◇2 魔獣なんていなくていいから!!
ここは異世界だ。
いきなり知らない森の中に召喚(?)され、そのまま放置され、目の前にはシステムウィンドウ。そして自分のステータスが書かれている。
しかも、自分にはスキルが備わっている。もうこれは異世界としか言いようがない。
そして、俺が知ってる異世界なるものに必ず出てくるものの一つ。
『ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!』
「う”わ”ぁぁぁぁぁあ”ぁぁぁぁ!?!?」
そう、モンスターである。
______________
名前:グレートウルフ
種類:魔獣
ランク:B
鋭い牙と爪を持った獣族の魔獣である。
オスは単独、メスは群れを引き連れて行動している。
肉は食用にしても問題ない。
毛皮、牙、爪は加工品の材料として重宝される。
______________
すげぇ俺鑑定スキル使えてる! じゃなくて!! 今は冷静に鑑定するような状況じゃないんですけどぉぉ!?
今追いかけ回されて森の中を走り回ってるんだけどさ、これは絶対追いつかれるよね!! なんかいつもより速く走れてる感じがするけれどここ森の中だから制限して走らなきゃいけないし!!
「いっでぇ!?」
やっべぇおでこぶつけためちゃくそ痛い!! あぁぁ逃げなきゃ!!
あぁもうこれどうしたらいいのさ!! あ、無限倉庫!!
「ゴミっ!! ゴミ開けっ!!」
______________
【無限倉庫】
【No.9 ゴミ】
・神聖剣(両手剣) ・神聖剣(片手剣)
・神聖剣(双剣) ・神聖刀(長刀)
・神聖刀(短刀) ・神聖槌
・神聖斧 ・神聖弓
・神聖杖 ・神聖槍
・神聖爪 ・神聖銃
・神聖鞭 ・神聖盾
・神聖ハンマー ・神殺しの鎌
・太陽神ノ鏡 ・叡智ノ書
・虚構ノローブ ・士魂ノ腕輪
・宵闇ノ刀 ・宵闇ノ剣
・宵闇ノ短剣 ・深紅ノ剣
・深海ノ聖槍
etc.
______________
すまん、今はそれしか名前が浮かばなかったんだ。じいちゃんが何かすげぇ武器を【ゴミ】って書いてたから仕方なくだ。悪いのはじいちゃんだ。……じゃなくて!!
【ゴミ】って名前を付けられた無限倉庫のうちの一つがシステムウィンドウで目の前に開かれた。走りながら目の前に出現した無限倉庫の表示を……うわっ!?
森の中だったから道は険しい。だから木の根っこに足を引っかけてしまい盛大に転んだ。所謂絶体絶命である。
もう何でもいいから武器をくれ!! そんな気持ちで適当に何かの名前をタップした。
その後に目の前に出現したもの。
まるで、野球のバッドのような太めで長い棒。
そしてその先には、とてもデカい、まるで樽のような形の金属製のものが付いている。
「せぇ、のっっ!!」
もう既に目の前まで迫ってきていた狼モンスター。
あっ。
何となく、モンスターの迫ってくる動きがスローモーションのように見えて。
だから、狙いを定めて、俺の出せる全力で思いっきり魔獣の頭を殴ったのだ。
「ハァっ……ハァっ……あ、あれっ……?」
目の前には、俺を鋭い目で見つめていた魔獣はいなかった。いや、たぶんこの方向に吹っ飛んだんだと思う。
だって、なんかすごいもんが飛んでったような跡が残ってるし。ほら、地面抉れてるし。だいぶ遠くの方まで。
ここまでふっ飛ばしたって事は、これは倒せた感じ? てか、モンスター見えないな。どこまで行ったんだ? あ、見えた。けど……頭……いや、俺は何も見なかった。てかよく見えたな、俺視力よくなっちゃった感じ? これもシステムウィンドウのお陰?
「よ、っしゃぁ……」
勝ったよ、俺勝っちゃったよ……あの狼モンスターに……!
てか、俺こんなのよく振れたな。結構デカいのに。でも、これ全然重くないな。軽いのに結構力出た。それにこんなにぶんぶん振り回しても疲れないし。すげぇなこれ。ゴミに仕舞っといちゃいけないやつじゃん。
______________
アイテム:聖神ハンマー
ランク:SSS
聖なる力を宿した武器。魔獣に効果的。
軽量化されている為、通常より10分の一の重さになっている。
メテオミスリル鉱石で作られている為、余程の事がない限り壊れる事は無い。
攻撃力:+10,000,000
______________
わぁお、すげぇなこれ。だから俺でもあの魔獣を倒せたのか。てか、一番下の数字は数えたくないな。常識は分からないけれど、きっとこの武器は飛びぬけて非常識なんだと思う。
なるほど、武器にはランクみたいなのがあるみたいだけど、SSS級だなんてこれは凄すぎるって事だな。まぁ実際に使ったからその凄さは分かったけど。
でもさぁ、これどうすんだよ。
「森林破壊じゃん、これ」
やっちまった? でも命かかってたんだからしょうがなかったんだよ。だって死にたくないもん。
そしたら、ハンマーじゃない方が良かった? 選ぶ余裕なくて適当に押してこれが出てきちゃったんだけどさ。とは言っても、血は見たくない。切断系は嫌だし、弓矢はあっても使い方分からないし当たるか分からない。
となるとやっぱりハンマーになっちまうんだよなぁ。
「横に振るんじゃなくて、上から振り落としたほうが良かった?」
でもそんな技術的なもの、俺は備わっていない。そんな事出来るような余裕すらないし。それに、もうモンスターとこんにちはしたくないし。
でもさぁ、あん時なんか誰かにハンマー支えられていたような、上手くは言えないんだけど、ここを狙えって言われていたような、そんな感じがしたんだよね。
……ステータス効果、とか? うん、ありそうだな。
まぁでも、異世界に来ちゃったしこういう事ってまたあるかもしれない。となると、慣れてたほうがいい?
勘弁してくれと言いたい所だけれど、でも死にたくはない。しかも今は森の中、一体この森の中にはモンスターが何匹いるのだろうか。マジで、死にたくない。
とりあえず、聖神ハンマーは無限倉庫には仕舞わずに持っておくことにした。来た瞬間に頭カチ割ってやる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます