第10話 2 years later
☆長富廻サイド☆
協力者が欲しい。
何故かと言われたら簡単であるが。
私は勇気先輩を吉田美奈保から引き剥がしたいと思っている。
将来.....というか2年後。
吉田美奈保は浮気する。
私がそれを知ったのは.....この世界に来た時だ。
だからその為に私は吉田美奈保を勇気先輩に近付けたくない。
私のとても大切な人だからこそ。
近付けさせたくない。
失望させたくないのだ。
そう思いながら私は愛さんの家から帰宅をする。
それから歩いて帰っていると。
背後から声がした。
待って。廻さん、という感じで。
それは愛さんだった。
「貴方は.....本当に良いのかい?私なんかに協力してもらって。私が付き合う事になったら.....」
「その時はそれで良いんです。.....私は引き剥がせたら良いので」
「.....でも.....やっぱり考えたんだが.....」
「?」
私。貴方の事も応援したいのだが、という感じで見てくる愛さん。
真剣な顔で見据えてくる。
私はその事に驚きながら苦笑する。
そして、ありがとうございます。気持ちだけは受け取っておきます。私は勝ち目があればやりたいです。でも今は良いので、と告げた。
「.....廻さん.....」
「それに私は2年後には生きているか分かりません」
「.....は.....」
「私は2年後、病気になっています。勇気先輩には内緒にしておいて欲しいんですが.....私は2年後。無念の中、癌で亡くなります」
「.....え.....それって本当に.....」
ただしそれが本当かどうかは分かりません。
だから私は付き合うつもりは今はないです、と答える私。
私が何故生きてこの場所に立っているのか。
それを今は理解している。
思いながら私は笑みを浮かべる。
「2年後。本当に後悔したくないですから。だから今やれるべき事はやって。そして後悔の中で死にたくないんです」
「貴方は.....」
「2年経った後.....私は幸せに死んでいますが。.....今、真実を知った。知った限りは全てを活かしてから2年後に死にたいと思っています」
「でもそれだったら2年後に生きている可能性も.....」
「神様が運命を決めます。例え癌が今、早期発見できたとしても。生きているか分かりませんから」
言いながら私は自嘲する。
それから、だから全ては愛さんに任せたいんです、と言葉を発する。
そして愛さんを見つめる。
愛さんは複雑な顔をしながら俯いた。
そうしてから顔を上げて私を見てくる。
「.....分かった。必ず.....必ず。私は貴方の想いを活かす」
「そうですね。私は愛さんならやりきるって思います。だから安心しています」
「.....何故貴方がここまでやってくれるのか分かった。ようやっと」
「ありがとうございます。そういう事です」
そうして私は2LDKのマンションに帰宅する。
それから.....1人だけの暗い家の中を見渡す。
私はこの大きなマンションに1人で暮らしている。
両親は大金持ちだが。
私に興味は無い。
それは時空が変わっても.....同じの様だった。
私はその事に溜息を吐きながら大きなキッチンでコンビニ弁当を温める。
私は料理が相当に苦手だ。
だからこのキッチンは意味が無い。
簡単に言えば豚に真珠だ。
「.....はぁ.....」
そうして大きなため息を吐いていると。
スマホが震えた。
私は、?、を浮かべながら画面を見る。
非通知である。
「私に電話?」
そんな事を呟きながら電話に出る。
するとノイズが.....数秒間続き。
電話は切れた。
私は、.....?、と思いながら電話を見る。
何だこの不気味な電話は。
「.....」
私は眉を顰めながらスマホを仕舞い。
レンジを見る。
新品のレンジは音もなく稼働している。
そしてそのままお弁当が温まる。
私はそれを見計らって弁当を取り出しながらそのまま食べ始める。
因みにだが父親も母親も。
年に1回しかこっちに帰って来ない。
そのお陰で癌の発見が遅れ。
そのまま私は余命宣告を受けた訳だが。
だけどそれで両親を恨んでいる訳ではない。
「ただ.....愛情が欲しかったんだろうな」
今となってはどうでも良いと思っているが。
多分2年前の私は愛情が欲しかったのだろう。
だからこそ頑張っていたが。
流石にこうして無念のうちに亡くなるとそんな思いも無くなった。
何というか諦めに近い。
「.....やれやれだな」
そんな事を呟きながら私は天井を見上げる。
それから瞬から外を見る。
少しだけ雨が降ってきた気がする。
私はその事に洗濯物を入れる。
すると.....また電話がかかってきた。
「今日はよく鳴る日だな.....」
そして私はスマホを見るとその人物は勇気先輩だった。
私は、!、と思いながら電話に出る。
すると勇気先輩が、もしもし。長富。聞いても良いか。.....お前も未来から来たのか?、と聞かれる。
私はその言葉に、いえ。そんな訳ないですよ、と言う。
笑顔で、だ。
『.....だけどな。.....確実に何か変わっていっているんだよ周りが。.....だからお前も未来から来たっていうのが何となく信憑性が持てるんだが』
「.....」
『お前は.....2年後の未来では何をしている?』
私はその言葉にうっかり本音を言いそうになったが。
敢えて何も言わずに.....。
そのまま。
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