第2話 萌えキャラ缶ペンケースのイマジナリーフレンド。
翌日。登校、教室で授業を受ける
昨日の出来事。ありがたいことに夢でも幻でもなかったようで、どういう仕組みか缶ペンケースを住居とするフェアリンは、
(あの、フェアリンさん。校則では校内への美少女フィギュア持ち込みは禁止。出来れば机の中、缶ペンケースの中で大人しくして欲しいのですが、いかがでしょうか?)
声を潜めてフェアリンに話しかける
そして、校則もそうであるが、もしも美少女フィギュアを机に授業を受ける場面。クラスメイトに見られては変態オタク野郎としてイジメ・ロックオンは間違いない。
幸いにも
「今から授業で使うプリントを配るぞ。1枚とったら後ろの席まで回していってくれ」
前の席から後ろの席へ手渡しで回されるプリント。
(ヤバイって! フェアリン。早く缶ペンケースに隠れてくれ)
しかしフェアリンは動かない。
そうこうするうち。前に座る女生徒は振り向くと同時に右手に掴んだプリントを一閃、
「あっ!?」
思わず声を上げる
パタパタ。背中を生える魔法の羽でもって宙に浮きあがると、再び缶ペンケースへと舞い戻り腰かけていた。
そんな驚異的な光景にも女生徒はまるで目もくれず、
(マジかよ……? フェアリンだぞ? 空を飛んだのだぞ? それに対する反応が俺を見てキモッだけとは……?)
「なんだ?
注意する先生の目線は
「よし。授業を開始するぞ。みんなプリントを見てくれ」
クラスの目が
(どういうことだ? もしかしてだがフェアリンの姿。他の者には見えないのか?)
それはその後の授業でも同じ。昼休み、放課後。ついには自宅に帰り着くまで、誰もフェアリンに気づく者は存在しなかった。
自宅。
「フェアリンって他の人からは見えないのな」
話しかける
「そうなるとフェアリンってなんなんだろうな? 幽霊?」
プルプル首を横に振るフェアリン。違うらしい。
確かに令和のご時世、幽霊も何もないだろう。となれば。
「悪霊か怨霊?」
何故そっちに行くのかとばかり、ぶんぶん盛大に振られるフェアリンの首。となると……
「魔法妖精?」
にっこり笑顔で頷くフェアリン。
これはアニメと同じ魔法妖精で間違いない。
「てことはやっぱり魔法使えるの? アニメでフェアリンが使う風魔法ジャスティス・インパクトは核爆弾なみの威力だったが……?」
フェアリンは両手を胸に祈るようなポーズ。しかしMPが足りないのか何も起こらず、遂には泣きそうな顔となっていた。
「うおーん。大丈夫。魔法が使えなくてもフェアリンはフェアリンだから大丈夫だよ」
頭をちょいちょい指先でなでるだけで、笑顔となるフェアリン。
(フェアリン可愛すぎる!)
そんなファエリンをガン見する
「おお! と、飛んだ! って、学校でも飛んでいたか……」
だが、学校では床に落ちる寸前、机の上まで飛び上がる大ジャンプのようなものであったのに対して、今のフェアリンは部屋の中。
「そういえばアニメのフェアリンも空を飛べたな。すげえ! これが魔法や!」
ちなみにフェアリンの服装。魔法妖精に相応しく制服を模したその外見。当然に下半身はスカートとなっているわけで……
(んおお! パーフェクトホワイト! やっぱりフェアリンは最高や!!!)
そんな室内を飛び回るフェアリンの姿。ありがたく眺める
(……フェアリンって、やっぱり俺のイマジナリーフレンドなのかな?)
イマジナリーフレンドとは心理学、精神医学における現象名の1つ。他人から見ることの出来ない想像上の友人、空想の遊び友達。幼少期ひとり遊びの時間が多い子供に見られ、大人になるにつれ消失するという。
つまりはフェアリン。室内を飛び回り元気いっぱい。本物の魔法妖精に見えようとも、その姿形は全て
現代科学の常識から言って魔法妖精など存在するはずがないのだから、
だからこそ今この時間。室内を飛び回るフェアリンの姿。しっかり目に焼き付ける
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