第13話 サーバーダウン

☆田所勇気サイド☆


懐かしいものを見つけた。

何を見つけたかといえば俺の小学校時代の友人。

名前を海原環というが。


今頃何をしているのだろうか。

というか小学校時代のアルバムがいきなり出てくるとはな。

2年後の部屋と違い綺麗な部屋になっているせいか。

配置が変わっているせいか。

分からないが懐かしいアルバムだ。


「.....」


小学校時代に別れてからそのままだ。

どこで何をしているのかも分からない。

当然だが2年後でも出て来ない。

そちらもどこで何をしているのかも分からないが。

考えながら俺はページを捲る。


「.....」


2年後に帰れるだろうか俺は。

とは言っても帰ったところで.....何も良い事なんか無い様な気がするが。

思いながら俺はページを捲るのをやめてから。

アルバムを本棚に直す。

元に戻した。


「俺も大概だな。頑張らないと」


そんな事を呟いているとインターフォンが鳴った。

窓からバルコニー越しに外を見てみる。

そこに.....おさげ髪の少女が居た。

俺はその顔を、?、を浮かべてジッと見る。

見覚えのある顔だ。


「.....?!.....海原!?」


俺は驚愕しながら階段を降りる。

そして玄関まで行くと。

海原は丸メガネにおさげ髪という感じで制服を着て立っていた。

微笑みを浮かべている。

当時と姿は変わっているが。


「あらま。懐かしい顔じゃない」

「姉ちゃん。海原だよな?」

「見て分かる通りじゃない。海原さんよ」


海原は俺に、久しぶり。勇気くん、と言ってくる。

俺はそんな姿に、懐かしいな。お前。どうしたんだ?こっちに戻って来ていたのか、と聞いて.....ん?

おかしくね?


「そうだよ。戻って来たの」

「???」


だって2年後でも会えてない。

なのに何故今.....会えている?

時間軸がまたおかしくなっている。

考えながら居ると姉ちゃんが、まあまあ。入りなさいな。今日は色々な客人が来るね、と笑顔になる。


「お邪魔します。お姉さん。.....あ。ねえ勇気くん」

「.....何だ?海原」

「その。もし良かったら部屋に行っても良い?懐かしいから」

「ああ.....まあ構わないが」


そして、やった、と言いながらおさげ髪の少女は俺に付いて来る。

俺はその様子を見つつ姉ちゃんに対して、適当にやっておくから、と言いながら海原を案内する。

姉ちゃんは、りょーかい。私は家事をしているから、と笑みを浮かべる。

それから俺は海原を部屋に入れた。


「それにしてもまたこっちに引っ越して来ているとはな。海原」

「.....うん」

「親父さんの仕事が落ち着いたのか?」

「.....そうだね。でも.....」


そうしていると海原はドアに鍵をかけた。

え?、と思っていると海原が俺の首に手を回してくる。

それから押し倒された。

俺は、!!!!?、と思いながら見ていると。

海原がいきなり服を脱ぎ始める。


「な、何をしている!!!!!お前!!!!?」

「ねえ。勇気くん。.....元の時間軸に戻りたい?貴方は」

「.....は.....?.....な、何の.....話だ!?」

「海原環は貴方が好きです。.....なので時間軸を壊したんだけど」


俺はゾッとした。

そして下着姿になる海原。

それからスカートに手をかける。

何をしている.....マジに何を.....というか!!!!?


「海原.....まさかお前!」

「そのまさかだね。私が時間軸を調節したの」

「.....マジかよ.....」

「2年後に酷い目に遭うでしょ?その前に戻りたくて。私、神社にお願いしたの。そしたら.....2年前に帰って来た」

「なんて事をしたんだお前は.....!?」


だけどそのお陰で廻さんにも出会えたんだよ?貴方は。だったらウィンウィンじゃない?、と笑顔をニヤッと浮かべながらスカートを脱ぐ。

嘘だろコイツ.....な、何がしたいんだ!

俺は赤くなって青ざめる。

そんな複雑な顔をしていると海原が紅潮した。


「私、妊娠したいの」

「.....にんし.....は!?」

「.....私は.....貴方の子供が産みたい」

「海原.....!やめろ!」


そうしていると、ガチャガチャ!、とドアが揺れる音がした。

大丈夫かい!?、という感じで.....愛の声がする。

それどころか美奈保の声も。

家の中に駆け込んで来た様だった。

すると。


バキンと音がした。


時間が凍りついた様に。

海原と俺以外の周りが灰色に染まる。

色が消えた。

何だ.....何が起こっている!?

思いながら海原を見ると海原は微笑んでいた。


「.....何をした。.....海原!」

「全ての時間軸は私が手にしているだけって事だよ。さあゆっくりとセックスしよう。.....勇気くん」

「お前のやっている事は神への反逆行為だぞ。知らんけど.....だけど時間を操るなんて.....ありえないんだが.....」

「私は全ては貴方が好きだから。それだけだよ」


それとも2年後あんな感じになりたいの?

それだったら私と今、ヤって幸せになろうよ、とニコッとする海原。

俺は顔を引き攣らせながらその顔を見る。

コイツ何.....悪魔か!?


「悪魔と思っているかもしれないけど私は貴方が好きなだけだよ」


海原はそう言う。

コイツ.....!

思いながら俺は必死に抵抗した。


そして逃れるが。

灰色になったドアはうんともすんとも言わない。

動かないのでどうしようもない。

このままではまた捕まってしまう!

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