第47話 噛み跡

「…………………………………おはよう?」


「…………………………………えっ、あっ、おはようございます?」


朝?

ベッドの上。

トーさんの隣。

知らない天井だ。


暫し、呆けてしまう。

そうだった。

思い出してきた。

昨夜、結良達と、居酒屋の個室で、飲んだんだったな。

盛り上がったのは覚えてるけど、その後の記憶が。

やたらとケタケタと笑い続けたのだけは覚えてるけど。


あっと気が付いて起き上がろうとして、全裸なのに今更ながら気が付いてしまう。


「…………………………………トーさん?」


「はい、何かな?」


「…………………………………私、何か、粗相しませんでしたか?」


「いいえ、でも、『激しかった』ですよ。」


改めてあたり見回すと、乱れたと言うには激しすぎるベッド周りの惨状。


「…………………………………もしかして、私、やらかしましたか?」


「ええ、少しだけ?」


「…………………………………忘れてくださいっ!」


「善処します。」


「…………………………………お腹が、すきました。」


「そうですね。昨日と同じでいいかな?」


もう、お昼近く。

昨日と同じでランチビュッフェにしましょう!


「シャワー、一緒に、しませんか?」


私もトーさんも、身体中、大変な事になってます。

トーさんの首筋には、歯型が?


「もしかして、私『噛みつきましたか』?」


「はい、激しかったですよ。」


せっかくの事だったのに、残念ながら記憶にありません。

せめて、トーさんと、一緒にシャワーして、思い出を作りましょうね。

シャワーしてボディーソープで洗いっこしながら確かめると、トーさんの身体のあちこちに噛み跡が。

つくづく、記憶に無いのが、残念です。


シャワー済ませて、チェックアウトしてからランチビュッフェ会場へ。


支払いを済ませて、指定されたテーブルに着くと、またも居ました、結良と『まおー』。


あなた達も、お泊りしたのね。

二人ともお仕事、どうしたのかしら。

あら、まおーの首筋にも、噛み跡が。

あ〜、結良も、私と同類だったわね。

血は争えないとでも言うのかしらね。


結良達も、いい思い出になったのかしら。


結良は男運が悪くて男嫌いになってたから、こんな出会いでも幸せになれるのなら良かったのよね?

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