俺の萌えキャラ缶ペンケース。いつの間にか美少女妖精が住みついていたのだが?
くろげぶた
第1話 萌えキャラ缶ペンケースの美少女フィギュア。
高校3年生の春となれば将来について考えざるを得ない時期であり、
進学か就職か。いずれにしろ勉強するに越したことはないというわけで、
参考書を片手に問題をこなしていく
(誰もいないよな……?)
根を詰めすぎて少し疲れたのだろうか?
それとも自意識過剰なのだろうか?
小さく伸びをする
机の上にあるのは参考書、ノート、缶ペンケースといった筆記具であるが……その缶ペンケースの蓋を持ち上げ1人の美少女が顔を覗かせていた。
その上蓋を持ち上げ周囲をキョロキョロ見回す美少女だが、その全長はおおよそ10センチ程度。まるでフィギュアのようなその外見。
(今のは……?)
机の上の缶ペンケースを手に取る
(疲れで幻が見えたのだろうか?)
少し仮眠することも考えたが、やはり先ほどの光景が気になる
そのうち。そろそろと蓋が開かれ、隙間から顔を覗かせる美少女フィギュアの姿。
(マジかよ?! 2度も見えるとなると、これは幻ではない。現実である)
反射的に手を伸ばそうとする
おっかなビクビク周囲を見回す美少女フィギュア。再び驚かせたのでは今度こそ姿を消し2度と現れなくなるかもしれない。となれば慌てず騒がず何ごともないよう。友人に挨拶するよう自然に接するのがベストと判断する。
「うーん……この問題むずかしいよなあ。お前わかる?」
友人であれば、同じ学生であれば勉強の話題。今なら目の前にある参考書の話題が1番自然であると語りかけてはみたものの……よくよく考えれば目の前の美少女フィギュアはどう見ても友人でも学生ではない。まるでアニメに出る魔法少女のようなその外見。
もしかして判断を間違えたか? そう考える
「マジかよ!? ではなくて……ど、どうだろう? わかるか?」
美少女フィギュアはしばらく問題集を前に腕組み。ポンと手を打ったかと思えば、おもむろにペンに抱き着きノートに回答を記入していく。
身体全体を使って必死にペンを動かすその姿。
アニメに出る魔法少女のようだと言ったが、服装だけではない。美少女フィギュアの顔も髪型も全てが魔法妖精フェアリンに似ている……いや、フェアリンそのものであった。
魔法妖精フェアリンとは
そして誰あろう
何せ高校生になった今も、
つまりは現在の状況。魔法妖精フェアリンのキャラクター缶ペンケースから魔法妖精フェアリンそっくりの美少女フィギュアが。いや、本物の魔法妖精フェアリンが出て来たというわけで……
いったい何を言っているのかよく分からない上、そもそもがアニメのキャラクターに本物も偽物もないわけだが……
そんな混乱する
「あの、フェアリンさん……回答まったく間違ってます」
そういえばアニメのフェアリン。あまり頭はよろしくなかったと思い返す
「ま、まあ難しいし仕方ないよ。つーか俺も分からなかったしさ? 2人で一緒に勉強しようぜ!」
一緒に勉強することが嬉しいのか、
(マジかよ?! プラスチック製のフィギュアと違ったこの感触。本物の妖精のように柔らかいではないか……)
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