第14話 私の想い、貴方の思い

☆山田愛サイド☆


何が起こったか分からないが。

私の身体が動かない。

横の美奈保さんも固まっている。

何が起こっている。

一体何が。


考えながら私は身体を何とか動かそうとする。

その際に幻覚の様なものを見た。

私がもう1人居て。


そんなアメリカで暮らしている世界では私は1人、孤独と。

絶望感に後悔している。

私はその姿を見て全てを合致させる。


ああそうか。

私はワトソンが好きであり。

だけど奇跡は起こらず私は引っ越しをしてしまう、と。


だったら私は今度の世界では。

絶望なんて打ち砕く。

思いながら涙を浮かべる。

するとドアがいきなり開いた。

それからワトソンが声をかけてくる。


「大丈夫か!」


そんな声に返事もできない。

固まっているから、だ。

だけど、だけど。


これで良い訳がない。

思いながら私は必死に口を動かす。

それからワトソンの手を握る。

ワトソン、と言いながら。


「大丈夫か!愛!」

「わ、たしはだいじょうぶ。き、みは」

「俺は死んでない。だから大丈夫だ。すまない。こんな事に巻き添えにしてしまって」


涙を浮かべるワトソン。

それから泣き始める。

私はその姿に涙を浮かべる。

どうしたら良いのか。

考えながら私は悔し泣きする。


「大丈夫だ。愛。なんとかするから。絶対に絶望にはしない」

「あ、りがとう」


それから踵を返したワトソン。

そして室内に戻って行った。

私はそれを見ながら、どうするつもりだろうか、と考えていると。


ワトソンは何かを持って来た。

それはお守り。

私は、?、を浮かべていると。

そのお守りをワトソンがかざした。

次の瞬間だ。

私の身体が自由になる。

 

「ワトソン?何をしたんだい!?」

「アイツから奪ってきた。これが操作の鍵らしい。怪しい神社がこの世界がタイムスリップした原因らしいが.....詳しくはわからない」

「何でそんな事を?!」

「それが分かったら苦労しない。俺にも分からない」


私はワトソンを見ながら不安げな表情になった。

それから私は部屋のドアを見る。

部屋のドアは灰色の色に染まったままだ。

灰色というのはネズミ色である。

あまりにも無慈悲な色だった。

するとワトソンは、部屋でアイツは気絶している。偶然にも抵抗の意味で投げた本が頭に命中したんだ、と語る。


「やはり海原さん?」

「海原だよ。愛。取り敢えずどうにかするよ」

「改心するかな」

「そうは思わないが.....」

「改心する事はないだろう。だからこそ気絶している間に手を打たないと」


私はそんな言葉を放ちながらドアを開けてみた。

気絶してベッドにもたれかかっている海原さん。

私はその姿を見ながら2人を見た。

2人は眉を顰めながら、どうしたものか、と悩む顔をしていた。

するとワトソンが言葉を発した。


「取り敢えず俺はコイツを追及する。それから世界線を.....元に戻したい」

「待って。駄目だ。そんな事をしたら.....消える。長富さんが.....!」

「長富.....と会ったのか?」

「長富さんは癌で亡くなった。だからこそこの世界線を元に戻したら.....!」


ワトソンに必死に訴える私。

するとワトソンは、しかし、と悩みながら眉を顰めながら海原さんを見る。

それから考える仕草を取った。

私はその姿を見てから複雑な心境で海原さんに向いた。

ワトソンは、分かった。何か手がないか考えてみる、と言いながら私を見てくる。


「取り敢えずこの世界を元に戻したい。灰色のままだしな」

「戻るのかな。この世界」

「というかまずは俺らの言葉を素直に受け入れるか、だな」

「何でそんな真似をするのか.....」


取り敢えずと私達は海原さんを揺すった。

紐で束縛しながら。

そして海原さんは目をゆっくり覚ます。

それから私達を見てから、何?何か文句でもあるの、と言葉を放つ。


印象的にガラが悪いな、と思うが。

それとは反対にここまであれだと好き故はわかるが.....何故それだけでこんな事をしたのか聞いてみたくなる。


「ねえ。海原さん。何故貴方はこの世界をこうしたのかい?」

「それは話さなきゃならないかな?私は話したくない」

「権利を持つのはお前だけだ。頼む。世界を灰色からせめて救ってくれ」

「.....」


海原さんは数秒間目を閉じた。

その目が再び開くと世界は灰色から戻り始めた。

その事に衝撃を受けながら周りを見渡す。

凄い状況だな、と考えながら私は汗を一筋流しながら海原さんを見る。

海原さんは鼻で笑う。

煮るなり焼くなり好きにしたら良い、という感じにであるが。

その言葉に今度は美奈保さんが口を開いた。


「私達は貴方を責めてないんです。ただ何故こんな事をしたのかただ知りたいだけです」

「いやいや。私を責めないのはおかしくない?世界を破壊した様なものだしね」

「だけど貴方は世界を取り戻した。まだその身には後悔が宿っているんじゃないかな」


その言葉に。

まさか。被害妄想だよ。それは、と海原さんは鼻でまた笑う。

私達は顔を見合わせてから頷く。

そして膝を曲げてからワトソンが目線を合わせた。

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