)


何かを感じあう二人。二人の仲は少しずつ狭まってきているのであった

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