第4話 柔道部と商品券
放課後
「たーのーもー!」
「ちょっと!止めなさいよ」
ケーキの前の腹ごしらえと、私達は校舎西側にある武道棟の前に来ていた。
「えーなんで。」
「今日来たのは練習を見るためでしょ?間違っても道場破りじゃないよ」
そう?
やることは同じだよ!
そんな事を言いながら私達は玄関の中へ入った。
「たのもー!」
「おお。来たか!」
道場の中から昼間見た部長が出迎えてくれた。
さっそく道場に案内されると、きっとむさ苦しくて暑苦しいんだろうなーという私の考えは裏切られ、そこには花園が広がっていた。 どいうこと?
「女の子しかいないね」
「そうだねー」
「ねえ、男子部員はいないの?」
「うむ。今はわしだけじゃ」 なんと
ざっと見ただけで30名くら位いるんだけど、その全員が女性徒だった。
うーん、ここだけ女子校だよ!きゃきゃうふふだよ!
「このハーレム野郎め!」
「いた。なんで殴るのじゃ。」
「うるさい、このヤリチ◯ンが! 毎日美少女に囲まれてくんずほぐれつだと、 うらやまやけしからん!」
スパーン! ・・・痛いじゃないか
「はいはい。華子はちょっと黙っっていようか」
夏菜子がハリセンで追い払うようにして割り込んできた。
え 夏菜子って誰かって? 前の席の子に決まってるじゃん。
「何ブツブツ言ってるの?」
いやなんでもないです。
「ところでなんで女子部員しかいないの? 男子生徒は権田原だけ?」
「あーいや、いるにはいるんじゃ。ほれ」
部長が指さした先にある名札掛けには、あふれる数の名札か下げられていた。
「ところで権田原ちゅうのはわしのことか?」 うん、イメージです。
「・・・まあええわ。 あそこにある名前はみんな現役部員だ。1年生30人。2年生20人。3年も10人くらいはいる。」
「それで、今その人達はどこにいるの?」
部長にそう尋ねると、彼はびっしょりと頭から汗を流しながら、視線をさまよわせた。
「おい、さっさとはけ!」
「だからやめなさい!」
再び夏菜子からのハリセンを頭に受けつつ私はやつに尋ねた。
・・じつは うんなになに
「えええー!入院している。稽古中全員病院送りにしたって」
「・・うむ。不幸な事故じゃった。」
「それで原因が練習で張り切りすぎて思いっきり投げ飛ばしたせいだと。」
「うむ。最近の若者は軟弱すぎるから困ったもんだ。」
いやお前が言うなよ!無理だから。人類に魔物の相手は無理だから。
いや人間なんじゃよ。ちーとばかり体格が恵まれた男子高校生じゃ。」
そうなんの疑いもなく言うやつを見ているとクラクラしてきた。
彼が言うのはこうだった。
冬休みに入りすることもなかったので、山にこもり修行をしていた。
熊相手に連戦連勝で気が大きくなった彼は欲が出てきた。
「そいえばこのあたりにダンジョンなんとかいう、最近流行りの強いややつがいる場所があったはず」
そうして彼は何日も山の中を彷徨った。
洞窟はどこだ。
山野を駆け巡った。
そしてついにそれらし洞窟が見つかった。
だが
「あいつらは強かった!」
とにかく最初は連戦連敗。
全く手も足も出なかったらしい。
まあ普通はそうだ。
努力して勝てるなら探索者は苦労してない。
だがここで引き下がっては熊に申し訳ない。
とにかく勝てるまで頑張ろう!
そうして寝る時間も惜しんで戦い続けた。
それが一月も続いたある日。
なにか体の中から力が湧いてきた。
その力は圧倒的で、あれほど苦戦した魔物たちを一瞬で殲滅したそうな。
まさに俺つえーの日々だったとか。
だが楽し位日々は突然終わりを告げた。
もう山に彼の敵はいなかった。
季節は春を迎えた。
「・・・で、その勢いでみんなをしごけば全国も夢じゃないと考えた」
「うむ」
「その結果が1年生の女子部員以外入院ってことね」
「新入生の彼女らに稽古をつけようにも、2年3年の女子生徒はみんな退部してしまった。」
まあーそうでしょうね。
「正直困り果てていたところにお前の入学が耳に入ったんじゃ」
あーだいたいわかった。おっけー
要は彼女たちを指導すれいいわけね。
「いやーどうしても無理ならしょうがない、わしが手加減して稽古するしかないのう。 どうしても無理なら仕方ない。」
そう言うと、奴はポッっと顔赤らめた。
腕を組みながら「しかたないのうふふふ」と、気持ち悪くつぶやくやつを見て、それまで固唾をのんで見守っていた女生徒たちが、ひっ!と息を呑んだ。
彼女たちは救いを求めるようあたしを見た・・・うっ、そんな目で見ないで
私は部長に向かって宣言した。
「いいわ、やりましょう! 彼女たちを稽古してあげる!」
「あ・・いや無理ならせんでもわしが」部長は慌ててそう言ってきた。
私は無視して続けた。
「ただ、あたしは毎日配信があるからここに来ることは出来ないの。あなた達が来なさい。私の場所へ!」
「華子、来なさいってまさか」
「そう!みんなで楽しい散歩ダンジョンよ!」
そう叫んだ私を、彼女達は呆然と見つめていた。
いやそこは感動して抱きつくはずだよね。 あれー?
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