第3話  課題曲ってどう思いますか?

会議は想像していたのとは違い、とことん斜め上に突き進んだ。


「どうせなら、難解曲もいいのでは?」

そう!技巧派の台頭だ。


彼女達があげたリストは驚くべきものばかりだった。



秘儀Ⅲ -旋回舞踊のためのヘテロフォニー


饗応夫人 太宰治作「饗応夫人」のための音楽


深層の祭/三善晃


吹奏楽のための「クロス・バイ・マーチ」


高度な技術への指標


変容―断章


「よくもまあこんなに探してきたもんね」

顧問の先生は題名を聞いただけで、大きくため息をついた。


ちなみに私は【高度な技術への指標】推し


「だって楽しいよねこの曲!」でも出来る自信は全く無いない



そうやって色々な事を話していると、皆がどんな曲が好きなのか次第に分かってきた。

私はとにかく感動する曲。他にはとにかく楽しい曲

先生は静かというか厳かな曲。

部長は派手目の曲。


ふむふむ

「わかりました。では間を取って【ブリュッセルレクイエム】どうでしょう?」


「え、出来る自信あるんだ」ふふふと、部長


「いやー単に好みというか」


「先生【リベラシオン】いいとおもうよ。天野正道さんの曲すごいかっこいいよ」


いや好きなもの言うだけなら会議になんないよ。


「それじゃあ【宝島】!」 それ定期演奏会の締めでやるからパス


【オーメンズ・オブ・ラブ】  爽やかよねこの曲!


【たなばた】  その曲もいいね。うんいいよね


【A Whole New World 】  ありかなしかで言えばあり。


「青の曲聞いたらアラジン見たくなったじゃない!もう!」


その後も好き勝手に曲を言い出した私たちは、自由曲の選考という肝心お目標から程遠い場所にいた。 


「でもいいよね 楽しいし」

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