第7話ー仮面の下の気持ちー

俺は本当に人を殺したいのか?なんで?俺は人を殺したくてここにきたんじゃないのか?自分を責めていってしまう。本当にもうわからなくなった。だが気がついたこともある。それは

「俺に殺しは向いてない」ということだ。

殺しを苦手とするならば、ここに居場所はない。実際、それで出て行った人もいる。俺の居場所、ここ以外にあるのか…?俺、本当にここにいたいのか?瀬恋もいて、ボスもいて。俺を慕ってくれるライズもいて…こんな場所、他にあるのか?




そんなことを考えていると、ライズが入ってきた。




「どした?」

「ライズ…」

俺は泣き出してしまった。

「どうしたの⁉︎私泣かせちゃった?ごめん!」

「べ…別に…俺の勝手…」

「…おいで。ね?なく必要ないよ?」

俺はしばらくライズの胸の中で泣いた。初めて泣いた。産声もなかったようだ。俺は、初めて「泣くことで発散する」ということを知ったのだ。

「俺、俺!こんな空間で殺したくない!もう嫌だ!」

「そうね…うん。そうだよ。自分が殺したくないならやめたらいい。自分の思いで、動いたらいい。自分の人生、自分で決めな…」

殺しが嫌だと、自分に仮面をつけていたのも、初めて知った。ライズ、瀬恋、ボス…こんな恵まれていたんだと、初めて知った。俺は、恵まれている、恵んでもらっている。そう思えた。多分、ここで俺の仮面は外れた。もう、仮面をつけることもないだろう。





この頃、一ヶ月後のことも、知る由もなかった…

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る