第12話 時間軸を破壊した者
☆山田愛サイド☆
私は廻さんの言葉を。
その存在を.....大切にしたいと思う。
彼女はきっと何かしらの使命を持ってこの世界に来た。
2年後からやって来たのであろう。
思いながら私は歩いて自宅に帰っていると。
目の前から見知った顔が歩いて来た。
その顔は.....。
「君は.....」
「.....貴方は.....」
それは吉田美奈保だった。
私はその顔を見ながら眉を顰める。
そして見ていると。
私の瞳を吸い込む様に見てくる。
「.....何か.....」
「.....あ、いや。何でもないよ。すまない」
「.....」
私は頭を下げてから別れを告げて歩き出す。
いけないいけない。
この世界と2年後の世界を一緒にしてはダメだ。
仮にも.....追求しそうになった。
何の事か彼女には分からないだろうし。
「待って下さい」
「.....はい?」
その途端に彼女に呼び止められた。
私は、?、を浮かべながら美奈保さんを見る。
すると美奈保さんは、貴方は勇気と一緒にいつもいますよね。.....勇気が好きなんですか、と聞いてくる。
私はその言葉に驚愕しながら美奈保さんを見る。
美奈保さんは、すいません。こんな事を聞いてしまって。ただ.....その。.....もし勇気が好きなら勇気を支えてやってくれませんか、と言ってくる。
「.....支えるってのは?」
「言葉通りの意味です。.....私は勇気と付き合う資格はないと思い始めたんです」
「何故そう言えるのか?」
「私は過ちを犯した。その事は大きな反省点です」
「過ちってのは何?」
「兄を殺そうとした点ですかね」
そう言いながら美奈保さんは外の景色を見る。
公園で遊んでいる小学生兄弟?らしきものを見ながら自嘲する。
私は、.....?、となりながら、お兄さんを殺そうとしたってうのはどういう事だい、と聞いてみる。
すると美奈保さんは、家庭が荒れています、と答えた。
「.....そうなんだね。噂には聞いていたけど本当なんだ」
「そうですね。荒れているので暴風雨が起こりました」
「それでお兄さんを殺そうとしたと?どんな状況かは知らないけど.....それって正当防衛じゃないの?」
「正当防衛でも人を殺そうとした。同じです」
勇気の家に行きました。
そして温かみを感じたけど。
だけどやっぱり私は付き合えないなって思いました、と答える。
私はその言葉に、君がそうなら私が貰っても良いのかい、と言った。
すると美奈保さんは、私は無理ですよ。勇気と付き合えない、と話す。
「.....」
そうしていると。
あの、と声が聞こえた。
背後を見ると小学生ぐらいの少女が居る。
何だ?、と思いながら私達はその少女を見る。
その少女は可愛らしい模様のTシャツを着てから私達を見ている。
茶色のイチゴの様な髪留めをしている。
「この辺りで財布を見ませんでした?」
「.....え?.....いや。見てないね」
「.....そうですか。私ちょっと財布を落としてしまって」
「大変!じゃあ探さないと」
そして少女に直ぐに食いつく美奈保さん。
私も、うん。任せなさい、と言いながら一緒に探し出す。
道端をくまなく探していると。
少女のアニメキャラクターものの財布らしきものがあった。
「あったよ!」
「あ、ありがとうございます!」
それから手渡した時。
その財布から写真が落ちた。
あらら、と思いながら私は写真を拾う。
そうしてから少女に手渡した。
風景の写真だったな、と思える。
「ありがとうございます。助かりました。お礼に.....写真機でお写真をお撮りしたいんですけど」
「ありがたいけど.....でも私達は大丈夫だよ」
「そうだね」
「えっと。まあその。お姉さん達.....凄く可愛いので」
そうしてから美奈保さんと顔を合わせる私。
それから、まあそこまで言うなら、と納得してから小型カメラ?の様なもので写真を撮ってもらう。
そして私達にそれぞれ1枚ずつ渡してくる。
「ありがとうね」
「.....いえいえ」
そして撮ってもらった写真を早速見る。
それから違和感を感じた。
何故なら。
私達が北高の制服姿になっており。
更に言うのであれば悲しげな表情をしている。
おかしいのだが。
笑顔で写真を撮ったのに何故こうなる。
何か色々と違和感がある.....、とそこまで考えた所で、ところで、と声がした。
その声は何か含みがある様な声に聞こえ。
寒気があり顔を上げてみると少女は笑顔を浮かべている。
たった一言だが何か違和感を感じた。
あまりにも異質でドロドロした様な汚泥の様な。
そんな声に聞こえた。
流石の美奈保さんも違和感を感じた様だ。
「お姉ちゃん達はいつまで争う気なの?」
「.....何をかね」
「私は私のお姉ちゃんに恋の勝負は勝って欲しいから。.....だからまあ全部破綻させる」
「.....貴方.....誰?」
「私の名前は海原。海原飛鳥(うなばらあすか)。そして私の姉の名前は海原環(うなばらたまき)だよ」
「.....海原.....たま.....」
そこまで言ったところで美奈保さんはしゃがみ込む。
う.....頭痛い、と言いながら。
私は、君は誰だ!、と眉を顰める。
そして飛鳥さんを真剣な顔で見つめる。
「全てはそのうち明らかになるよ。この世界の時間軸が2年前に戻っているのは私達が全ての要因だけどね。私達が幸せになる為に時間軸をちょっとずつ修正したから。.....まあそれは良いとして。まあその中でも最も吉田美奈保は許せない」
「?!」
「お姉ちゃん達は記憶を失っているみたいだけどそのうち思い出すんじゃないかな。.....まあ頑張ってね.....っていうか吉田さんは地獄に落とすけど」
「.....!?」
何がどうなっている。
2年前って!?、と思いながら飛鳥さんを見る。
飛鳥さんは不快な笑みを浮かべながらそのまま立ち去って行く。
私はあまりの事に美奈保さんを見る。
美奈保さんはヨロヨロと立ち上がってから私を見る。
何だったのだろうか.....。
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