第21話 約束の地 ②

二人とも年パスで入場して入口最寄りのトイレ前で、


「由紀さん、僕はトイレ済ませてきますのでこの近くで待ってていただけますか?少し時間掛かるかもです。」


「承知しました。この手を離すのは、名残惜しいですけど。」


「…………………………………僕もです。」


由紀さんは、本気で名残惜しそうに、手を離して僕を見送ってくれた。

トイレ個室に入り、用を済ませてから、バカップルに成り果てた父にラインメッセージを送信!


『もう、今日は帰ってこなくていいぞ!』


と送ると、


『そうさせてもらう』


と即時に返信が。


「……………………………マヂですか〜?」


思わず、声に出てしまったじゃぁないですかっ!


参ったな。


本気か?


本気なのか!


もう、本当に、放っておこう!


母が亡くなってから、早10年。

周りからいい人がいればと勧められる事もいくらでもあったけど。


妹に、歩海に、何て説明しよう?

母大好きだった妹からすれば、許せない事だろうからな。



※※※※※※※※※※



二人とも年パスで入場して入口最寄りのトイレ前で、


「由紀さん、僕はトイレ済ませてきますのでこの近くで待ってていただけますか?少し時間掛かるかもです。」


聡一郎さんが、気を遣ってくれたのか、トイレタイムを長めに取ってくれた。


「承知しました。この手を離すのは、名残惜しいですけど。」


「…………………………………僕もです。」


本当に、名残惜しいけど、手を離さないとどうにもなりませんしねっ?


聡一郎さんを見送ってから、私もトイレ個室に入り、用を済ませてから、バカップルに成り果てた母にラインメッセージを送信!


『もう、今日は帰ってこなくていいわよ!』


と送ると、


『そうさせてもらうわ』


と即時に返信が。


「……………………………まぢですか〜?」


思わず、声に出てしまったではないですかっ!


参ったわね。


本気ですか?


本気なんですか!


もう、本当に、放っておきましょう!


父が亡くなってから、早10年。

周りからいい人がいればと勧められる事もいくらでもあったけど。


弟に、真樹に、何て説明しよう?

父大好きだった弟からすれば、許せない事でしょうからね。

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