第6話「人を問う」

「今日はどうなさいますか」

「そうだね、ホットミルクを飲みたいな」

「また、坊ちゃまですね」

「いいだろ、あれは旨いんだ」

「分かりましたご用意します」


「なぁエドモンド」

「なんでしょう」

「君は人として生きれてると思うか?」

「人として、ですか、難解ですね」


「私たちは人という種で生まれた、だったら人としての本分があるのではないか」

「宿命や、運命論ですね」

「ああそうだ」

「これは生物全てに共通することですが、生きるという事は抵抗するという事なんです」


「抵抗?」

「はい、元来人も、生存するために争っていました」

「つまりは抵抗することが、人として生きるという事か」

「ええ、そうでしょう」

「つまり平穏に同化するほど、人としての使命は損なわれるのか?」


「いいえ、そうではありません、人類は既に生きるための環境を勝ち取ったのです」

「つまりは、もう生きるためにすることはないと?」

「あるとすれば、生活の質を上げることでしょう」

「そうか、私たちは戦争や、いさかいを知らない、それでもいいのか」


「人は理想を形にする、それが今できる使命ではないでしょうか」

「夢を叶えるという事か」

「ええ、」


「もしこの先、夢に到達したら、次は何を追えばいい?」

「そうですね、本を書けばいいと思います」

「本?」

「ええ、夢を叶えたら、次は伝えるんです、それが大切です」

「そうか、勉強になったよ」

「いえ、お役に立てて良かったです」


「エドモンド、君の夢はなんだ」

「まだ上手く伝えれません」

「そうか、今まさに君も、戦っているんだな」

「ええ、でもこの夢が叶ったとすれば、死にたくないですね」

「そうか、頑張れよ」

「ありがとうございます」


「さてそろそろホットミルクを頼むよ」

「自ら勝ち取ってください」

「なんだ、抵抗か?」

「フフ」

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