第8話 汚染される精神

☆吉田美奈保サイド☆


何か最近.....勇気の態度がおかしい気がする。

それに廻の言葉もそうだけど。

不思議子ちゃんだって思ったけど。

まさかあんなに不思議子ちゃんだなんて。


「うーん.....」


そんな事を悩みながら私は.....家に帰宅した。

そして母親に挨拶をする。

私は母親を見た。

母親は.....私を冷徹な目で見ている。

顔立ちは良いのにこれだけは本当に辛いものだ。


「今日、小テストがあったらしいじゃない」

「.....そうですね」

「.....どうだったのかしら?」

「まあ別に.....」


別にって何?点数は?、と聞いてくる母親。

私はその言葉に、100点です、と答えながら母親を見る。

すると母親は、そう、と言いながら、お父さんの様になってほしくないから、とまた論を展開する。

またこれか忌々しい。


「.....お父さんを悪く言わないで」

「お父さんと.....大輔の事を悪く言わないと貴方も甘えてああなってしまうわ」

「大輔はそうでもお父さんは一生懸命に働いている。.....だから悪く言わないでほしい」

「私は貴方を思って言っているの」

「とは言ってもお母さんの言っている事は堪えるんだけど」


堪える?私は貴方にクズじゃない優秀になってほしいのよ、と説明してくる。

そんな小言の様な言葉に私はイラッとしながら。

そのまま100点の小テストの答案用紙を置いてそのまま立ち去った。


そして自室に籠る。

私は何を間違えたのだろうか。

母親は何であんな感じになってしまったのだろうか。


「.....」


するとノックが聞こえた。

そして母親の声で、大輔の様になりたいの、とも聞こえる。

確かに大輔の様にはなりたくはないな。

思いながら私は鼻で笑いながら、そうですね、と応えた。


大輔とは.....吉田大輔(よしだだいすけ)。

私の兄だ。

ネットのオンラインカジノで借金をしまくって人生破綻し絶縁されている。


「.....あんなオンラインカジノのゴミクズみたいな将来を送りたいのかしら」

「分かりました。頑張ります」

「.....そう。それで良いのよ。貴方は」


そして母親はその場から去って行った。

私はその事に膝を抱えて座る。

それから私は盛大に溜息を吐いてから天井を見上げる。


母親の心配しているのも分かる。

私がネットゲームにハマると思っている様だし。

だったら母親に心配される身にもなる。


「だけどもう少しだけ自由が欲しいものだ」


そんな事を呟きながら私はSNSのレインを開いた。

そして勇気にメッセージを送る。

何をしているの?、という感じで。

だがなかなか既読にはならなかった。

それもそうか。


「.....私は目の前の事を見据えるしかないんだね」


その様な事を呟きながら窓から外を見ていると。

ダァンと大きな音がした。

そして、ババア。金貸せや、と声がする。

母親の声で、何をしに来たの、と声がする。

まさかと思うが兄が来たのか?


「.....」


私は耳を澄ませる。

するとその音はだんだんとデカくなっていき。

やがて2階に上がって来る音がした。

私は慌ててドアに鍵をかける。

そして耳を澄ませていると。


「頼みなんだけど。金貸してくれない?」


とドアの外から私に向けて声がした。

私は、そんな金はない、と応える。

するとドアノブがガチャガチャと音を立て始めた。

開けろよ。それでも妹か、と声がしながら。


「貴方は絶縁されています。.....帰って下さい」

「金ねぇんだわ。帰れねぇよ。家族ってもんは普通は助けてくれるもんだろ」

「.....」


こんな家族ももう嫌になってくるな。

思いながら私は鍵をかけた部屋で怯えていると。

大輔!良い加減にして!、と声がした。

するとバァンと思いっきり頬を叩く音がして。

そのまま地面に誰かが倒れる音がする。


「お母さん.....」

「待って。出て来ないで。その場に居なさい。危ないわ」

「.....」


そしてまた声がする。

家の中に金ぐらいあんだろ。良い加減にしろ、という感じで。

それから兄は去って行った。

私はその事にドアを開けると.....母親が頬から血を流している。


「大丈夫?」

「大丈夫よ.....ごめんなさいね」

「.....」


私も大概鬼畜だと思う。

こんな姿を見てもどうも思えないのが。

母親の。


だけど今はこの母親を見ている場合ではない。

思うべきはあの鬼畜野郎だ。

私の兄だ。

思いながら私は立ち上がる。

それから横の戸棚からハンマーを取り出した。


「.....殲滅しなきゃ.....」


思いながら私はそのままヨロヨロとなりながらゆっくり下に降りて行くと。

リビングを汚らしく漁っている猛者が居た。

私はその猛者を見る。

パーカー姿の小太りなあちこちを漁っている野郎を。

私を見ながらニヤァッとなってくる。


「ははは。さっさと降りてくれば良かったのにな。テメェ。そうすりゃあんな目にババアがならなかった」

「.....」

「何だ。ハンマーなんか取り出して。もしかして俺を殺す気か?やってみろよ。殺人罪になるぞ」

「いや。どっちでも良い」


そして私はハンマーをマジな顔で振り翳した。

それからハンマーを兄の頭めがけて思いっきり投擲する。

するとハンマーは外れてガラス棚に直撃して食い込む。


ガラスが思いっきりガシャーンと割れる。

兄はまさかの展開というか。

それを見て目を見開いて私を見てきた。


「.....お、お前.....今、マジに実の兄を殺そうとしたな」

「.....」

「殺人未遂だぞ!加減しろよ!!!!!」

「何が?」


何が?、って、と兄は私のマジな顔を見ながら青ざめる兄。

コイツ。猛獣の顔になっている。かなりヤバい、と思い始めた様だ。

そのまま一回すっ転んでからそのまま荒れた部屋を逃げて玄関から出て行く。

そんな背中に向かって私は、二度と家に来るな、と絶叫した。

そして膝からその場に崩れ落ちる。

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