第5話VSコル

ーフェールニスト視点ー


我と主人殿、そしてその他諸々と一緒に食事をしてから数時間が経った頃、主人殿が『知り合いから連絡が来たからカードに入っててくれるか?』と言われたので仕方なく我はカードに入ることにした。本当はもっと主人殿にくっついていたかったのだがな。


そう考えながら我は主人殿をカードから見守っていると金髪の男が馴れ馴れしく主人殿に声を掛けていた。何奴じゃ?そう思っていると俺の頭の中にある記憶が蘇った。それは転生する前の、超絶異形生物戦闘歴を見ていた時の記憶だった。


彼奴は決勝戦で負けた天遊将じゃないか。そういえば戦闘狂だったな。だから己を倒した者と楽しそうに話すのだな。てことは天遊と戦いをしに来たのか?我がそう考えていると天遊が戦おうぜと呼びかけてきた。ふふふ、良いだろう!主人殿と我ら異形生物たちの力を見せてやる時が来たのだ。目に物見せてやろうぞ。


主人殿も気付いてあるのだろう?我だけではない、あの戦いで主人殿を助けられなかったと悔いている異形生物やあの場へと居なかった事を悔いている異形生物、その者たちは我と鍛錬し、その悔いを糧にした。その者たちの強さは何段階も上がっておる。その者たちが彼奴と戦いたいと言っておる。言葉は分からなくとも分かっておるじゃろう?


我はそう考えながらカードから主人殿を見ているとため息をついてから『しょうがないな、受けてやるよ。俺の異形生物仲間も戦いたいと言ってるしな。』そう答えを言ってから異形生物のカードを取った。その者はコル、主人殿の為に天翔狐から天空魔空光獣狐へと進化した主人殿の忠臣。


天遊将(岩石蛇天)VS浄聖神矢(天空魔空光獣狐)


ー浄聖神矢視点ー


俺と将がカードでモンスターを呼び出すといつの間にかドローンが現れた。そしてそのドローンから聞こえる声が撮影の許可を求めるものだった。このドローンは見たことがある。これはテレビ局のものだ。俺は許可を出すと将と向かい合った後岩石蛇天がコルに向かってきた。


「行け!ロールス!岩天落とし」

「コル、神秘の足音だ!」


将がロールスにそう指示を出すと宙に飛び、魔法陣から岩石を呼び出し、岩石を落としてくる。それをコルがその岩石に足を踏みしめてから次の岩石に向かって飛んでいく。それを繰り返しているとロールスは危機を感じたのか離れるがコルは岩石を使って離れたロールスの方向に飛んでいく。離れたのは良い判断だと思う。だけどさ、甘いよ。前のコルならいざ知らず、今のコルならその程度、容易に対策できる!


「光獣天衝撃、それから地点操だ!」


コルは俺の指示した通りに衝撃波でロールスを吹っ飛ばしてから地面に脚をポンと置くと地面が動き出した。そして地面は色々な形になり、ロールスに向かって行った。ロールスはソレを避ける。ロールスには全く当たっていない。だけど俺の狙いはそこじゃない!ロールスは攻撃を避けるために空中へと飛ぶ。そうだ、それが狙いだったんだ。さぁ、行こうか、コル。お前の力をロールスにぶつけるんだ。


「コル!混魔聖天だ。お前の力をぶつけて勝つぞ!」

「何を言ってるんだ!コルとロールスには距離があるんだ。そう簡単に狐の異形生物が…………」

「詰められる訳が無いってか?分かってる筈だぞ。コルは進化している。進化前も狐にしては速かったんだぞ?進化したんだ。狐だから遅い、そんな枠組みに囚われる訳無いだろうが!」 


俺と将がそんな事を言い合っているとコルはドォン!という音と地面に足跡を残して消えた。いや、消えたように見えているだろう。俺もフェルと一緒に鍛えていなくちゃ見えていなかった。コルがロールスの所に到達すると前脚を、いや、爪を振り翳す。そして次の瞬間、暴風と衝撃波、地面に大きな爪痕が残った。


その技を喰らったロールスは地面に倒れた後、将のカードへと戻っていった。そしてそれを見たコルも俺に近寄ってきてからコルのカードに額を寄せてカードに戻ってった。圧倒した戦いで満足できたのか?と思ったが、満足そうにしていたので満足なのだろう。それに他の異形生物もいるからという事なのだろか。


しかしやっぱり俺の異形生物はどこまでも頼りになるな。俺を守るためにここまで強くなってくれるなんてな。帰ったら毛を整えてやろう。コルはそれをやったら結構喜ぶからな。まぁ、他の異形生物にも構ってやらないと拗ねそうなんだが。特にフェル。アイツドラゴンだけど寂しがりやなんだよな。というか拗ねるどころか泣く時あるし。そうなると周りからの異形生物からの視線が痛いんだよなぁ。


まあ、俺が悪いからしょうがないんだけど。俺はそう考えながら新たな異形生物が存在するカードを取る。コルと同じく、フェルとの鍛錬によって種族が進化した狼の異形生物である。俺はそのカードの異形生物の感情を理解しながら召喚する。


「召喚!聖法千輪狼ロウ!」


俺がロウを呼び出すと進化前の姿よりも巨大になり、更なる覇気を持ち合わせている巨狼が降臨した。そんじゃあよろしく頼むぞ、ロウ。俺がロウにその気持ちを込めて触ると喜びの感情を含んだ鳴き声をした後に将に向いた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る