第8話ー有限の時間の中でー
俺は、あと1ヶ月残ることを決めた。あと少しだけ、頑張りたいのだ。俺は確かに人を殺したくないのかもしれないが、だけど人を殺したいという気持ちもある。葛藤したが、あと少し頑張ることを決めた。実際に請求されることはないので安心できた。俺は里親募集にかけられ、もう少しで見つかるらしい。ここから出るまで、頑張りたい。
今日はよくわからないやつを殺すことになった。そいつをみた途端、息を呑んだ。すごく痛々しく、腕が既にない。足も少ししか残っておらず、既に虫の息だ。
どうしたらいいのかはわからないが、頑張ると決めた。まずは尻を足で蹴る。器具が渡された。蝋を落として固める。そのまま心臓と逆側を刺して蝋を剥がす。これで既に男は死んでしまった。あとはおっさんたちに任せ、第二の家に帰った。
俺には、あの人がとても可哀想に見えてしまった。虐待を受けていたのが同じで、一時期あいつも殺し屋をしていたそうだ。あいつとは顔見知りだった。あいつを殺すのはとても苦痛だった。でもやると決めたことはやるので仕方ない。頑張るしかないのだ、そう自分に言い聞かせ、無理をしていた。あと少し、頑張れ、終わったら楽になる、と。もう自分の気持ちを考える気持ちもなく、本当に本当に疲れ果てていたみたいだ。自分が、殺し屋をしたこと、後悔もしてない。だけど、殺したくない。だけど、楽しい。そして、ここの人たちは優しく扱ってくれる。こんな人たち、他にいるのか?あと少し、有限なのに…俺は不安と希望とで、丸1日泣いてしまっていた。もう、ここからいなくなりたい。孤独にするならそうしてほしい。もう…疲れてしまった。どうにかしてくれ…ライズ、瀬恋、ボス。そんなことを思っていたうちに、俺はこの人たち…特にライズが好きなんだと思っていた。あいつといるとどうも調子が狂ってしまう。だけど、ずっと一緒にいたい。
俺は生まれて初めて友達を知り、恋を知り、初めて恋をした。
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