第46話 んで、勝ったのは?

「んで、勝ったのは、どっちなのかな〜?」


「………………………………………………」

「………………………………………………」

「………………………………………………」


「黙ってちゃ、わかんな〜いっ!」


「……………………………………たのよ?」


「え〜、聞こえな〜いっ!」


「わ、た、し、がっ!負けたのよっ!」


『ラーちゃん』が、叫んだ後に、ゼーハー言いながら放心している。

『まおー』は、他人事のように、存在感が無くなっているし。


「んで、何で勝負したのかな?」


「……………………………………たのよ?」


「え〜、ぜんぜんきこえな〜いっ!」


「………………………………たら、私の負けって事で?」


「え〜、意味わかんな〜いっ!」


ケタケタと、笑い始める『ユーちゃん』。俺には良く聞こえなかったし。

今ので、意味通じたんだろうか?


「っ、言わせといて何よっ!」


「まあまあ、さあ、コレ食ってスタミナ付けて、私達みたいに『もうひと頑張り』しましょうねっ!」


追加で届いた牛串とニンニク串を『ラーちゃん』と『まおー』の前に押し出してケタケタと笑い続ける『ユーちゃん』

最初に二人が注文した生ジョッキは、もう泡も消え去っているけど。


『私達みたいに』という事は、『まおー』と『ラーちゃん』は、僕達みたいにあのホテルに部屋を取って『勝負』してたって事かな?

何の勝負?


相変わらず空気に徹している桜井に、


「おいっ、意味分かんないぞ?どういう事だよ?」


「ん〜、俺が『勝負』には勝ったけど、『ラーちゃん』には負けたって事で?」


「こらっ、ますますわからんぞっ!俺にもわかるように教えろよっ。『ユーちゃん』はわかったみたいだけど?」


「……………………………………なんだ?」


コッソリと、耳打ちされた『衝撃の告白』に、


「…………………………………………それで、良かったのかよ?」


「ああ、俺も『ラーちゃん』も、もう恋愛に疲れてしまってたから惹かれ合ったのかもしれないと思うんだけどな。」


ジョッキをあおりながら、串を齧りながらボソッと呟く桜井。

コイツの女運の無さは良〜く知ってるから、そんな『恋愛』も有りかなと思わなくもないけど、ホントにいいんだろうか?


まあ、当人同士で良ければ、それもありなんだろうけどな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る