第15話 イチャイチャ計画
☆田所勇気サイド☆
俺は真剣な眼差しでジッと見つめる。
すると海原は眉を顰めた。
その手を少しだけ優しげに握る。
頼む。この世界を灰色から戻してくれ、と切実に頼み込む。
お前だけが頼りなんだ、と切実な感じで訴えた。
「.....もし元の世界に戻したら私と付き合える覚悟はある?」
「残念だがそれはない。俺は.....誰とも付き合えないんだ。.....ごめんな。だけど俺はお前の思いにも応えられる様に精一杯努力したいんだ。頼む。だからこの世界を戻してくれ」
「勇気くんは変わらずだね.....。でも分かった。戻すよ」
「お前の願いも必ず答える日をくれるか」
「うん」
そして世界は海原が目を閉じて戻った。
それから時計の針も動き出す。
止まっていた時間が全て再起動して動き出した。
俺はそれを確認しながら海原を見た。
海原は、煮るなり焼くなり好きにして。こうなった以上は、と言葉を放つ。
まるで全てを諦めた犯罪者の様に。
「そんな事はしない。解放する。約束を守ってくれたんだから」
「.....何で貴方達はそんなに私を考えてないの?世界を変えちゃったんだよ?」
「だけど私達と貴方は似ている。全てが似ているの。そうだね。.....まるで境界線が似ているかの様な。同じ場所に居るかの様なそんな感覚だよ」
「.....意味が分からない」
そして縄を解く2人。
俺はその事で解放された海原を見る。
海原は、.....変な人達だね、と一言、言った。
そのまま服を着てからそのまま帰ろうとする。
「.....海原。.....お前も考え直してくれ。.....色々とな」
「私はそんな事は出来ないよ。そんな資格はないと思うから」
「そんな事はないよ。資格がないとか」
「.....そうだな。私もそう思う」
貴方達はおかしな人達ですね、と苦笑する海原。
それからそのまま立ち去って行った。
俺達は海原を玄関から見送ってからそのまま居ると姉ちゃんがやって来た。
私達を見て目を丸くした様子で見ている。
「どしたの?」
「.....あ、い、いや」
「何でもないよ。姉ちゃん」
「ふーん。なら良いけど」
姉ちゃんは皿を拭きながら、慌てて美奈保ちゃん達が入って来たから何事かって思っちゃったよ、と考える感じを見せる。
俺達は顔を見合わせてから悩んでから、すまん。姉ちゃん。色々あってな、と苦笑いを浮かべた。
それから姉ちゃんを見ていると、じゃあ私達も帰るね、と2人が言い出した。
「ああ。本当にありがとうな」
「また何かあったらメッセージして。お願い」
「.....そうだな。何かあったら必ず。.....その時は」
「そうだね。直ぐに呼んでね」
それを聞きながら俺は玄関まで見送る。
それから見ていると美奈保が、.....その。勇気、と声を発した。
そして見上げてくる。
俺はその言葉に首を傾げながら、どうした、的な感じになる。
神妙な面持ちになる美奈保。
「.....私ね。貴方を追いかけるのをやめる」
「.....?!」
「私はそんな資格はないって思っているの。陰ながら応援させて。君達の事。.....私はもう無理だ」
「.....何か知ったのか」
「2年後を思い出した」
「.....私もだ」
俺は、!、と思いながら2人を見る。
そして考え込む仕草をしながら、そうか、とだけ返事をした。
それから俺は2人を真っ直ぐに見据えた。
目を閉じてから開ける。
「.....運命は変わらないかもしれない......だけどそう言ってくれて嬉しいもあるし複雑もある。俺達は.....頑張っていかないとな」
「そうだね。絶対にそう」
「だから私は頑張るよ。ワトソン」
「.....ああ。期待してる」
そうしていると、そういえば、と美奈保が切り出した。
俺は、どした?、と聞くと。
美奈保はニヤニヤし始めてからホームズの肩を突き飛ばす。
そして好きなんでしょ?お二人さんは、と笑顔になる美奈保。
俺は、!!!!?、と真っ赤になった。
「お、お前!」
「揶揄うのも良い加減にしろって?そうはいかないよ。あはは」
「お前なぁ.....」
「せっかくチャンスなんだ。だから無碍には出来ないね」
「.....具体的に何かするのか」
「デート」
「「はぁ!!!!?」」
声が重なりハモった。
俺達は顔を見合わせる。
そして真っ赤になってから見てみた。
すると美奈保は、デートプラン立てます。なので行ってらっしゃい、と満面の笑顔で手を振り始める。
姉ちゃんも、面白そうだ!!!!!、と納得していた。
いや納得すな!?
「せっかく好き同士。仲が深まる.....」
「.....君はそれで良いのかい?」
「.....?.....何がですか?」
「確かに君は浮気はしたけど。.....だけどそれで良いのかい」
「.....正直言って諦めは無理な部分もありますけどね。浮気するぐらいなら初めっから付き合わない方が良いと思いますから」
それから俺を柔和な笑顔で見据えてくる美奈保。
俺は何だか胸にチクッとした痛みが走る。
運命は変わりつつある。
さて.....どうなるのか。
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