第2話礼と仲間入りと古の
我は主人殿を主人殿の部屋に入れて休息させているのだが、主人殿の異形生物に睨まれている。当たり前だろう、先ほどまで戦っていた闇に属する異形生物と同じ気配をしているのだから。てか本当に起きて欲しい。結構空気が悪い。
我はそんな事を考えながら主人殿の方を見ると目を開けていた。前から起きていたというよりかは今さっき起きたばっかりの雰囲気である。主人殿の異形生物たちは起きたばかりの主人殿に駆け寄った。
「
『ふん、我はただ、我を呼び出した主人殿があの程度の敵にやられるのが気に食わんというだけだ。だからあの者を討ち倒したに過ぎん』
「ははは、そうか。それでフェールニストはこれからどうするんだ?俺が呼び出したいうことは俺の召喚生物になろうだろうけどそれで良いのか?お前が俺の召喚生物になりたくないというなら元いた世界に戻すけど」
我がそう言うと主人殿は苦笑しながらそんな事を言ってきた。我はその言葉を聞いた時、驚きで固まってしまった。そして硬直が解けると我は悲しさと虚無感に包まれて泣きそうになると主人殿の異形生物である騎士が主人殿に話しかけた。
「我が王よ、この者、フェールニストは我が王の軍勢に参加したいのではないのでしょうか?」
「え?それって本当か?だって俺たちと戦っていた闇の異形生物より断然強いフェールニストが俺の仲間になりたい訳ないだろ?」
『わ、悪いのか?確かに我は主人殿が所持しているとんな異形生物より強い。だからと言って主人殿の仲間に入りたいと思うのは可笑しいのか?』
ー浄聖神矢視点ー
これマズかったか?だってフェールニスト泣きそうになってるもん。どんな目的があるか分からなかったから離しておきたかったんだけど、これ純粋にファイネルが言ったみたいに俺の仲間になりたかっただけなのか?
俺がそう思考に浸っているとフェールニストの瞳には先ほどよりも更に涙と思わしき水が溜まっていた。やばい!これは本格的に不味い!俺はそう焦りながらフェールニストに『それじゃあこれからよろしく頼むよ』と言ったら涙は収まるどころか溢れ出して俺に抱きついてきた。
それから50分ぐらいフェールニストは泣いていたが涙を出し切った後は『うむ、それではよろしく頼むぞ、主人殿』と言われた。いや、もう威厳を出そうとしても遅いと思うんだがな、そう考えていると俺騎士であるファイネルがフェールニストに声を掛けた。
「相変わらず貴方は遠回しに言うのですね。それだから我が王との会話がこんなにも拗れるのですよ?」
『なんじゃお主…………お主ファイネルか!?いやはや、久方ぶりじゃな。というか我の言動は遠回しなどでは断じてないぞ!』
「全くどの口が言っているのか。貴方はあの作戦会議の時、メンバーと喧嘩をしたではありませんか。いや、アレは己を心配させない為でしたか?まぁ、今となっては過ぎた事。私は気にしませんよ。ですが貴方は今、我が王の軍勢なのです。勝手に特攻して死ぬなんて許されませんよ」
ファイネルは睨みながらフェールニストにそう言った。フェールニストの顔も色々な感情がゴチャ混ぜになったような顔をしていた。この二体には知り合いみたいだな、それもフェールニストは何か滅茶苦茶したみたいだな。そんな事を考えているとフェールニストは思い出したかのように話し出した。
『忘れていたのだが、主人殿が気絶している間、異対係なる者がやってきてな、交渉決裂しかけて戦闘になりそうになったのだが別の異対係の者に諌められてその者と新たな交渉をした結果、主人殿が目覚めたら連絡するということになったのだ』
俺はフェールニストに急にそんな事を言われて驚愕で身体が固まっていた。まさかと思い、ファイネルの方向を見ると、ファイネルは頭を抱えていた。まさかというか、やっぱりこのウッカリは元からなのか!?そう思いながらフェールニストに教えられた電話番号で電話すると、出た異対係の人は起きたばかりだから疲れてるであろうし、予定がある時で良いよ、と言われて一方的に切ってきた。
異対係の人ってもうちょっと真面目な人達だと思ってたんだけどな。そう俺は考えながら遠い目をしていると、ファイネルが俺の肩にポンポンと叩いてきた。何だ?と思いながら振り返ると看板を持っていた。その看板には文字が書いてあった。
"頑張ってください、我が王よ。昔は私もそれを体験したのです。ですから我が王も頑張ってください。"
なんて事が書かれてあった。俺はその看板を見て思った。体験した事あるなら助けろよ!そんな事を思ってしまった俺は間違いなのだろうか?そう考えながら俺はフェールニストの頭を撫でる。フェールニストはとても気持ち良さそうにしているので構わないのであろう。
なんかファイネルが信じられない物を見るように此方を見るが気のせいだ。ファイネルから昔、ドラゴン系の異形生物が頭を撫でることを許すのは、伴侶か認めた者だけと教えられたような気がするが気のせいであろう。というか、これ以上の情報が出てきたら倒れる気がするので気のせいにしておきたい。
はぁ、色々な情報が出てきて疲れたな。俺はおやすみ、とみんなに告げるとフェールニストを抱いて眠りについた。フェールニストから抗議の声が聞こえたが、すぐ眠りについた俺には関係のないことだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます