エピソード2 怪物

暗闇の船内をライトで照らしながら進むサヤとラグナ…


「それにしても暗い…ブレーカーが落ちてるってことは何かあったってことだよね、ラグナ。」


「そうだな。それに妙に静かだ…豪華客船ならもっと賑わっててわーきゃーやってるだろうな。」


ガタガタガタ…ドンドン…バキッ 


「あぁ…」


突然上部のダクトが揺れ、うめき声と共にダクト上を移動していく。すかさず銃を向ける。


「なに?人とは考えられない…まさか…」


「俺たちの専門分野、バイオテロってことか?勘弁してくれよ…バイオテロ組織復活の情報も来ている、もしかしたらもしかするかもな。」


…………二人はここに到着する前、不審物の漂着を調査していた。



「あー、そろそろ終わりそうかね?サヤ、ラグナ。」


「はい、そろそろ終わりそうです。オルガナ代表。」


「オルガナでいい。それより、ここが封鎖されている地域だということが問題だな。封鎖地域に不審物が漂着するなんてなにかを疑わざるをえない…私はここを封鎖した'あの'対バイオテロ組織について調べてくるよ。」


オルガナはサヤとラグナが所属する対バイオテロ組織の代表であり、それに対抗する別の対バイオテロ組織を調査している人物。


所属している工作員から尊敬されている凄腕調査員でもある。


「テロ組織復活の噂もでている、これは警戒したほうがよさそうだぜ。」


「ちょっと待ってくれ、電話だ。…なに、クライアとナタリアが海の上で反応が途絶えただと…!?あぁ、わかった。すぐに向かわせる。」


オルガナは電話を切り、サヤとラグナに命じた。


「サヤ、ラグナ…別の隊に所属する、クライアとナタリアの反応が途絶えたと連絡が入った。最後の反応は海の上、その座標上にあるのが…」




「ラ・タリータ…」


二人は銃を下ろし、先へ進む。


「ちょっと待って、これは…?」


視線の先には緑の液体のような痕跡があった。


「これはなんだ?それに…酷い匂いだ。」


ラグナは咳をしながら痕跡を見つめる。


「わからない。だけどこの船内でなにかが起きているのはわかる。スキャナーで調べてみよう。」


スキャナー:新種の物体を解析します。………分析できません。未知のウイルスである可能性が高いです。注意を。


「わからないわね……危険なことにかわりない。気を付けて先に進みましょう。」


さらに進み、厨房に入ったとき、二人の目に入ったのは一本の腕。それも銃を持った…


二人は急いでそれを調べる。


「クライアのじゃない…よな?」


「わからないけど、そうじゃないと信じたい……」


ガチャッガチャガチャガチャ


「「!?」」


誰かがドアをこじ開けようとしている。はたまた、なにかが。


バタン


ドアが開き、そこにいたのは無惨に変わり果てた人であったもの。だが、肌は変色し、腕も変形していて、顔も無いような怪物だった。


しかし、それは一瞬であった。サヤが怪物に蹴りをいれ、吹き飛ばし頭を踏み潰した。


「こういうことには慣れっこ……特に人型には。」


「ヒュウ!や、やるな…だがその洗練された動きはヤバい。」


「慣れっこってこういうことじゃないの?」


「悪かった、取り消すよ。お前は強いな、それもかなり。」


二人は会話をかわしながら怪物の調査を始めた……

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