第4話主人と人化とチョロゴン
ー浄聖神矢視点ー
む、眩しいなぁ。そう思いながら俺は眠気と戦いながらやっとの思いで瞳を開けると俺の胸に白髪の美少女がスリスリと頭を寄せてくる。ッ!?俺は驚愕に染まり、叫びそうになるが必死に抑える。もし俺が叫んだとしたらコイツが起きてしまうかもしれないからな。てかコイツ誰なんだよ。
「えへへ、大好きだよ。あるじ〜」
一発で分かったわ。コイツフェールニストだ。そういえば昨日フェールニストを抱いて寝たわ。というか俺とフェールニストは会って3日も経ってないだろうが。どんだけチョロいんだよ。そう考えながらフェールニストの髪を撫でる。
フェールニストの髪はとてもサラサラでドラゴンだったのが信じられないくらいだった。まるで女性みたいな……………アレ?フェールニストの胸に膨らみがあるのはなんでだろうな?いや、分かっているんだ。だけど思考が追いついていないだけなんだ。そうして俺は深呼吸をして思考を落ち着かせるとやっと今起こっている現象を理解できた。
フェールニストが女性ってマジ?俺の思考の驚きは思ったより反応が薄かった。昨日驚きすぎたのもあるのだろう。でもな、困っている事があるんだ。とても可愛い女の子と意識しだしたらめっちゃ心臓がバクバク鳴ってくるんだ。
大して俺は女の子と関わってきてないからな。あるとしたら幼馴染である花板優香だけだ。俺が優香のことを考えているとフェールニストは『んむぅ』なんて可愛い声で寝言を言った。本当に可愛いなオイ。そう思っているとフェールニストは赤色の瞳を俺に向けてきた。
「あるじ?えへへ、あったかいね。むぎゅー」
「フェールニスト?」
「フェールニストじゃない。フェルってよんで」
フェールニストは寝ぼけているのか滑舌が悪くなってそんな事を言いながら抱きついてきた。はぁっ!?俺がフェルに抱きつかれて混乱しているとファンネルが俺の部屋のドアを開けて俺の方を見てくる。ファンネルは俺を驚きながら見てきてドアを閉めようとした。
「待て待て待て!黙って去ろうとするな!」
「えぇ、嫌なんですけど。例え助けを求めるのが我が王であったとしても、フェールニストの邪魔をすると痛い目に遭うので嫌ですよ」
「おい!ファイネルは俺の事を王って言ったよな?だったら助けてくれよ!」
「ふっ、王よ、今貴方は危機に面してはいない。ですので私の助けは不必要だと思いました。後フェールニストに共犯として怒られたくないですし」
「絶対後者の方が本音だろうが!諦めて俺と一緒に怒られてくれ!」
俺とファイネルがそう騒いでいるとフェルが俺とファイネルの事を呆れた目、つまりジト目で見ていた。俺とファイネルが冷や汗をかいているとフェルはため息をしてからベットから降りた。
「全く、我が寝ているのに何故あんなに騒がしくできるのか謎だな。どうせファイネルの事だ、もう朝食は用意してあるのだろう?さっさと降りるぞ。主人殿も呆けてないで降りるぞ」
「お、おう。そうだな、降りるか」
俺とフェルはそんな事を言いながら階段から降りながらリビングに移動する。階段を見てる時に思ったんだが、フェルは昨日や寝起きの時と違って凛々しく歩いている。見た目は可愛い系なんだけどな、そんな事を考えているとフェルは俺の視線に気付いたのか口を開けて『何だ?我に何か付いておるか?』と言ってきた。
「ん、いや、何でもないよ。ただ、フェルが可愛いなって思っただけだよ」
「な、なんじゃ急に!いきなりそんな事を言ってきて……………う、嬉しいけど」
俺がそう言うとフェルは顔を赤くしながら人差し指をもじもじしだした。可愛いな、そう思っているとコルに額をぶつけられてコルの方向を見ると呆れ目をしていた。やっべ、そう思いながら俺とフェル、ファイネルは席へと着いた。いつも通りファイネルが用意してくれた朝食を摂った。
「相変わらずファイネルが作った飯は美味しいな」
「ふふ、ありがとうございます。我が王よ。しかし料理の腕で言えばフェールニストの方が格段に高いですよ。私の料理の師匠はフェールニストですから」
「え!?そうなのか…………てかドラゴン系の異形生物って料理とか要らないんじゃないのか?」
「む、確かに我等ドラゴン系の異形生物は料理を必要としないが、美味しい物は食べたいものだぞ。まぁ、我以外が美味しい物を求めているドラゴン系の異形生物など見たことがないがな」
フェルはそうあっさりと言い放った。まあ、ファルは特異そうだし想像できるっちゃできるんだよな。俺がそう考えていると俺の異形生物たちも信じられないといった声質でフェルに問いかけた。いや、これは問いかけているのか?疑問とも取れる声質であったしな。それに俺は異形生物たちの正確な言葉は理解できないしな。
「信じられないと言われてもフェールニストが私の師匠ということは事実ですし。それにフェールニストは私だけの師匠というわけではないですよ。このドラゴンはこんなんでも教えるのは上手ですからね。こんなんでも」
「酷くないか?魔戦時代にお主らに魔力の効率の良い巡り方を教えてあげたのにな。確かに少し話が拗れやすいのは認めてやろう。少しだけだからな!」
フェルとファイネルがそんな事を楽しそうに言ってるのを見て少しモヤモヤとした気持ちを覚えながらファイネルが作ってくれた朝食を美味しく食べましたとさ。てかファイネルの料理の師匠であるフェルが作った料理食べたくなってきたんだけど。
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