第2話 昔の課題曲って名曲揃いですよね!
二人して職員室に行くと、吹奏楽の部長もいた。先生と何かお話をしているようだった。
彼女の話が済んだので、私たちは先程の提案をした。
「エアーズね、いいんじゃない。とてもいい曲だわ」
あっさり許可は降りた。
それはあたしのほうが拍子抜けするくらいだった。
「ただ、みんなに意見を聞いてから決めましょう。他の子達にも考えがあるだろうと思うわよ」
「はい」それはそうだ。
「ちなみにあなたで3人目なのよねー」
隣で私たちより先に来ていた部長が、苦笑いを浮かべながら説明した。
「実はあたし昨日先生に自由曲は【さくらのうた】がやりたいって」
その曲なら知っていた。
たしか2012年の課題曲
優しいメロディーが特徴的なかつての課題曲だ。
「他にも【プロバンスの風】もがいいって言ってきた子もいたの」
これはあるアニメの中でも使われた事で有名な、2015年の課題曲
「ちなみに先生は学生の時これだったわ」
古い譜面を差し出した。
あちこち傷んでいたけど、補修の跡もあり、大切にしてあったことがうかがえる。
【吹奏楽のための「風之舞」】
それを見た部長が「なるほど。先生のご年齢は◯◯歳ってことですね。と呟いた。
先生はそんな部長の失言を、寛大にもスルーしてくれた。
「同じ年の課題曲だもの。よく覚えているわよ」
作曲なさった先生が指揮して全国出たという話は有名でしたね
「いやー実は私、テレビ番組で初めて知りました」と部長は照れながら言った。
何だみんな同じ思いでいたんだね。
「だから、どれにするかはみんなに任せる。よく話し合った上で決めたらいいわ」
「これだけは言っておくけど、正直な話過去の課題曲で上位進出は絶望的よ。
それだけ審査員の耳は肥えているし、指摘事項もたくさんあるわよ。
「それでも好きな曲をやってみたい、そう思うなら私は止めない」
「止められないわよ」
私たちはその言葉に励まされるようにして、それぞれの思いを再確認した。
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